1 日時及び場所
- 平成20年6月27日(金曜日) 午後1時30分から午後3時30分まで
- 宮城県図書館 2階研修室
2 出席者
- 遠藤 幸生 委員,大島 真理 委員,齋藤 弘子 委員,澤井 清 委員,千葉 啓子 委員,千葉 由香 委員,野家 啓一 委員,平間 啓子 委員
欠席者 : 佐藤 敏国 委員 (委任状)※当日欠席連絡あり,寺島 英弥 委員 (委任状)※当日欠席連絡あり 。
3 事務局出席者の職氏名
- 館長 伊 達 宗 弘,副館長 櫻 井 守,企画管理部長 大 森 紀 和,資料奉仕部長 橋 昭 夫, 企画管理部副参事兼次長 丹 野 君 信(総括担当兼総務班長),資料奉仕部次長(総括担当) 菅 原 泰 博,企画協力班主幹(班長)大和田 順 子,調査班主任主査(班長)内馬場 みち子,利用サービス班次長(班長)渡 邊 明 彦, 総務班主幹(副班長)高 橋 深 雪,企画協力班主査(副班長) 野 澤 郁 晃
4 開会
- 司会者 丹野企画管理部次長(以下、丹野次長)が開会を宣言した。
5 館長挨拶
- ○司会者(丹野次長)
- 開会にあたり、県図書館 伊達館長より開会のご挨拶を申し上げます。
- ○伊達館長
- 皆さん、お忙しい中お集まりいただきまして大変ありがとうございます。今回かなりの数の方々が交代されております。初めての方のほうが多い状況でございます。 この宮城県図書館は明治14年に宮城師範学校内に「宮城書籍館」として創設されたのが始まりで、全国の都道府県図書館の中で最も古い図書館の1つであり今年で127年を迎えております。平成10年に榴岡からここに移転し11年目を迎えております。長い歴史を積み重ねてきている図書館ですので,たくさんの貴重資料がございます。「伊達文庫」,仙台藩校の「養賢堂文庫」あるいは「大槻文庫」その他貴重な資料はおよそ6万点,また現在の所蔵蔵書総数が約100万点を超えております。私どもはこうした貴重資料を活用しながら「22世紀を牽引する叡智の杜づくり」をテーマに事業を進めております。ご承知のとおり,今私たちを取り巻く環境は大変殺伐とし,昭和10年代・20年代に比べれば日本は経済大国といわれ,経済的には大変豊かな時代ではありますが,閉塞感を感じます。これはひとえに国を預かる人、あるいは地方を預かる人が政策をきちんとし、国民や住民に夢や希望を持って語れる故郷や日本の歴史・文化、将来の夢を語れるように国家的ビジョンを示し得ない,そうしたところに原因があるのではないかと考えます。そこで県の図書館として何が出来るのかとなってまいりますと,次代を担う人たちに自信と誇りを持って語れる故郷や日本の歴史文化をしっかり伝えていくこと,これが将来生きていくうえであるいは堂々と世界に出て行くうえでの心の基礎となっていくために進めているのが「22世紀を牽引する叡智の杜づくり」でございます。後ほど詳しくご説明いたしますが,昨年,国のモデル事業として様々な事業を展開しているところでございます。また,皆様今日お集まりのここ紫山,この周辺は旧薪炭期林二次的自然であります。ブナこそないものの同じ部類の種のナラやクヌギあるいはサクラ等およそ60種類の樹木にとり囲まれております。 さらに下の池には虹鱒,草魚あるいはサンショウウオ等が生息しておりますし,絶滅危惧種に指定されている日本桜草,紫色の碇草等々そうした自然の豊かな宝庫であります。こうした自然と共存しながら時代を担う人達のために,また,現代を生きる人たちにもいろいろな形で貢献していきたいと取り組んでいるところでございます。委員の皆様におかれましては図書館の事業について,様々なご助言ご指導をいただきますとともに,この図書館にとっては力強いご支援者であっていただきたいと考えております。私たちもがんばりたいと思っておりますので,どうぞこの2年間よろしくお願い申し上げます。これで挨拶とさせていただきます。
6 委員・職員紹介
- 委員は自己紹介、図書館職員は大森部長より紹介という形で名簿順に行った。 (以下名簿のとおり)
7 定足数報告
- 本日10人中8人の出席により定足数を満たしており会議は成立した旨を報告。
8 配付資料の確認(丹野次長)
- 1 平成20年度第1回宮城県図書館協議会 会議資料
- 2 平成20年度要覧(資料1)
