第31次 第4回 宮城県図書館協議会 会議録

 

1 日時及び場所

平成24年12月19日(水曜日) 午後1時30分から午後3時30分まで
宮城県図書館 2階研修室

2 出席者

伊藤 益義 委員
鵜飼 信好 委員(副会長)
佐々木 壽德 委員
齋藤 俊子 委員
寺島 英毅 委員(会長)
早坂 信子 委員
細谷 みつる 委員
渡辺 雅昭 委員

3 事務局出席者の職氏名


(教育庁関係)
生涯学習課長 西村 晃一(以下,西村課長)
生涯学習課課長補佐(生涯学習振興班長) 菊地 武彦
生涯学習課主幹(生涯学習振興副班長) 内馬場みち子

(図書館関係)
館長 大坪富雄(以下,大坪館長)
副館長 加藤 睦男(以下,加藤副館長)
企画管理部長 和賀 修治(以下,和賀部長)
資料奉仕部長 村上 礼子(以下,村上部長)
企画管理部副参事兼次長(総括担当) 関 照一(以下,関副参事)資料奉仕部次長(総括担当兼震災文庫整備チームリーダー) 大和田 順子(以下,大和田次長)

企画協力班次長(班長) 高橋 修
調査班主幹(班長) 吉田 浩之
利用サービス班次長(班長) 下山 邦彦
総務班主幹(班長) 渡邉 雅弘

4 傍聴について

関副参事から,傍聴希望者がないことを確認

5 開会

関副参事が開会に先立ち,菅井美枝子委員から事前に欠席の連絡があった旨報告
関副参事が開会を宣言し,本日8名の委員出席により定足数を満たし会議が成立した旨報告

6 会長挨拶

  それでは,慣例によりまして,挨拶いたします。今日はお寒い中,委員の皆様には大変ご苦労様でございました。
 図書館協議会では,年度当初に委員の大幅な交代があって,その時に,一つは基本計画,もう一つは貴重資料等の移管の問題,二つの大きな課題を与えられまして, そのうちの基本計画については,皆さんのご意見をいただいて,だいたいは今,最終的にまとまりつつあるという状況かと思います。今日は第4回の協議会ということになりますが, これから本格的に移管の問題につきまして各委員の皆さんのご意見を承って,今回と年明け来年2月の協議会で最終的に結論を得たいということでございます。
 移管の問題は,県議会に陳情書が出され,請願が出されて採択となっております。県議会あるいは陳情書が出された全国的な,そういう広がりの中で図書館関係者とか有識者の方々が注目して見ている, そういうことで我々も少しプレッシャーを感じながらのこれからの意見交換とまとめになろうかと思いますが,よろしくどうぞお願いを申し上げまして, 開会にあたって挨拶とさせていただきます。今日はご苦労様でございます。

7 大坪館長挨拶

  本日の協議会につきましては,前回の開催からわずか1カ月もたたないうちの開催となりましたが,委員の皆様には,師走の何かとお忙しい中, またお寒い中ご出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 前回の協議会には,欠席の委員もおられましたことから,改めまして,自己紹介をいたします。私,11月1日から宮城県図書館の館長となりました大坪 富雄と申します。どうぞよろしくお願いたします。
 さて,前回は,東北歴史博物館におきまして,私どもから次期図書館振興基本計画(中間案)及び行動計画(素案)をご提案し,委員の皆様から大変貴重なご意見を賜ったところでございます。 また,その後書面でもいくつかのご意見をいただきまして,ありがとうございました。図書館では現在,それらのご意見を踏まえまして,最終的なまとめの作業に入っておりまして, 年明けの2月の協議会には皆様に成案をお示しできるという予定で作業を進めているところでございます。
 また,本日は会長からお話がございましたとおり,「文化財資料等の移管に係る論点」を協議事項といたしまして,これから皆様にご審議をいただきたいと思っております。 前回及び前々回の協議会におきまして,図書館そして東北歴史博物館で文化財資料等の所蔵の環境等をつぶさに見ていただきました。そういった状況も勘案しながら, 図書館で所蔵している文化財資料等の望ましい取扱の方向性について,どうか,忌憚のない率直なご意見を賜りたいと考えております。限られた時間ではございますが, 貴重な意見を賜りますようお願い申し上げ挨拶といたします。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

8 配布資料の確認と日程(関副参事)

