宮城県図書館だより「ことばのうみ」第74号 2023年1月発行 テキスト版

おもな記事

  1. 巻頭エッセイ
  2. 〈特集〉ようこそ!子ども図書館へ!
  3. 図書館 around the みやぎ
  4. 図書館員から読書のすすめ
  5. 図書館からのお知らせ

 

巻頭エッセイ『未来の私を創る一冊と出会う』 センダイガールズプロレスリング株式会社 代表取締役 里村明衣子

 小学校の図書館にある、唯一好きなコーナーは【伝記】の本コーナーだった。野口英世、エジソン、ライト兄弟、ナイチンゲール、勝海舟など。世のため、人のために尽力した人の生き方に興味があった。

 その中でも一番こころに残っているのが野口英世さん。あの昔に一人でアメリカに渡り、細菌の研究を続けた野口英世さんにわたしは憧れた。小さい時に囲炉裏で大火傷を負った手を、バカにされながら勉学に励んだ姿に勇気づけられた。

 本を読みながら「アメリカってどんなところ?」「いつかいってみたい。」「世界中を回りながら仕事をする大人になりたい。」十五歳の時、プロレスという道に進んだが、あの頃ぼんやりと描いていた将来像は今、実現している。

 わたしは、今はイギリスに住んでいる。もちろんアメリカにも何度も訪れている。アメリカの真っ青な空を見た時、世界は広いと感じた。食べ物も言葉も国も、全く違う環境で育った人同士、フィーリングが合った時、世界は繋がっているのだと思える。

 図書館は、将来の自分像が創造される場所であった。自分が見て想像したことが現実になった。いろんなジャンルの本がある中、私は伝記の本を手に取った。図書館は「選択の自由」を自然に教えてくれる。ぜひとも若い子には夢とロマンが詰まった図書館に通ってほしい。

 著者紹介

 里村明衣子(さとむら・めいこ)

 通称「女子プロレス界の横綱」「FINAL BOSS」。1979年新潟県新潟市生まれ。女子プロレス史上最年少(当時)の15歳で、「GAEAJAPAN」旗揚げ戦デビュー。2006年、仙台に移住し「センダイガールズプロレスリング(仙女)」を旗揚げ。現在は仙女の代表を務めながら、アメリカWWEにて選手兼コーチとしても活動中。

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〈特集〉ようこそ!子ども図書館へ!

 宮城県図書館の2階にある子ども図書室では、子どもたちに本や言葉に触れる機会や場を提供し、子どもの読書環境の充実を図るため、0歳から中学生くらいまでの方が利用しやすい本を幅広く集めています。また、貸出だけでなく図書の相談や紹介、おはなし会や季節に関連した展示なども行っています。今回は、子ども図書室と、その取り組みについてご紹介します。

 子ども図書室に入ってすぐに目に入るのは、大きな窓からの景色です。春から夏は緑、秋は紅葉、冬は銀世界など、四季折々の景色が楽しめます。心身のリフレッシュにもおすすめです。他にもくつろぎコーナーや、おはなしコーナーなどもあり、楽しくて居心地の良いフロアです。

 

◆子ども図書室について

Q:子ども図書室には何冊ぐらい本があるの?

A:子ども図書室では、貸出用として約84,000冊の本や絵本、約1,900点の紙芝居などがあります。子ども図書室内に全て置ききれないので、書庫に入れている本もあります。お探しの本が見つからない場合は、お気軽に職員へお声がけください。

Q:子ども図書室にはどんな本があるの?

A:赤ちゃんが楽しめるような絵本や小学生が調べものをする際に役立つ図鑑、小中学生から大人世代まで幅広く読める新書もあります。また、児童資料について研究するための本なども所蔵しています。新しく購入した児童書の情報は、子ども図書室だより「子どもの森・本のいずみ」で毎月紹介しています。こちらは、子ども図書室内で配布しているほか、宮城県図書館のホームページでもご覧いただけます。大型絵本や紙芝居も充実しています。

Q:子ども図書室って何時から何時まで開いているの?

A:子ども図書室の利用時間は、午前9時から午後5時までです。午後5時以降、全館閉館する午後7時までの間に、予約本を受け取る場合や、子ども図書室の本を利用したい場合は、音と映像のフロア(1階)または一般図書カウンター(3階)までお越しください。ただし、日曜日と祝日は全館午後5時で閉館します。

 

◆おはなし会と展示について

Q:おはなし会を聞いてみたいのだけれど…?  

A:子ども図書室では、おはなし会を開いています。場所は、子ども図書室の中にある黄色い「おはなしコーナー」です。時間は約30分で、小さなお子さんから小学生まで、幅広い年齢の方に楽しんでいただける内容です。開催日など、詳しくは子ども図書室内で掲示している「おはなし会カレンダー」や広報誌「子どもの森・本のいずみ」または宮城県図書館のホームページでご確認ください。

Q:季節に合った絵本が読みたい!