- 3 宮城県図書館振興基本計画に基づく行動計画について(資料2)
- 4 宮城県図書館振興基本計画(2008-2012)
- 5 叡智の杜(第5号)
- 6 宮城県図書館だより「ことばのうみ」(No27)
- 7 宮城県図書館協会「協会だより」(No.23)
- 8 平成20年度 北日本図書館連盟 総合・経営部門研究協議会 案内
- 9 「みやぎの叡智−宮城県図書館貴重書の世界−」 ※新任委員のみ配付
9 日程説明(丹野次長)
- 本日の会議は午後3時30分終了予定です。委員改選後初めての会議なので,会議終了後希望する委員の方に館内をご案内する予定です。会議終了後にまたご案内いたします。
10 会長・副会長選任
- 規則により委員相互による互選。齋藤委員より「事務局案一任」の提案あり
事務局案により全員一致で澤井委員を会長に、野家委員を副会長に選出決定。
11 会長挨拶
- 仙台の公共図書館の中で一番利用しているのはこの県図書館で,大変お世話になっております。今日来たばかりでありますがお引き受けすることになりました。図書館協議会に関連しましては,1980年頃まだ仙台に市民図書館が西公園にあった時代に10年近く図書館協議会の一員として加えていただきました。またメディアテークの開設にも携わってきた経緯があります。 今回県の図書館協議会は初めてですが,どうぞよろしくお願いします。
12 議長選出
- 澤井会長を選出。
13 傍聴について
- 傍聴希望者がないことを確認。
14 会議録署名委員の指名
- ○議長
- 大島委員を指名します。
15 議事
- ○議長
- 報告事項として「平成19年度利用状況及び平成20年度主催事業」について事務局より説明願います。
- ○ 事務局(大森企画部長)
- 資料(平成20年度要覧)に基づき説明。
- ○ 議長
- 只今の説明について,ご質問・ご意見等がございましたらお伺いします。
- ○ 遠藤委員
- 資料(要覧)P45の「障がい者サービス」についての表記を,例えば「ユニバーサルサービス」等に変更するよう検討した方がよいのではないでしょうか。
- ○ 事務局(大森企画部長)
- 「障がい者サービス」の「がい」の字については,ひらがな表記にして配慮していますが, ネーミングについては今後の検討課題にしたいと考えます。
- ○ 大島委員
- 2月から稼働した自動貸出機はどのぐらいの利用があるのでしょうか。
- ○ 渡邊班長
- 3月より稼働しています。当初は全体の1割程度の利用率でしたが,現在は利用者も機械操作に慣れてきて効果的に使用されているようです。
- ○ 議長
- そのほかに質問はありませんか。
- ○ 大島委員
- AVブースの廃止についての利用者の直接の反響はないのでしょうか。
- ○ 渡邊班長
- 利用者からは廃止についてのいくつかの質問等はありましたが,AVブースでの視聴ができない代わり,今後は順次DVDの貸出に変えていくことを説明しております。最近はDVDの方が普及してきているので,利用者の理解は得られると思います。
- ○ 野家委員
- 要覧P32のエルネットの「オープンカレッジ」について,平成19年度は文部科学省の衛星通信による大学公開講座の放映となっているが,公開講座のコンテンツは文部科学省から提供があったのでしょうか。それともこちらで開発されたのですか。
- ○ 事務局(野澤副班長)
- 文部科学省がコンテンツを衛星で送信し,図書館で受信した形で行いました。ただし,今年度からはインターネットの動画放送に切り替わり,実際は9割ぐらい移行している状況なので今後はその形態になると思います。
- ○ 野家委員
- うち(東北大学)では,ISTU(東北大学インターネットスクール)を通じて公開講座等の資料を蓄積しているので,今後いろいろな意味で協力・コラボレーションができるのではないかと考えています。
- ○ 齋藤委員
- 10月25日からの東北大附属図書館合同展示会について「和算」関係の企画と伺いました ㈰開催場所は1箇所で行うのか。それとも2箇所に分かれるのでしょうか。 ㈪具体的にどういう内容になるのですか。
- ○ 事務局(大森企画部長)