(1)会議次第
(2)宮城県図書館所蔵文化財資料等の移管に係る論点整理の結果について・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,資料1)
 配布資料として
 ・常設展示「きらめく叡智と美のしずく 宮城県図書館所蔵貴重資料(レプリカ)展」リーフレット
 ・「ことばのうみ」第42号
 ・冊子「みやぎの叡智-宮城県図書館 貴重書の世界」
 本日の日程ですが,会議終了は午後3時30分頃までを予定しております。

 

9 議長選出

図書館協議会条例第6条に基づき会長に議長をお願いします。これよりの進行は,寺島会長にお願いします。

10 会議録署名委員の指名

   議長が齋藤俊子委員を指名

11 議事

○ 議長
 それでは,議事にはいります。はじめに,(1)協議事項①「宮城県図書館所蔵文化財資料等の移管に係る論点整理の結果について」,事務局から説明願います。
○ 西村課長
 以下,資料1に基づき説明
※ 6月19日に開催されました図書館協議会において,皆様に配布しております「宮城県図書館所蔵文化財資料等の移管に係る論点整理の結果について」ご説明させていただき, その後,県図書館及び前回の東北歴史博物館の所蔵環境を委員の皆様に直接ご覧いただきました。本日はお手元の資料であります「論点整理の結果について」委員の皆様からご意見をいただきたいと思いますので, どうぞよろしくお願いいたします。
 進め方といたしまして,前回の協議会でご質問がありました,図書館法と博物館法の条文解釈について,ご説明をした後に, 資料の2「今回の移管に係る論点」の(1)及び(2)について,イ,ロ,ハの各論点ごとにご意見をいただきたいと思います。今回いただきました論点を踏まえ, 平成25年2月開催予定の次回図書館協議会におきまして,県図書館所蔵文化財資料等の取り扱いの方向性をまとめることとしております。よろしくお願いいたします。
○ 議長
 今,西村課長さんから説明がありました。ご質問等ございませんか。無ければ次に進ませていただきたいと思います。では,これから論点について一つ一つご意見をいただいていきたいと思います。 まず最初に,「県が示していた移管理由に関する論点」の「イ 所蔵資料の適切な評価について」ご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 西村課長
 その前に前回ご質問の図書館法と博物館法の条文解釈についてご説明したいと思うのですがよろしいでしょうか。
 ご質問二つほどございました。1点目は,各法第2条の図書館及び博物館に係る定義の規定の中で,収集した資料の取り扱いについて,図書館法では,単に「一般公衆の利用に供する」というふうにされているけれども, 博物館法では,「展示して教育的配慮の下に」とされている,ということでその「教育的配慮の下に」という意味が,どいうことでしょうかという,ご質問でした。 それにつきましては,関係条文について調べてはみたのですが,博物館法につきましては,残念ながら逐条解説というものがありませんでした。それで所管している文部科学省社会教育課法規係に確認いたしましたところ, 推測にならざるを得ないけれども,博物館と図書館の定義の違いによるものではないか,というような回答をいただきました。その内容ですけれども,そもそも博物館は文化施設であること。 それから博物館法が制定される以前は,例えば,見世物小屋など営利を目的としているものまでも「博物館」というような対象とされていた,ということだそうです。 そのため,あくまでも推測の域は出ないけれども,博物館法の制定にあたって,博物館とは教育的施設であるというふうに確認的に示したのではないか, 「教育的配慮の下に」という言葉にそういったことで?がっているのではないかと思われるということでした。
 次に第2点目ですが,各法第3条について図書館法では,「一般公衆の利用に供すること」とされ,博物館では「展示すること」とされているけれども,この違いは何かというご質問だったと思います。 こちらにつきましても今申し上げた文部科学省に伺ったのですけれども,博物館は展示だけではなく調査研究を行う施設でもあるけれども,博物館の定義に「資料を収集し,保管し,展示して」とあるとおり展示は博物館の大きな特徴であるというような話を受けました。 そのようなことから博物館法第3条に「展示すること」と記載されたものと思われる,ということです。二つのご質問につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。
○ 議長
 今の説明に対して更に質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
