宮城県図書館だより「ことばのうみ」第59号 2018年3月発行 テキスト版

おもな記事。

  1. 巻頭エッセイ・特集 
  2. 〈特集〉「東日本大震災アーカイブ宮城」の取組
  3. 図書館 around the みやぎ
  4. 図書館員から読書のすすめ
  5. 図書館からのお知らせ 

   

巻頭エッセイ『ツンドクのすゝめ』仙台放送アナウンサー 金澤 聡。

 私は本屋さんに行くと必ず十冊以上まとめ買いをします。いわゆる『大人買い』です。図書館に行っても『大人借り』をします。そして、家に帰って積んでおきます。本を“ツンドキ”ます。
 私は集中力を持続するのが苦手です。少々飽きっぽいです。でも、知識や活字の海を広く深く航海したい願望は強いです。この矛盾をアウフヘーベン(流行とちょっと遅れて使ってみました)する読書方法を10年以上続けています。飽きっぽい私が持続可能なアウフヘーベンがありました。(流行終わったのにしつこいですね…正直、使い方の正否不明)
 十冊以上“ツンドク”本を、10分読んで飽きたら次、20~30分読んで飽きたら次…と「ネットサーフィン」ならぬ、「読書サーフィン」して積んである本をサーファーよろしく次から次へ波をとらえるまで乗り換えていきます。積んである本を次々読む、「積ん読」する、そう、“ツンドク”です。これなら十冊同時進行で色んな本の海へ出帆でき、と同時に色んな本の世界観を堪能できます。
 最近は同時に読んでいる本の内容が頭の中で絡まってしまうことがあり、この方法が“詰んでき”てしまっているような…。でも、飽きっぽいので、次の読書方法、“ツギドク”考えます!

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〈特集〉「東日本大震災アーカイブ宮城」の取組

 

東日本大震災から7年。宮城県図書館では「東日本大震災文庫」を設置し、東日本大震災関連の資料を収集・整理・保存し、利用者の皆さまにご利用いただいています。震災による被害の記録や体験記はもちろん、震災を教訓とした防災・減災への取り組み、復旧・復興の記録やコミュニティで提供される情報も、震災に関わる大切な記録です。
 今回はこれと関連し、東日本大震災関連資料を後世に残すため、宮城県図書館が県内市町村と一緒に構築・運営しているデジタルアーカイブ「東日本大震災アーカイブ宮城」をご紹介します。

■「東日本大震災アーカイブ宮城」とは?
 「東日本大震災アーカイブ宮城」は、東日本大震災に関する宮城県内のデジタル資料を収集・整理・保存・公開するためのデジタルアーカイブです。宮城県と県内全市町村が連携・協力して、平成25年度から26年度にかけ、総務省の「被災地域記録デジタル化推進事業」により構築し、平成27年6月15日に公開しました。県と33自治体が連携して運営しています。
 このアーカイブは、東日本大震災に関する記憶の風化を防ぎ震災関連資料を後世に残すと共に、ウェブ上で広く公開することにより,防災・減災対策や防災教育等に幅広く活用いただけるように構築しました。あらためて東日本大震災の被災状況、復旧・復興の足跡を知っていただく一助になればと考えています。また復興計画、防災計画、これからの災害に強いコミュニティ、まちづくりなど、今後の防災・減災のため、宮城県内だけではなく広く全国の方に発信して活かしていただきたいとも考えています。

■利用できるコンテンツ
 写真、文書・楽譜、雑誌・新聞、チラシ、音声・映像、オンライン資料、ポスター、会議録、図書、地図、博物資料、絵画・絵はがき、語り、記事などを公開しています。
◆公開点数 222,861点(H29.11.30現在)※
※宮城県と31市町村の収集コンテンツのほか、連携している多賀城市、気仙沼市、仙台市の震災アーカイブのコンテンツも含む
 コンテンツの収集に当たっては、県庁各部局、公立学校、公立病院、県内社会福祉協議会に広く呼びかけたほか、連携する市町村からも各役場に残っている作成・撮影した資料を提供していただきました。また,宮城県図書館が収集した震災関連資料の一部も資料作成の権利者(著作権者)の許諾を得てデジタル化し、掲載しています。

