宮城県図書館だより「ことばのうみ」第62号 2019年1月発行 テキスト版

おもな記事。

  1. 巻頭エッセイ・特集 
  2. 〈特集〉本との新たな出会いを楽しむ 
  3. 図書館員から読書のすすめ
  4. 図書館からのお知らせ 

   

巻頭エッセイ『本を読むこと』仙台89ERS 取締役GM 志村 雄彦。

 幼い頃の私は外で運動することや友達とゲームをすることに夢中な少年で、全くと言っていいほど本とは無縁でした。図書館に立ち寄ることもなく、唯一読んでいたといえば、少ないお小遣いを貯めて買う漫画本くらい。学校で出された読書感想文ですら、1ページも読まずに提出するような子どもでした(怒られるかな)。今思えば、もっと小さい頃に本に触れる機会があれば、また違う才能が開花していたりしてなんて思ったりもします。
 そんな私でしたが、仙台を離れ大学生活を送り始めた頃になると一変。読書が趣味となり、大学構内の図書館ではおもしろそうな本を探す時間がたまらなく好きでした。活字に触れるようになってからは図書館にいる時間も増え、休日でも学校の図書館や街の図書館にいる時間が増えていきました。プロになってからもそうです。バスケ漬けの毎日でしたので、本を読む時間は唯一、何も考えずに本の世界に入り込むことができ、本に集中できる。遠征などの移動中は、もっぱら読書の時間に充てていました。そしてこの時間が日頃のストレスや不安を忘れさせてくれる貴重な時間となっていました。
 引退した今も、大好きなコーヒーを飲みながら読書する時間が大好きです。旅行先でも本を持っていき移動時間だけではなく、滞在先でゆっくりと流れる時間に本を読むのも気に入っています。

 

著者紹介。

志村雄彦(しむら・たけひこ)
 1983年2月14日生まれ、仙台市出身。仙台市立仙台高等学校、慶應義塾大学、東芝を経て、2008-09シーズンに仙台89ERSに加入。身長160センチの「小さな巨人」として知られ、仙台高時代には2、3年時にウィンターカップ連覇、慶応大時代には4年時にインカレ(全日本大学バスケットボール選手権大会)優勝を経験し、MVPを受賞。
 仙台89ERSでは、2017-18シーズンまでの10年間にわたりポイントガードとしてチームを牽引。2018年4月6日に現役引退を表明し、同年7月より、仙台89ERSを運営する株式会社仙台89ERSの取締役GMに就任。選手時代の経験を活かし、チーム編成にあたる。

 

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〈特集〉平成の30年間を振り返る。

 

 2019年5月1日より元号が改められ、およそ30年続いた「平成」という時代が終わります。
 社会の変化とともに、宮城県内の読書環境も刻々と変化を続けています。今回の特集では、社会、宮城県図書館、県内公共図書館等読書施設の動きをとおして、「平成」がどのような時代だったかを振り返ります。


●平成10年 新宮城県図書館開館

 平成10(1998)年3月21日、榴ヶ岡から現在の紫山に移転した新宮城県図書館が開館しました。開館セレモニーには数多くの利用者の皆様にご来館いただき、とても盛大なものとなりました。開館からの1年間は講演会、音楽鑑賞講座、ことばのうみコンサート等様々な記念イベントを開催し、100万人以上のご来館、そしておよそ9万冊の貸出点数を記録しました。

 

●平成23年 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)

 平成23(2011)年3月11日午後2時46分、宮城県牡鹿半島沖を震源とするマグニチュード9.0 最大震度7を記録する東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生しました。宮城県図書館でも、ほとんどの所蔵資料の落下、ガラス及び室内壁面石版の一部の落下、閉架書庫内の電動書庫の故障、壁面ボードの破損等、様々な被害がありました。4月7日の余震によりさらに被害状況が拡大、5月13日までの約2ヶ月間休館することとなりました。この大きな災害を忘れないために、宮城県図書館では平成24(2012)年3月に東日本大震災文庫を開設。平成27(2015)年3月には東日本大震災アーカイブ宮城を構築し、震災関連資料の収集を行うとともに発信に努めています。