 無いようでしたら,次に進めさせていただきますが,図書館所蔵資料の適切な評価について,ご意見をいただきたいと思います。
○ 早坂委員
 この会全体で図書館資料を文化財資料というふうに名前をそっくり言い換えているのが気になります。図書館資料の中には,文化財もあれば,そうでないものもあります。 例えば今,毎日収集している新しい図書類を誰も文化財とは言いません。その資料と江戸時代の資料は?がっていて何の違いも無いのです。やはり江戸時代の資料であっても,普通の小説から非常に貴重な一点物の資料までありますし, 古いから全て文化財ということは決してないのです。幕末から明治というのは文化的には続いたものですし,印刷物もあれば,手書きのものもあるというだけの違いであって, 言葉の言い換えに騙されてしまい,明治20年で区切ってそれ以前を文化財というふうにくくるのは,図書館で使う用語としては大変不適切だし,曖昧ではないかなという気がします。
 それについて,今回の協議会で,どういう意図を持って「文化財資料」という言葉を使っているのかをお聞きしたいと思います。
○ 議長
 事務局から答えをいただく前に,各委員の皆さんのご意見があればお願いしたいと思います。
 確かに早坂委員がおっしゃるように,図書があってすぐ図書が文化財の指定を受けたからといって物になるわけではなくて,あくまでも図書ですからね。
○ 鵜飼委員
 資料については一抱えではなく,当然にそのものによって,例えば移管すべきなのかそうでないかというのを検討することが普通であると,私は受け止めていたのですけれども。
○ 早坂委員
 宮城県には齋藤報恩会博物館という有名な博物館があります。齋藤報恩会で所蔵しているものの多くは,ずっと宮城県図書館の一角の中に保管されていたのですが,昭和8年建物ができて図書館から移動したのです。 そのように,例えば宮城県美術館が新しくできた時には,髙橋由一のあの有名な「宮城県庁門前図」,図書館が持っていた近代美術資料の中でも白眉と言われているものを美術館に移管したのです。 それから歴史博物館ができた時にも,いわゆる博物館資料と呼ばれている鎧,刀,瓦や木製品など立体的なものについてはほとんど博物館に移管しました。それぞれ新しい建物ができて,そこに置くべきだと思われるものについては, これまでもたびたび移管しましたし,公文書館ができた時には宮城県の公文書を移管しました。その様にこれまで,全く何が何でも自分達が持っているものは,先にここで所有したのだから置くんだということではなくて, 十分に検討した上で,あるいは歴代の図書館協議会の委員さん達の勧告などに従って,その時代時代によってきちんと然るべきところに移管してきたのです。 ですから今,図書館に残っているのは,それ以降新たに寄贈されたものもあるかもしれないのですが,多くは,やはり図書館に置くべきだと判断して残ったものが,現在でもあるわけです。 根本的な問題として,機能を全うするためにどういったものを所蔵すべきか,ということがあるかと思います。
 実は平成11年頃だと思うのですが,図書館と美術館,博物館3館で協議をしたことがあります。それは本庁のかなりトップの方からの指示で,もう少し収集分担などができないのだろうかという話し合いだったのです。 それぞれの代表者が出て,第1回目が東北歴史博物館,第2回が宮城県美術館で開かれて,永続的な会議として実りあるものにするようにという指示を受けたのですが,美術館・博物館とも,我々は図書館法に依って建てられたものではなく, あくまでも美術館・博物館というのは展示によって機能する施設であって,図書館とは分担できないと言われたのです。図書館は一般公衆に貸出閲覧などの利用サービスが目的なのだから全部重複しても宮城県図書館で資料は持つべきだと。 私としては,例えば徳島県などでは,そういった機能の違う文化施設が共同でデーターベースなどを作って,一元的に県民に所在を知らせることができるようなデータシステムができ上がっていたものですから,それぞれの持っている所蔵資料について県民が, あるいは全国の方が通覧できるような仕組みを作るだろうと,それが今回の会議の目的なのだろうと考えて,準備をして打ち合わせに出かけたのですが,うまくいかなかった。 挫折をしてしまった。改めて図書館というのは,少し美術館・博物館とはやはり役割が違う。図書館司書が研究をするわけではないのです。あくまでも,研究するのは一般市民,利用者です。そしてそれを支援するためにどこの図書館でも所蔵資料のデータは, 必ず全部公開しています。インターネット上でも公開していますし,冊子目録等,過去にはカード目録等で全部分かって利用できるように,奉仕に徹するわけです。 そういう施設と,学芸員の場合は研究職ですから,その研究の成果を展示という形で,あるいは解説,講演という形で一般県民の方,利用者の方,観覧される方に提供するのだと,ここが決定的な違いなのだろうとその時思いました。