■他のアーカイブとの連携
 多賀城市、気仙沼市、仙台市の震災アーカイブ※1-3と連携しており、「東日本大震災アーカイブ宮城」からコンテンツを横断検索することができます。また、東松島市の震災アーカイブには、リンクをはっています。
 国立国会図書館が運営する、国立国会図書館東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」※4とも連携し、メタデータを提供しています。そのため「ひなぎく」で検索すると、「東日本大震災アーカイブ宮城」と他の震災アーカイブのコンテンツを合わせて検索し、一元的に見る事が可能となっています。

※1  多賀城市
「史都・多賀城・防災・減災アーカイブスたがじょう見聞憶」
 http://tagajo.irides.tohoku.ac.jp
※2  気仙沼市
「気仙沼市震災記録資料集けせんぬまアーカイブ」
 http://kesennuma-da.jp
※3  仙台市
「3がつ11にちをわすれないためにセンター」
 http://recorder311.smt.jp
※4  国立国会図書館
「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(愛称:ひなぎく)」 
 http://kn.ndl.go.jp

■コンテンツの検索と利用について
◆検索
 キーワードやコンテンツのタイトル、作成された時期のほか、資料の種類や位置情報の入っている資料は地図の範囲で検索することができます。また特定の自治体が収集した資料を検索することもできます。
◆利用
 「東日本大震災アーカイブ宮城」は、震災からの復興や次の災害のための防災のために役立ててもらうことを前提に構築しました。そのため、災害伝承や復興や防災・減災のために活用いただく場合で、利用規約に沿った利用であれば、問い合わせすることなく利用することができます。
 コンテンツによって、次のような利用が可能です。
→ダウンロード: 必要なコンテンツを選択し、ダウンロードして利用することができます。
→PPT速成ツール: コンテンツをパワーポイントの形でダウンロードすることができます。
 なお、コンテンツはそれぞれ管理している自治体のページに掲載されていますので、利用の際はその自治体の規約を確認の上、利用してください。

■震災ナビとは
 「東日本大震災アーカイブ宮城」のコンテンツを被災した場所でもご利用いただけるよう、実際の場所で体験するためのスマートフォンアプリを公開しています。下の2つの機能があります。
【コンテンツナビゲーター】
●現在地付近の地図を表示し、周辺の「東日本大震災アーカイブ宮城」のコンテンツをアイコンで表示
●アイコンをタップすると、その場所までAR(Augmented Reality:拡張現実)で矢印を表示し道案内
【津波シミュレーター】
●ARで東日本大震災当時の津波の「高さ(浸水深)イメージ」を現実の映像に重ね合わせて表示
●国土地理院発表の「浸水範囲概況図」の推定値を使用

利用の際は、AppStore またはGooglePlayから ダウンロードしてご利用ください(ダウンロード無料、通信費別途要)。

■資料の収集について
 宮城県図書館及び連携市町村では、引き続き東日本大震災に関連する記録を収集しています。自治体や報道機関・研究機関等が所有する記録だけではなく、被災した方々や被災地の支援に携わった方々が個人的に保有している写真や動画、チラシやフリーペーパー、文集なども保存すべき大切な記録です。
 東日本大震災の記憶を風化させないために、記録に残し未来へつなぐ活動に御協力をお願いいたします。
 ●お問い合わせ先 宮城県図書館 震災文庫整備チーム TEL : 022-377-8498 Eメール : librarysb@pref.miyagi.lg.jp

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図書館 around the みやぎ

 シリーズ第52回  大郷町中央公民館図書室
 副館長 斎藤聡子(さいとう さとこ)

 

 大郷町中央公民館図書室は、昭和48年の公民館建設時に開設された歴史ある図書室です。町のほぼ中央にあります。学校帰りの小・中学生が集う場所になっております。
 年に3回ほど、新刊図書を購入しています。リクエスト図書に応じたり、話題の作品を取り揃えたりして、利用者さんに、足を運んでもらえるよう工夫をしています。
 毎月第2土曜日と第4土曜日に、図書開放日として2週間の貸し出し期限に合わせて開館しています。公民館に集うついでに借りたり、趣味や調べ物などをしたりして、町民の皆さんがニーズに合わせて利用しています。絵本や新刊を取り揃えていますので、もっと多くの皆さんに利用していただけるよう広報などでお知らせしています。
 静かな図書室で、ゆっくりと本と向き合ってみませんか。職員一同みなさまのお越しを心よりお待ちしております。