 

■図書館所蔵の複数資料が国の重要文化財・登録文化財に指定

●坤輿万国全図(こんよばんこくぜんず)
 6巻  版本  平成2(1990)年国重要文化財指定
 イエズス会宣教師マテオ・リッチが明代の中国に渡り、1602年に北京で刊行した漢訳世界地図です。この世界図は、全体が6幅に分けられ、各1幅は長さ170cm、幅60cmの木版刷りです。完全な版本としての国内での所蔵は、私蔵のものを別にすれば、当館と京都大学図書館のみですが、当館所蔵の世界図には、イエズス会の印章が3ヶ所とも削り取られることなく残されており、完全な版本となっています。

坤輿万国全図 6巻 版本 万暦30年(1602)


●陸奥国仙台領元禄国絵図関係資料
 270点  平成29(2017)年国重要文化財指定
 江戸幕府は支配領域に関する基本的な情報として、様々な絵図の作成を命じています。その代表的なものが国絵図です。当館では、『仙台領国絵図(元禄国絵図)』を4舗所蔵しており、いずれも縦5m、横6mを超える大型絵図です。さらに「際絵図」や「海際絵図」等の関係絵図、関係文書として『陸奥国仙台領郷帳』『御国絵図日記』等の記録集や書状類も所蔵しています。

仙台領国絵図 元禄14年(1701)


●街頭紙芝居等5,652点
 平成18(2006)年国登録有形文化財指定
 みやぎ最後の紙芝居屋と言われている井上藤吉氏より平成7(1995)年に寄贈された5,000点余が中心となっています。紙芝居5,645点(57,075枚)と関係資料7点を含めた東日本最大級のコレクションです。

※重要文化財と登録文化財とは
重要文化財とは、文化財保護法に基づき、文部科学大臣が有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物等の各文化財のうち、重要だと指定したもの。登録文化財とは、それ以外の保存・活用のための措置が特に必要なものを文部科学大臣が文化財登録原簿に登録して保存を図るもの。

 

■図書館の動き

 

宮城県図書館の

動き

県内図書館等の

動き

社会の

動き

平成元年

(1989年)

[6月]宮城県図書館資料収集方針施行。

 

 [4月]仙台市が政令指定都市に指定される。
[11月]消費税 3%導入。 ベルリンの壁崩壊。

平成2年

(1990年)

 [6月]書館所蔵の「坤輿万国全図」が国の重要文化財に指定。

 [3月]志津川町図書館(現南三陸町図書館)  移転開館。

[4月]宮城野通図書館が仙台市榴岡図書館に名称変更。

[5月]小牛田町図書館(近代文学館)(現美里町小牛田図書館)  新規開館。

[7月]仙台市泉図書館    現在地に移転開館。仙台市宮城野図書館 新規開館。

 [1月]第 1 回大学入試センター試験実施。
[3月]映画監督・黒澤明氏がアカデミー特別名誉賞を受賞。
[10月]東西ドイツ統一。

平成3年

(1991年)

 [6月]協力車の運行開始(5 コース、月 1 回運行)。

 [2月]迫町立図書館(現登米市立迫図書館)移転開館。

[3月]塩竈市立図書館    現在地に移転開館・塩竈市立図書館が塩竈市民図書館に名称変更。

[7月]仙台市広瀬図書館    新規開館。

 [6月]長崎県の雲仙普賢岳で大火砕流が発生。

平成4年

(1992年)

 [7月20日]秋篠宮御夫妻御来館。

 

 [2月]アルベールビルオリンピック開催。
[7月]バルセロナオリンピック開催。

平成5年

(1993年)

 

 [6月]矢本町立図書館(現東松島市図書館)移転開館。

[9月]仙台市若林図書館    新規開館。

 [5月]日本で初めてのプロサッカーリーグとなる「J リーグ」が開幕。

平成6年

(1994年)

