宮城県図書館だより「ことばのうみ」第65号 2020年1月発行 テキスト版

おもな記事。

  1. 巻頭エッセイ・特集 
  2. 〈特集〉図書館がますます使いやすくなりました!
  3. 図書館員から読書のすすめ
  4. 図書館からのお知らせ 

   

巻頭エッセイ『はじめての「ことばのうみ」』童話作家 筒井頼子。

 

「ことばのうみ」という言葉で、最初に思い起こす場所は、中学校の図書室だ。それほど沢山の本に囲まれた空間を、私はそれまで知らなかった。終戦の年、家族で疎開した場所は、秋田の山間の小さな村だったし、その後に引っ越したのは、埼玉の林の中の一軒家だった。そこから一時間ばかりかけて、歩いて通った公立の中学校に、その図書室があったのだ。授業を受け持つことのない、「図書の先生」が常駐していたのだから、1950年代の中学校としては、進んでいたのかもしれない。夢のような沢山の本が嬉しくて、私は長いお昼の休みはもちろん、授業の間の10分ずつの休みも、廊下を走り、図書室に通った。放課後になれば、本を借りた。10分の休みは、先生のほかは誰もいなくて、いつも、私一人だった。本の香りに包まれながら、私はあの時から「ことばのうみ」を漂い続けて来たのだと思う。ドストエフスキーやトルストイ、モーパッサンやジード…本のページを開くたびに、広い世界の新しい扉が開いた。

 国語の先生には、「年齢にあった、今だけしか楽しめない本も、読むといいんだけれど」と言われ、英語の先生には「いや、今の頼子が、分かるところを受け止めれば、それでいいんだ。それは必ず、頼子の血と肉になる」と言われた。

 ふたりの先生のどちらも正しかったのだと、今の私は思う。どちらの先生の眼差しも、温かかった。

 

著者紹介。

筒井頼子(つつい・よりこ)

仙台市泉区在住。福音館書店刊の林明子との絵本に「はじめてのおつかい」「あさえとちいさいいもうと」「おでかけのまえに」など。

仙台で生まれた本に、福音館書店刊の「とんことり」(林明子絵)、「ながれぼしをひろいに」(片山健絵)、「そうちゃんはおこってるんだもん」(渡辺洋二絵)などがある。

 

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〈特集〉図書館がますます使いやすくなりました!

~図書館情報ネットワークシステムの更新と『日本十進分類法』新訂10版への移行について~

 

 宮城県図書館では、令和元年1216日(月)~28日(土)に渡って休館し、図書館情報ネットワークシステムの更新と、『日本十進分類法(NDC)』新訂9版から新訂10版への移行作業を行いました。

 めまぐるしく変わっていく情報化社会に対応し、利用者の方々がより使いやすく、より資料が探しやすいようになりました。

 今回の特集では、新しくなった図書館システムと、NDC10版についてご紹介します。

 

1.図書館情報ネットワークシステムを更新しました

 図書館情報ネットワークシステムとは、図書館の様々な情報をネットワークで結んで、情報を共有するシステムのことです。職員が操作する端末と、HPや館内に設置している資料検索端末(OPAC)の間で、資料情報等を共有しています。また、県内公共図書館等を結んで資料や情報のやりとりを仲介する「MY-NET(マイネット)」というネットワークも運用しています。

 今回の更新では、皆さんがより安全に、より便利に図書館を利用できるよう、セキュリティの強化(機器やOSの更新等)と新機能の追加、Webページのデザインを変更しました。

 

【新機能その1】あなたのデバイスが利用カードに!!

 あなたのデバイス(スマートフォンやタブレット等)でマイページにログインしてください。利用カード番号とそのバーコードがデバイス画面に表示されます。

 こちらを窓口にご提示いただくことで、貸出や資料請求等のサービスが受けられます。

※マイページにログインするには、宮城県図書館利用カードの登録(利用者登録)と、パスワードの登録が必要です。

 

【新機能その2】マイページから貸出延長が可能に!