A:子ども図書室では、毎月テーマを決めて絵本を紹介しています。季節や行事に関連した展示をしていますので、まずそちらをご覧になってみてはいかがでしょうか。展示の内容については、広報紙「子どもの森・本のいずみ」または宮城県図書館のホームページでご確認いただけます。

 

◆子ども図書室の取り組み

子どもの本展示会

 この展示会は、「こどもの読書週間」に合わせて、読書活動の推進を目的に毎年開催しているもので、今年(2022年)は2021年に出版された児童書の中から、当館所蔵の絵本や読み物、知識の本、児童書研究書などおよそ2,000冊を展示しました。会場では、一緒に絵本を楽しむご家族や、たくさんの本に囲まれて選ぶのを楽しむ子どもたち、児童書をじっくりと読み味わう大人の方々の姿が見られ、本との出会いを楽しんでいる様子がうかがえました。

よみきかせ等研修

 宮城県図書館では、子どもの読書活動を推進する担い手の育成とさらなる能力向上を目指し、よみきかせ等の基本的知識と技能の習得を図ることを目的とした講座を開催しています。令和4年度は、県民の方々を対象に、おはなし会を構成する様々なプログラムの中から基本的なものを中心に延べ9回開催いたしました。次年度も、初心者の方々を対象とした研修会を計画しております。期日が近くなりましたら、ホームページや館内ポスター等でお知らせしますので、興味のある方はぜひご参加ください。

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図書館 around the みやぎ

シリーズ第66回 七ヶ宿町公民館長 館長 奈良 成子(なら しげこ)

 七ヶ宿町では、公民館図書室及び活性化センターのミニ図書室を平成29年度末に休止し、平成30年度に開館した七ヶ宿町なないろ広場多目的交流棟「BookCafe こ·らっしぇ」に移設しました。現在は、図書コーナーとして運営しています。施設内には、カフェスペースや物販スペースもあり、町内だけではなく町外の方も多く訪れます。

 運営は、七ヶ宿まちづくり株式会社に委託しており、本のレイアウトやバーコード管理による図書の貸出業務を行っています。そのほか、小·中学校の図書担当教員と情報交換しながら、読書推進のため連携を図っています。令和3年度には、学校と連携して、スタンプカードと読書通帳を発行しました。スタンプカードは、本の貸出につきスタンプを押印するもので、満了になると、記念品として町民が公民館講座で手作りした「しおり」を贈呈しています。これまでに、レザーのしおり·町の植物が入ったレジンのしおり·町産材の木製しおりが完成しました。

 また、学校との連携が始まってからの新たな取組みとして、中学生が夏休み期間に読んだ本のPOPを作成し、県のコンクールに出品しています。その中から、図書コーナーにも蔵書している本があれば、そのPOPを複製し、掲示させていただけるようになりました。

 今後も、利用者に親しまれる図書コーナーとして成長させていきたいと思います。

 

Book&Cafe こ·らっしぇ

蔵書数/4,777冊(令和4331日時点)

開館時間/午前9時~午後5時30

  • 休館日/毎週火曜日(祝祭日を除く)、年末年始、図書整理期間

住所/〒989-0519  宮城県刈田郡七ヶ宿町字諏訪原11-15

TEL·FAX0224-26-6681

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 図書館員から読書のすすめ

『海の底』 有川 浩【著】KADOKAWA【出版】

 私には、子どもの頃からずっと大切にしている写真があります。海上自衛隊のイベントで、護衛艦「さわかぜ」の艦長席に座っている、小学生の自分の写真です。家族の影響で、物心ついた頃には自衛隊が身近にあり、子どもの頃は、特に海上自衛官の真っ白な制服に憧れを持っていました。

 しかしながら、時が経てば、様々な物事に興味が移るものです。私もいつしか高校生となり、自衛隊への興味は薄くなっていました。そんなあるとき、本屋でなんとなく手に取ったのが、有川浩著「海の底」です。本書は、軍港・横須賀で停泊中の潜水艦「きりしお」を舞台に始まります。横須賀で突如発生した巨大甲殻類から、上官・仲間・民間人の命を守るために体を張り、知恵を絞り、奮闘する海上自衛官の物語です。謎の生物が登場するこの小説は、勿論フィクションです。なんなら、怪獣SF恋愛モノです。それでも、まるで自分が潜水艦の中に閉じ込められているような、潮と汗と鋼の匂いが漂ってくるような、臨場感溢れる描写が海上自衛隊の魅力を引き出していて、ただただかっこいい。常に自らの命を賭して危険な任務に当たっている自衛官の覚悟を、文の節々から感じることができるのです。結果、改めて自衛隊を意識するきっかけとなりました。読み終わった後は、ついつい自衛隊の艦(ふね)を調べてしまうほどに…。

 なお、自分はその後に様々な縁があり、自衛隊の広報事務所に通い、実際に海上自衛官を目指したこともありました。そして、今現在は有川浩にゆかりある宮城県図書館に勤めていることを考えると、本書は自分の中で自衛隊と本を結ぶ運命を感じる一冊です。

 さて、“自衛隊”と聞いたとき、皆さんは何を想像しますか?やはり災害支援集団でしょうか。もしくは屈強で冗談の通じなさそうな強面集団でしょうか。

 実際、11年前の東日本大震災時には、全国の自衛隊が被災地に駆けつけ、様々な救助・生活支援を行いました。しかしそのほかにも、国際平和維持活動の協力や、貨物船の護衛としての海賊対処など、日本だけでなく、世界の平和のために、自衛隊の活動は多岐に渡っています。

 また、自衛官の中には、医師・音楽隊・調理師・事務員・研究者など多くの職が存在し、様々な面から自衛隊を支え、平和に貢献しています。その人柄は、熱く温かいごく普通の人ばかりです。この機会に手に取った一冊が、自衛隊を身近に感じられるものになればと思います。

 そういえば、宮城には、全国に誇るブルーインパルスで有名な松島基地があります。晴れた日には東松島の空を見上げてみてはいかがでしょうか。

資料奉仕部 一般図書班  阿部 まゆ  

図書館からのお知らせ INFORMATION 

■宮城県図書館の臨時休館について

当館は、令和43月福島県沖地震災害復旧工事と蔵書点検のため、令和5126日(木)から224日(金)まで臨時休館いたします。

ご不便をおかけしますが、何卒ご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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この「ことばのうみ」テキスト版は,音声読み上げに配慮して,内容の一部を修正しています。
「ことばのうみ」は,宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第74号 2023年1月発行。

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