 [3月]移動図書館巡回事業廃止。

[12月]国指定重要文化財「坤輿万国全図」(着色)6 幅修復完了。

 [6月]亘理町立図書館    新規開館。

[7月]中新田町図書館(現加美町中新田図書館)  新規開館。

[10月]村田町歴史みらい館    新規開館。

 [2月]リレハンメルオリンピック開催。
[10月]小説家・大江健三郎氏がノーベル文学賞を受賞。

平成7年

(1995年)

 [9月]国指定重要文化財「坤輿万国全図」6 幅修復完了。

[11月]宮城県図書館新館建設起工式挙行。

[12月]井上藤吉氏より「街頭紙芝居」約 3 万点を受贈。

 [4月]大和町公民館図書室    新規開室。  [1月]阪神淡路大震災発生。
[3月]地下鉄サリン事件発生。

平成8年

(1996年)

 [10月]利用者端末設置稼働。宮城県図書館情報ネットワークシステム稼働。

 [6月]本吉町立図書館(現気仙沼市本吉図書館)  現在地に移転開館。  [7月]アトランタオリンピック開催。
[12月]広島県の原爆ドームが世界遺産に指定される。

平成9年

(1997年)

 [8月]宮城県図書館 ( 榴ヶ岡 ) 閉館記念行事(最終映画会、図書館探検)。31 日に閉館。

[9月]新宮城県図書館竣工。

[10月]新館への移転開始。

   [3月]秋田新幹線「こまち」が運行開始。
[4月]消費税が 5% へ増税。
[10月]長野新幹線が開業。

平成10年

(1998年)

 [3月21日]新館開館。  [7月]築館町立図書館(現栗原市立図書館)新規開館。  [2月]長野オリンピック開催。
[7月]日本初火星探査機「のぞみ」打上成功。

平成11年

(1999年)

 [2月]ふたば文庫 9,500 冊受贈。

 [9月]仙台市太白図書館    新規開館。

 
[1月]ユーロ使用開始。
[6月]男女共同参画社会基本法成立。

平成12年

(2000年)

 [4月1日]祝日開館本格実施。

[4月20 日]図書館ホームページ公開。

 [4月]大河原町駅前図書館 新規開館。  [7月]新紙幣二千円札発行。
[9月]シドニーオリンピック開催。

平成13年

(2001年)

 [4月1 日]館内蔵書検索用端末を更新・インターネットによる蔵書検索を公開。  [1月]仙台市民図書館    現在地に移転開館。  [3月]ユニバーサルスタジオジャパン開園。
[9月]東京ディズニーシー開園。 アメリカ同時多発テロ。

平成14年

(2002年)

 [3月1 日]図書館ネットワークシステム更新。

[6月8 日]子メールでの調査相談受付開始。

   [2月]ソルトレイクシティオリンピック開催。
[5月]FIFA ワールドカップ日韓大会開催。
[8月]地球サミット 2002 開幕。
[9月]日朝首脳会談。

平成15年

(2003年)

[5月26 日]:宮城県沖を震源とした三陸南地震により被災。6 月 16 日まで臨時休館。

[7月1 日]:「仙台領国絵図」等 970 点が県の有形文化財に指定。

[4月]中新田町図書館が加美町図書館に名称変更。  [4月]加美町誕生。
[5月]宮城県沖地震(三陸南地震)発生。
[7月]宮城県北部を震源とする震度 6 クラスの地震が 3 回発生。

平成16年

(2004年)

 [6月29 日]「朝鮮古刊本」46 部 262 冊が県の有形文化財に指定。

 [4月]加美町図書館が加美町中新田図書館に名称変更。

[7月]加美町小野田図書館, 蔵王町立図書館   新規開館。

[8月]大河原町駅前図書館   絵本のへや    開室。

[11月]利府町図書館   新規開館。

 [8月]アテネオリンピック開催。
[10月]新潟中越地震発生。
[11月]東北楽天ゴールデンイーグルス新規参入。

平成17年

(2005年)

 「7月26 日]「環海異聞」等 6 件 36 点「北極出地度里程測量」3 点「伊能図」5 軸が県の有形文化財に指定。

 [4月]築館町立図書館が栗原市立図書館に,迫町立図書館が登米市立迫図書館に,登米町立図書館が登米市立登米図書館に,矢本町立図書館が東松島市図書館に,それぞれ名称変更。