- ㈰場所は宮城県図書館の2階展示室を予定しています。 ㈪東北大と図書館の資料を合わせて展示する予定。そのほか10月25日と11月8日に 「和算」に関する講演会を予定しています。
- ○ 事務局(高橋資料奉仕部長)
- 展示については3部構成を予定しており,現在東北大と調整中です。7月4日に第3回目の合同ワーキンググループの開催を予定しています。
- ○ 議長
- ほかにご意見・ご質問はありませんか。なければ(2)の宮城県図書館振興基本計画に基づく行動計画の策定について事務局よりご説明願います。
- ○ 事務局(野澤副班長)
- 資料2(宮城県図書館振興基本計画に基づく行動計画について)に基づき説明。
- ○ 議長
- 只今の説明についてのご質問・ご意見等がございましたらお伺いします。 今年図書館法の改定がありましたが,基本計画も踏まえていただければと思います。
- ○ 遠藤委員
- 会津の日新館に残っている「什の掟」のようなものが,養賢堂にも格言として残っているのではないでしょうか。もし残っていれば将来に受け継ぎ,そういうものを県内の学校に掲示等をして次世代につながる人材育成のノウハウに活用できればよいと思うのですが。 ルネッサンスではないが,理念を受け継いでいただきたい。
- ○ 齋藤委員
- 先祖が養賢堂で使用していたテキストをかなり保存しています。それを紐解くと先ほど話題にでた「和算」だけでなく分数や算学のすばらしい文献がたくさん残っています。それらをもっと探ることができれば,遠藤委員のおっしゃる理念だけでなく「理念+実践」という形で生きていると常日頃思っています。養賢堂のすばらしさを学問としてだけでなく,歴史あるこの図書館の中でもっと光を当てて,さらに全国に向けて発信してほしいので,ぜひ図書館の皆さんに考えていただき,それを実現してほしいものです。
- ○ 議長
- そのほかにありませんか。
- ○ 千葉啓子委員
- 学校等に資料だけを送るのだけではなく、出前講座も一緒にすれば子どもたちの理解もいっそう深まるのではないでしょうか。次の世代の子どもたちのために「ことばのうみ」については、子ども向けのバージョンはあるのでしょうか。もし作成できる余裕があれば,できれば中学生ぐらいまでの子どもが理解できる図書館だよりがあればよいと思うのですが。
- ○ 事務局(野澤副班長)
- 「ことばのうみ」については,予算的には難しいが内容については今後検討していきたいと思います。副読本として作成した「みやぎの叡智−宮城県図書館貴重書の世界−」については,昨年度県立学校に配布して,先生方に活用してもらっています。 出前授業は毎回ではないが,本館の職員が高校等に出向いて実施しています。
- ○ 議長
- そのほか何かありませんか。
- ○ 伊達館長
- 養賢堂にも確かにきちんとした理念はあったようです。文献によると5代藩主吉村の時代に学問所として設置。7代藩主重村の時代は「天明の飢饉」により財政が逼迫した時でさえ,学問の大事さを尊重し,予算は別にとったと記録されています。 明治時代に県庁舎として活用されたのはその一部であります。当時の人たちが偉いのは,今は財政が厳しいと文化的な予算が削られますが当時は養賢堂のために「学問米」と称して約1万石が養賢堂の学術・文化のために備蓄したようです。そうした理念が養賢堂を全国屈指の学問所とした要因と思われます。
- ○ 野家委員
- 長期的な展望に立って計画されていると思います。先ほどから財政が厳しいと説明がされていますが,事業に対しての振興基本計画については県議会や県議会議員等には説明をしているのでしょうか。もっとアピールの必要があるのではないでしょうか。知事は来館することはありますか。
- ○ 伊達館長
- 県議会等には特別に説明していません。村井知事には着任当時来館した際に説明しています。 以前は教育委員会からの指導もあって,予算について知事・副知事に直接説明をして予算措置をしてもらったこともありますが,最近では通常の事務ベースで積み上げていく方式であり,なかなか難しいです。
- ○ 議長
- 予算が厳しい中でも行政サービスを検討してもらいたいです。
- ○ 千葉由香委員
- 先ほど高校に出向いて出前授業したと伺ったが,受講した生徒等の実際の反応はどうでしたか。
- ○ 伊達館長