 マイページの「貸出状況」の画面から、貸出延長ができるようになりました。

 出先でも、ご自宅でも、もちろん宮城県図書館でも、マイページにログインできる環境があればご利用いただけます。

※ただし、延長できるのは「貸出延長」ボタンがでている資料だけで、予約が入っている資料は延長できません。

 

【いつもの人にも、はじめての人にも使いやすく!】

宮城県図書館Webサイトのトップページを変えました。

1) マイページへのログインボタンをつけました

2) 開館状況・開館時間が一目でわかるようにしました

3) アクセス(交通のご案内)へのリンクをおきました

 

【マイページでできること】

マイページでは、次のサービスもご利用いただけます。

1) 現在借りている資料のタイトル・点数・返却期限の確認

2) 現在予約している資料のタイトルおよび点数の確認

3)現在予約している資料が準備できたかどうかの確認

4) パスワードの登録および変更

5) メールアドレスの登録および変更

 

 2.『日本十進分類法』新訂10版に移行しました

 宮城県図書館では、図書館情報ネットワークシステムの更新にあわせ、資料の分類について、『日本十進分類法(NDC)』新訂9版から新訂10版へと移行しました。

 それにともない、令和21月から、新着資料の分類・配架場所が一部変更となっています。

 これまで使用していたNDC9版での分類に比べ、情報科学の分野を中心に、時代に即した、利用者の皆さんにとってより使いやすい分類・配架となりました。

 

『日本十進分類法』とは?

 図書館には多くの資料があります。宮城県図書館だけでも、なんと約118万点!(平成31331日現在) こんなに多くの資料が無秩序に書架に並んでいては、目的の資料にたどり着くのは至難のワザ。

 そこで図書館では、あらかじめ職員が資料の内容を確認し、「この資料の主題は何か」に基づいて、資料を分類し書架に並べています。

 『日本十進分類法(NDC = Nippon Decimal Classification)』とは、多くの図書館で採用されている、資料を分類し書架に並べるためのルールのことです。日本図書館協会の調査によれば、公共図書館の99%、大学図書館の92%NDCを採用しているとのこと!

 NDCで分類し、資料を書架に並べることで、同じような内容の資料が1カ所に集中します。例えば、インターネットに関する資料を探しに書架にいくと、まわりにインターネットについての別の資料がたくさん並んでいますので、「こっちの資料も使えるかも ! 」と、効率的に資料を探すことができます。

 

どんなところが変わったの?

 NDC9版が刊行されたのが1995年。NDC10版が刊行されたのは2014年の終わりです。その間の20年に、私たちをとりまく社会は大きく変わりました。その最たるものがインターネットの台頭です。従来のNDC9版ではうまく分類できなかった新しい内容の資料を、NDC10版を使うことで、より分かりやすく分類することができます。

 NDC10版への移行により、分類が変更される資料には次のようなものがあります。

情報科学

通信工学.電気通信

情報工学

障害児教育(点字法、手話法)

機能的神経疾患

未確認飛行物体 等々……

 

資料の探し方

 資料の配架場所が変更になった書架には、代本板で案内表示をしております。

 資料が見つからない場合は、お近くのカウンターまでお問い合わせください。

 

背ラベルと記号のおはなし

―この背ラベルの資料はどこにある?