大郷町中央公民館図書室
蔵書数/14,853冊(H29年度末)
利用時間/8時30分~午後5時
●休館日/第2・第4土曜日を除く土曜・
     日曜・祝日・年末年始
住 所/〒981-3592 宮城県黒川郡
    大郷町粕川字西長崎5-8
TEL:022-359-5515  FAX:022-359-3287

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図書館員から読書のすすめ。

『前略お父さんいつかは「ありがとう」という言葉を伝えたい 』
「前略お父さん」発行委員会/編[著] 文芸社[刊]


 この本には、「お父さん」への思いを綴った作品を募集し、その中から厳選された40人の、お父さんに対するいろいろな「ありがとう」が描かれている。その中には、私と同じような境遇のものもあり、読み終えた時には、今だからできること、ちゃんと伝えなければならない大切なことがあるということを私に気づかせてくれた。
 私の父の仕事は自営業。いつも一生懸命働いていて、そんな父の仕事をみているのが子どもの頃大好きだった。将来は父の後を継いで仕事をするのが夢だった。だが、いつからその夢は変わってしまったのだろう。私は後を継がず、今の仕事を選んだ。
そして、父も高齢になり、もはや生きがいとなっていた仕事をやめるよう言わざるを得ない状況になっていた。本当は自分で進退を決めさせたかったが、思い切って言った。とても辛かったのを覚えている。父は私の言うことを素直に聞き入れてくれた。そして、60年以上やってきた店を閉じたのだった。
 この本を読み終えた時、気づかされたこと。それは、父が生きている今だからこそ、言葉にして伝えなければならない大切なことがあったということであった。
 「仕事、後継がなくてごめん。」「生きがいだった仕事、奪ってしまってごめん。」ちゃんと言葉にして謝らなければ。そして、「ありがとう。」ちゃんと言葉にして感謝の気持ちを伝えなければ。そうなんだ、これを言わなければならなかったんだ…とても大切なことに気づかせてくれて、とても幸せに感じ何だか泣けてきた。
 ~いつかは「ありがとう」という言葉を伝えたい~ その「いつか」とは、ほんとは心のどこかで気づいていながら逃げてきた私にとって「今」であることを気づかせてくれたのだった。
(企画管理部企画協力班  伊藤亮一)

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図書館からのお知らせ INFORMATION。

■企画展「東日本大震災文庫展Ⅷ 震災ボランティアを知る」を開催します。

 

 東日本大震災から7年。これまで県図書館「東日本大震災文庫」で収集・整理した震災や復興の記録の中から、震災時に行われたボランティアに関する資料を紹介します。ボランティアをする側、受け入れる側、送り出す側等、様々な立場からの記録を展示します。
関連する資料を3階の「東日本大震災文庫」ほかでも展示しますので、こちらもご覧ください。
●期  間 平成30年3月10日(土)~6月24日(日)
      (図書館開館日の午前9時から午後5時まで)
●場  所 2階 展示室
●時  間 図書館開館日の午前9時から午後5時まで
●お問合せ 震災文庫整備チーム 022-377-8498

 

■第49回子どもの本展示会を開催します。


 毎年4月23日から5月12日までは「こどもの読書週間」です。宮城県図書館では、この期間に合わせて、子どもの読書活動を推進するために「子どもの本展示会」を下記の日程で開催ます。平成29年度に発行された本の中から約2,000冊を選び、絵本や読み物、知識の本、児童書などを展示します。児童書を選ぶときの参考として、また新しい本との出会いの場としてご活用ください。
なお、本展示会終了後は、子どもの本展示会として、希望する各市町村図書館や公民館、小学校等を巡回する予定です。
●期  間 平成30年4月24日(火)~5月12日(土)
●場  所 宮城県図書館1階 エントランス
●時  間 図書館開館日の午前9時から午後7時まで(日曜・祝日は午後5時まで)
●お問合せ 子ども図書室(2階) 022-377-8447

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この「ことばのうみ」テキスト版は,音声読み上げに配慮して,内容の一部を修正しています。
特に,句読点は音声読み上げのときの区切りになるため,通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は,宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第59号 2018年3月発行。

宮城県図書館

〒981-3205

宮城県仙台市泉区紫山1-1-1

TEL:022-377-8441(代表) 

FAX:022-377-8484

kikaku(at)library.pref.miyagi.jp ※(at)は半角記号の@に置き換えてください。