- 概ね好評であり,実際の画像でお見せできればよかったのだが,生徒からは「非常に感動した」という感想が寄せられ,教師からも例えば「源氏物語」の資料を見せながら授業することにより「教師にとっても授業がしやすい」という嬉しい反応がありました。また涌谷高校では与謝蕪村の筆による「奥の細道図巻」を見て,生徒達が感動して自分達で蕪村と同じような巻物を作成したケースもありました。
- ○ 事務局(内馬場班長)
- 平成19年度に「22世紀を牽引する叡智の杜づくり事業」は文部科学省モデル事業に指定されましたが,お配りしてある「ことばのうみ」No.27にも掲載されている写真は「学校支援推進事業」の中で,松山高校の文化祭において「坤輿万国全図」等のレプリカを展示し,そのレプリカを活用した授業も行いました。1602年に作られた「坤輿万国全図」と現代の地球儀それから授業で使う世界地図を一緒に掲げて学校司書が特別授業をしています。写真では子どもが大きな地球儀を触っていますが,地域の方々にも公開した時の様子です。 ご質問は「その時の反応はどうでしたか?」ということですが,この展示会に当たっては,図書委員が自分達で「坤輿万国全図」という中国で作られた世界地図を解説するためのシナリオを作成しています。松山高校は県内の高等学校の中で保育科を持つ3校のうちの1校ですが,保育科ならではの取り組み方で,子どもと父親との会話形式で録音した解説テープを作成しています。当日は実際の説明も交えながら発表を行いました。 「坤輿万国全図」は世界史の教科書に必ず出てくる教材です。それを実物と同じ大きさで,しかも教室に版本と写本を揃えた形で見比べることで「自分達が生まれ育った宮城県にこういった資料が伝えられていることを実感することが出来ました。」という感想などが寄せられています。 本館がこの国の文化財「坤輿万国全図」を所蔵するに至った経緯につきましては,やはり養賢堂が大きな役割を果たしていると考えられます。「私達が生まれ育った故郷にこれだけの資料が今目の前にあるということに大きな感動を覚えました」という高校生らしい感想が寄せられています。次回機会があれば是非お見せしたいと思います。 次に同誌にもう一つ紹介している「チューター研修」については,宮城学院女子大学の足立教授による発達心理学の特別授業で,保育科の生徒達に「絵本を読む意義について」をテーマに,人間の発達にとって絵本がどのような役割を果たしているか,人間関係を学ぶという視点からご講義をいただきました。 図書館で絵本を扱う時には,物語として読み聞かせをし「めでたし。めでたし。」で終わることが一般的ですが,この特別授業では物語に描かれている会話を通して人間の発達を学び,それに関わる家族がどんな風に子どもの発達に関わりあいを持つか,人間関係を学ぶという新しい視点でお話をいただきました。 受講した保育科の生徒からは,自分達がこれから職業として,あるいは家族として関わっていく子どもたちと本との出会い,それから副次的にはまさに自分たち自身にとっても読書は大切であると気づかされたというアンケートを読ませていただきました。このほかにも他校の生徒達が作った歴史新聞も何通か寄せられているので,機会があればご紹介したいと思います。
- ○ 議長
- そのほかございませんか。 ないようなので,以上をもって議事を終了したします。活発なご意見ありがとうございました。
16 報告
- ○丹野次長
- ○6月14日の地震に伴う被害状況とそれに関連する県内の図書館への影響について
- 県内31館のうち当日休館した図書館は大崎市・加美町中新田図書館の2館。その他は一部貸出時間を遅らせたり,機械の都合により手作業で貸出を行った図書館もあったが当日開館し,業務を行いました。 当館は地震後の安全点検のため,開館時間を10分,貸出業務を20分遅らせて開館しました。書架等の被害が生じているものの,大きな被害には至らずに済みました。 県内の公共図書館も多少壁の亀裂や本の散乱があったものの,施設等にはさほど被害もなく地震の発生時間が開館前であったため,大きな混乱もなく利用者への影響は最小限で済んだものと思われます。
- ○次回の協議会開催は10月の中旬を予定しているので,後日日程調整を行う予定です。
17 閉会
- 丹野次長が閉会を宣言し,一切を終了した。