[10月]・志津川町図書館が南三陸町図書館に名称変更。

[11月]・石巻市図書館牡鹿分館    開館。

 [3月]日本国際博覧会「愛・地球博」が愛知県にて開催。
[4月]個人情報保護法全面施行。 登米市・栗原市・東松島市・石巻市誕生。
[10月]南三陸町誕生。

平成18年

(2006年)

 [3月]協力車運行廃止。

[3月31 日]紙芝居資料 5,652 点が国の登録有形文化財に指定。

 [3月]唐桑公民館図書室が気仙沼図書館唐桑分館に,古川市図書館が大崎市図書館に,それぞれ名称変更。

[4月]河北公民館図書室が石巻市図書館河北分館に名称変更。雄勝・河南・桃生・北上の5館も同様に名称変更。

松島町勤労青少年ホーム図書室    現在地に移転開室。

[9月]美里町南郷図書館   美里町小牛田図書館分館として開館。

[12月]川崎町公民館図書室 リニューアル開室。

 [1月]美里町誕生。
[2月]トリノオリンピック開催。
[3月]第 1 回ワールド・ベースボール・クラシック(日本優勝)。 大崎市・気仙沼市誕生。

平成19年

(2007年)

 [2月16日]「宮城県漁具図解及び略解」2点「関算四傳書」33点が県の有形文化財に指定。    [7月]新潟中越沖地震発生。
[10月]郵政 3 事業(郵便・郵便貯金・簡易生命保険)民営化。

平成20年

(2008年)

 [2月]宮城県図書館情報ネットワークシステム更改。

[3月1日]宮城県図書館振興基本計画策定・公開。

   [6月]岩手・宮城内陸地震発生。
[8月]北京オリンピック開催。

平成21年

(2009年)

 [4月15 日]レファレンス事例集の Web 公開開始。

[9月14 日]叡智の杜 Web 国立国会図書館デジタルアーカイブポータルで公開。

 [3月]仙台市泉図書館    リニューアル開館(子供図書室    開室)。

[4月]白石市図書館    アテネ2階に絵本コーナー    開設。

[9月]・本吉町立図書館が気仙沼市本吉図書館に名称変更。

 [5月]裁判員制度施行。『1Q84』(村上春樹著)発売    トーハン発表の「2009 年ベストセラー」総合 1 位を記録。
[9月]気仙沼市に本吉町が合併。

平成22年

(2010年)

 [3月]Web 予約開始。  [5月]柴田町図書館 新規開館。  [2月]バンクーバーオリンピック開幕。
[6月]小惑星探査機「はやぶさ」帰還。

平成23年

(2011年)

 ・[3月11 日]東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により被災。5 月 12 日まで臨時休館。

 [5月]岩沼市民図書館 現在地に移転開館。女川ちゃっこい絵本館 開館。

[7月]角田市図書館 子ども図書館 開館。

[10月]南三陸町図書館 仮設開館。

 [3月]東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生。
[6月]小笠原諸島・岩手県平泉がユネスコ世界遺産に登録される。

平成24年

(2012年)

 [3月]東日本大震災文庫開設。

[3月27 日]宮城県図書館創立 130 周年記念植樹を実施。

[6月1 日]東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)被害復旧工事のため 6 月 30 日まで休館。

 [1月]名取市図書館 どんぐり子ども図書室 開館。

[2月]南三陸町図書館    移転開館。

[3月]・女川つながる図書館 移転開館。

[7月]南三陸町図書館 歌津コミュニティ図書館魚竜 開館。山元町中央公民館図書室 リニューアル開室。

[10月]仙台市宮城野図書館    現在地に移転開館。

 

 [2月]東京スカイツリー竣工(5 月開業)。
[7月]ロンドンオリンピック開催。

平成25年

(2013年)

 [4月]2 階西側に宮城県公文書館移転。

 [1月]名取市図書館 どんぐり・アンみんなの図書室 開館。

[2月]南三陸町図書館 現在地に移転開館。

[8月]・気仙沼市図書館唐桑分館    移転開館。

 [6月]富士山が世界文化遺産に登録される。
[11月]東北楽天ゴールデンイーグルスが日本シリーズ初優勝を果たす。

平成26年

(2014年)