 分類は背ラベルの1段目に反映されます。2段目には著者名の頭文字や出版年月等が、3段目には資料の形態や別置記号、巻号等がそれぞれ記載されています。

 でも、宮城県図書館の背ラベルには、それ以外にも様々な記号を使って情報が搭載されています。

 宮城県図書館で見つけられる背ラベルと、背ラベルの記号のヒミツを、ちょっとだけ紹介します。

 

3階

▶一般開架

Reference 参考図書

▶東日本大震災文庫

▶新聞・雑誌室

Periodical 定期刊行物(雑誌等)

Government 行政資料

▶みやぎ資料室

Kyoudo 郷土資料

2階

▶子ども図書室

Juvenile 児童資料

Ehon 絵本

1階

▶音と映像のフロア

※音声資料(CD等)の分類にはNHK分類を採用しています(「M101」部分)

 

※ここで紹介する記号はほんの一部です。記号が合体することもありますよ! PK = PK(定期刊行物で郷土資料)等

 これらの背ラベルは、宮城県図書館の書架から見つけてきたものです。

 どんな資料に貼ってあるか、それぞれのフロアで探してみましょう!

 

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図書館 around the みやぎ。

シリーズ第57回 南三陸町生涯学習センター「南三陸町図書館」

三陸町生涯学習センター 志津川公民館長兼南三陸町図書館長 佐々木 仁一(ささき じんいち)

 2011311日の東日本大震災で海沿いにあった南三陸町図書館は巨大な津波に建物ごと呑まれ流され蔵書など全てを失いました。また、町全体の住宅や公共施設等の被害も甚大で行方不明者も多く、直後は生きるために必死という状況でした。その後、少しずつ子ども達を中心とした居場所づくりが始まり、ベイサイドアリーナ周辺に仮の図書館を設置しました。プレハブやアリーナの2階フロアやトレーラーハウスなどに何度も引越しし、オーストラリア大使館関係者の支援で震災後、公共施設第1号となる「コアラ館」を建設していただき、その建物に間借りした形で図書館を運営してきました。

 2019425日、新たに建設された「南三陸町生涯学習センター」内に約3万5千冊の蔵書を揃え、志津川公民館と合築した建物としてオープンしました。図書館のスペースは子ども達の未来のためにも震災前の旧館と比べ2倍以上の面積を確保しました。そして、建物の外周が全面ガラス張りで明るく開放感あふれる図書館となっています。更に今回から「読書の記録」という通帳を導入し子どもから大人まで気軽に本を楽しみ・親しめる環境づくりをしながら、地域に愛される図書館の運営に努めています。

 最後になりましたが、震災から今日まで、宮城県図書館並びに全国の図書館関係者及び全世界の方々からの御支援や励ましの言葉などをいただき新図書館が開館することができ、本当にみなさんに「感謝」の気持ちで一杯です。改めて厚く御礼申し上げるとともに今後も御指導方よろしくお願い申し上げます。

 

南三陸町生涯学習センター

「南三陸町図書館」

蔵 書 数/約3万5千冊

     (蔵書可能数:約10万冊)

延床面積/1,780㎡

開館時間/平日:9時~19時

     土日祝日:9時~17時

     (公民館:9時~21時、休館日無し)

休館日/月曜日、年末年始

     (月曜日が祝日の場合は開館し、

      翌日が休館日)

住所/〒986-0727

南三陸町志津川字新井田165-1

TEL:0226-46-1351 FAX:0226-46-1344

 

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 図書館員から読書のすすめ。

『雑多なアルファベット』エドワード・ゴーリー[著] 柴田 元幸[訳] 河出書房新社[発行]

絵本です。大人のための。

 こどもの頃から細密なタッチのダークな香りのする絵が好きで、町の図書館からそんな海外の絵本を借りてきては、その世界観にどっぷりと浸っていた記憶があります。

 子供を持った時に絵本の読み聞かせが賢い子を育てると見聞きし、絵本に満ちあふれた子育てに憧れた私は、もともと好きだった洋書の絵本(もちろん和訳の・しかも古本)をぼちぼち集め出したのが始まりでエドワード・ゴーリーの謎めいた、どこか不可解な世界に引き込まれていきました。

 この本は元々が豆本であったため、ただでさえ細密な著者の線画がとっても小さな窓枠に収められていたりする、ヴィクトリア朝の戒め本?なのだそうで、意味不明なことば遊びカルタ的な作風となっています。エドワード・ゴーリーの作品はこどもへの読み聞かせに馴染まない「死の匂い」がするハードなものが多い中で、これは奇跡的にソフトな表現で構成されており、広くお勧めできる珍しい本とも言えます。