 [2月】18 日:宮城県図書館情報ネットワークシステム更新に伴い 2 月 28 日まで休館。  [4月]色麻町公民館図書室 色麻学園内に移転開室。  [2月]ソチオリンピック開催。
[4月]消費税 8%へ増税。

平成27年

(2015年)

 [3月]「東日本大震災アーカイブ宮城」構築。

[6月]「東日本大震災アーカイブ宮城」公開。

[10月30 日]国指定重要文化財「坤輿万国全図」原本を 11 月 7 日まで特別公開。

 [4月]角田市図書館 リニューアル開館。

[5月]気仙沼市図書館    仮設施設へ移転開館。

[8月]七ヶ浜町中央公民館図書室 リニューアル開室。

 [1月]『火花』(又吉直樹著)の掲載効果により、『文學界』(文藝春秋社)が 2015 年 2 月号の増刷を決定。
[12月]仙台市地下鉄東西線開業。

平成28年

(2016年)

 [2月24 日]海外絵本作家 ( エミリー・グラヴェット氏 ) 講演会開催。

[12月]視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」加入。

 [3月]多賀城市立図書館    現在地に移転開館。

[7月]・柴田町図書館 槻木分室 開室(槻木生涯学習センター利用事業)。

 [3月]北海道新幹線新青森駅 - 新函館北斗駅間開業。
[4月]熊本地震発生。
[8月]リオデジャネイロオリンピック開催。

平成29年

(2017年)

[9月15 日]「陸奥国仙台領元禄国絵図」関係資料 270 点が国の指定重要文化財に指定。

[11月]全国公共図書館研究集会 ( サービス部門    総合・経営部門 ) 開催。

 

 [6月]歌津コミュニティ図書館魚竜が歌津公民館図書室に名称変更。

[7月]大崎市図書館 現在地に移転開館。

[8月]山元町坂元公民館図書室 ふるさとおもだか館内に移転開室。

[10月]・大河原町駅前図書館 絵本と学びのへや リニューアル開室。

 [7月]九州地方で記録的豪雨・土砂災害が発生。
[10月]日系イギリス人小説家カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞。

平成30年

(2018年)

 [11月24 日]紫山移転 20 周年記念「いがらしみきお講演会」開催。

 [3月]気仙沼市気仙沼図書館 現在地に再建し開館。

[4月]涌谷町涌谷公民館図書室 現在地に移転開室。

[10月]女川つながる図書館 現在地に移転開館。

[12月]名取市図書館    現在地に移転開館。

 [2月]平昌オリンピック開催。
[3月]絵本作家の角野栄子氏が国際アンデルセン賞の作家賞を受賞、日本人 3 人目の受賞者となる。
[9月]北海道胆振東部地震発生。

 

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図書館員から読書のすすめ。

『ソフィーの世界』ヨースタイン・ゴルデル[著] 池田 香代子[訳] 日本放送出版協会[発行]


 「なんで?」「なんで?」、幼い姪たちと言葉を交わす度に質問攻めに合う台詞である。
 私にとって、姪が疑問に思っていることに対し疑問に思い、返答に困ると同時にそう言えば自分も子供の頃、どうでもいいことに疑問を持っていたことを思い出し、懐かしい気分になる。大人になるにつれて、毎日の出来事が当たり前に感じ、疑問や興味を持つことが薄らいで来ていることに気付かせられる。
 この本は、このような「なんで?」を哲学からの視点で分かりやすく、ファンタジーでまとめたものである。物語の中に数々の哲学者が登場し、一人の少女とともに「なんで?」を解決していく。
 私がこの本と出会ったのは、高校一年生のとき。高校の授業で初めて「倫理」を勉強し、哲学の不思議さに惹かれた。その頃、「ソフィーの世界」が世界的にベストセラーだった作品であり、この本を手に取った。
 高校生の頃、就職か進学するか進路に迷っていた。また、精神疾患を患った友人や家族関係が複雑な友人が多く、お互い悩みごとを話したり、よくケンカしたものだ。多感な時期だけに「笑って楽しく過ごした思い出」と「迷いや悩んだ複雑な感情の思い出」が同居している。だんだんと人の「こころ」に興味を持ち始め、高校の図書室で心理学系の本を借りては読み漁っていた。本を読んでいくうちに当時はまだ職業としてあまり知られていなかった「カウンセラー」になりたいという思いが芽生えた。カウンセラーを目指し、いざ進学。一番初めの講義で実際にカウンセリングを行っている教授から、「自分の問題を自分で解決できない人」・「相談者の心情に入り込みやすい人」は、カウンセラーには向いていないとお話があった。自分の性格上、カウンセラーには向いていないと判断し、カウンセラーになることは諦めた。それでも人の「こころ」には興味があり、特に臨床心理学の講義が毎回楽しみだった。
 社会人になり、スクールカウンセラーと出会い、お仕事について具体的なことをよく聞いたものだ。やはり、講義で教授が話していたそのものだった。人の生死にも係わることもあり、生半可な気持ちでは務まらない職業だ。
 現代に至り、環境・働き方改革・高齢化社会などが昨今問題になっているが、この本を読むと人類は宇宙のほんの一部にすぎず、存在すること自体が奇跡的であることを自覚し、存在(命)を大切にしなければならないと痛感する。「存在」の尊さを前提に、まずは自分を大事にし、宇宙を超える「知」、子供のころのような好奇心を持ち続け、想像力を働かせ、いかに毎日を楽しく過ごすかを見出して過ごしたい。
 さあ、深呼吸して「空」を見上げれば、自然の一部としての自分の「存在」に気付くはず。 
 私にとっても皆さんにとっても、どんな日でも毎日毎日が新鮮で素晴らしい日。~「あなたはだれ?」~


 (企画管理部 総務班 稲継 康子)

 

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図書館からのお知らせ INFORMATION。

■宮城県公文書館企画展
『士族にみる明治の宮城-旧仙台藩士たちの挑戦-』を開催中です

 
 明治元年(1868年)から150年目の2018年。仙台藩が消滅し、宮城県が誕生した明治前期における旧仙台藩士たちの動向を、宮城県公文書館所蔵の公文書などから紹介します。ぜひご覧ください。
●期  間 平成30年12月1日(土)~平成31年3月3日(日)
●時  間 図書館開館日の午前9時から午後5時まで
●場  所 宮城県図書館2階 展示室

 

■特別整理期間のお知らせ


 宮城県図書館では、蔵書点検や館内整理のため、臨時休館します。期間中の資料の返却は東側玄関脇の返却ポストをご利用ください(紙芝居や大型本、視聴覚資料、他の図書館から借りた資料は開館してから直接カウンターへお返しください。)。
●期   間 平成31年1月25日(金)~2月7日(木)
●お問い合わせ 総務班 TEL 022-377-8441
ご不便をおかけしますが、ご理解・ご協力をお願いいたします。

 
■宮城県図書館でボランティア活動をしてみませんか?


 宮城県図書館では、平成31年度ボランティアを募集しています。
●対  象 週1回以上活動可能な18歳以上の方(高校生を除く)、当館主催ボランティア養成講座受講必須
●定  員 30名程度
●申込締切 平成31年2月15日(金)
●活動期間 平成31年4月から平成32年3月まで
●活動内容 書架整理(一般図書・児童図書・視聴覚資料)、図書館案内、
音訳、市町村協力
詳しくは、宮城県図書館ホームページ        
 (http://www.library.pref.miyagi.jp/
または企画協力班(TEL:022-377-8444)までお問い合せください。

 

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この「ことばのうみ」テキスト版は,音声読み上げに配慮して,内容の一部を修正しています。
特に,句読点は音声読み上げのときの区切りになるため,通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は,宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第62号 2019年1月発行。

宮城県図書館

〒981-3205

宮城県仙台市泉区紫山1-1-1

TEL:022-377-8441(代表) 

FAX:022-377-8484

kikaku(at)library.pref.miyagi.jp ※(at)は半角記号の@に置き換えてください。