 語学が堪能なら原文が面白いのだろうけれど、それが叶わない私。

 一筋縄では行かない著者の世界観が1頁毎に凝縮されているのはもちろんのこと訳者の表現が秀逸なので、思わずクスッとしてしまうこと間違いなしの作品。

 緻密かつ繊細なモノクローム画から入るも良しダークな「何か」を求めるも良し、是非手に取っていただきたい作品です。

エドワード・ゴーリー(1925.2.222000.4.15没)

アメリカの絵本作家本名(エドワード・セントジョン・ゴーリー)絵本という体裁でありながら道徳や倫理観を冷徹に押しやったナンセンスな、あるいは残酷で不条理に満ちた世界観と、徹底して韻を踏んだ言語表現で醸し出される深い寓意性、そしてごく細い線で執拗に描かれたモノクロームの質感のイラストにおける高い芸術性が「大人のための絵本」として世界各国で熱心な賞賛と支持を受けている。(Wikipediaより)

企画管理部 総務班 守屋 由美子

 

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図書館からのお知らせ INFORMATION。

■公文書館企画展『県立測候所物語

-近代宮城の気象観測と災害-』を開催中です

私たちの暮らしの身近なものの1つに天気予報があります。今では気象庁や民間気象会社が気象観測や予報を行っていますが、かつてその役割を宮城県の県立測候所が担っていた時代がありました。また、宮城県ではこれまで水害や冷害など数多くの自然災害にみまわれてきました。測候所のほか宮城県内の様々な気象観測施設のたどった歴史や、県立測候所が観測した災害について、宮城県公文書館所蔵の公文書からご紹介します。

  • 期  間 令和元年1116日(土)~令和231日(日)
  • 時  間 図書館開館日の午前9時から午後5時まで
  • 場  所 宮城県図書館2階 展示室

 

■宮城県図書館でボランティア活動をしてみませんか?

宮城県図書館では、来年度から一緒に活動をして下さるボランティアを募集しています。みなさまのご参加をお待ちしています。

  • 対  象 週1回以上活動可能な18歳以上の方(高校生を除く)

ボランティア登録の前に当館主催のボランティア養成講座受講が必須となります。

  • 定  員 20名程度
  • 申込締切 令和2215日(土)
  • 活動期間 令和24月から令和33月まで
  • 活動内容 書架整理(一般図書・児童図書・視聴覚資料)、図書館案内

など詳しくは、宮城県図書館ホームページ(https://www.library.pref.miyagi.jp/

または企画協力班(TEL:022-377-8444)までお問い合せください。

 

■図書館見学ツアーを開催しています

図書館の裏側を見たことはありますか? 図書館見学ツアーでは普段は立ち入ることのできない場所へご案内します。今では珍しい16ミリ映画フィルムの上映も行います。奮ってご参加ください!

  • 日  時 毎月第3土曜日 午後1時から1時間程度

      (イベントなどにより変更となる場合があります)

  • 定  員 先着20
  • 参  加  費 無料
  • 事前申込 不要 当日午後1時までに1階東側総合案内前にお越しください。

詳しくは、宮城県図書館ホームページ(https://www.library.pref.miyagi.jp/

または企画協力班(TEL:022-377-8444)までお問い合せください。

 

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この「ことばのうみ」テキスト版は,音声読み上げに配慮して,内容の一部を修正しています。
特に,句読点は音声読み上げのときの区切りになるため,通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は,宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第65号 2020年1月発行。

宮城県図書館

〒981-3205

宮城県仙台市泉区紫山1-1-1

TEL:022-377-8441(代表) 

FAX:022-377-8484

kikaku(at)library.pref.miyagi.jp ※(at)は半角記号の@に置き換えてください。