 前回,東北歴史博物館にお伺いした時も,この博物館の全所蔵資料というのは,目録などで公開されているのでしょうか,と質問しましたら,それはしていないと,ごく限られたものだけで,いわゆる研究紀要や年報は出している。 でも残念ながら目録は出ていないと,担当者の方がおっしゃっていたのです。そこが違うのです。研究の主体が一般公衆なのか,それとも美術館・博物館の学芸員の方なのか。司書というのは,あくまでも一般公衆である研究者が,よりよく研究できるように, 自分達が持っている全ての資料を目録に表現して,お伝えをして,インターネットでも把握できるようにしているわけです。そのように感じました。
○ 鵜飼委員
 今の件に関してなのですが,早坂委員がおっしゃっている内容は,詳しくは分からないのですが,このペーパーの中で2の(1)のイに密接に関係すると思って伺ったのですけれども,ここに記載しているのは「所蔵資料の適切な評価について」ということで, 関連することとしては,いわゆる図書館司書と学芸員の定義が,これまでの文化財指定等における図書館司書の関わりについて考慮する必要があるのではないかという検討視点をまとめておられるわけです。 ここについて,このような視点で良いのかという感じがしているのですが,先ほど文化財指定等に向けた調査研究を行う上で適切かどうかという,そういう切口,それだけではないという気がしているものですから, 「所蔵資料の適切な評価」というのをこういう切口で整理をすることが,これだけで良いのかというところに,若干どう言ったら良いのかわからないのですが,早坂委員のおっしゃったことは,ここら辺に含まれているのかどうか,それをちょっと言っていただけるとありがたい。
○ 早坂委員
 今おっしゃられたことは,宮城県図書館資料の文化財指定に関しての司書の役割なのですけれども,私も毎回文化財保護審議会の事務局に入り資料作成や資料説明の補助的作業に加わりました。 そこに東北歴史博物館の学芸員の方が一度も参加したことはありません。図書館の職員が委員からの質問に対して事務局の一員として,資料の説明をして来ました。 
 ではなぜ図書館員は研究職でもないのに,そういった資料について,全蔵書について,非常に大きな知識が蓄積されるのかという話です。長い期間,それこそ明治14年から職員がずっと蔵書目録を作り続けて来ているのです。 今はデーターベースですけども,当初はカード目録だったり冊子目録だったり,例えば,戦後受け入れた『伊達文庫』に関しまして作られた蔵書目録だけでもこのリスト一枚分あるのです。 切口が違いますので,同じ『伊達文庫』の目録でも,その中の古絵図目録だけをピックアップして作ったり,歌書だけを選択して目録を作ったり,あるいは中身が郷土に関するものだけを集めて郷土関係の文献目録を作ったりと, 長年目録作りをずっと職員が続けてきたのです。印刷までいく場合もデーターベース化する場合もありますが,そういう形で一点一点の資料について非常に詳しい知識を蓄積できる。
 それからもうひとつは,全国的な一流の研究者とのやりとりです。「研究課題に困ったら宮城県図書館に行けと言われているのですよ。」と先生方から聞いているのですが,全国のその専門分野の最高級の研究者が, 必ず夏休みとか春休みとか,そういった休み中を利用しては,たくさん研究に来られるのです。そういう方達から実際に資料確認をしながら様々な知識を得ることができますので,そういう長い経験の中で,特に郷土資料担当の方などが知識を蓄えて専門性を身につけていった。 その専門性というのは利用者の研究を支援するために,徹底的に奉仕する,その姿勢なのです。それが図書館と博物館の決定的な違いではないかなと実感しています。
○ 鵜飼委員
 文化財指定等に向けた調査研究が非常にメインになっているものですから,これまでの歴史の中では,そういうただいまのお話しの中でも全国的な価値の比較もできるくらいに非常に深掘りをされたご努力の中で, 文化財指定等に至るくらいに築き上げてこられたということは分かるのですが,その辺は結果論として言って良いのか分からないのですが,図書館としての役割というのが,利用者に尽くすというか,そのためにサービス,奉仕をするということにあるわけですから, そういう観点で所蔵資料の適切な評価というものが行われるというのが最初の観点ではないのかなと思ったものですから,その辺を確認したくてご質問したのです。造形物いわゆる形のある物といわゆる書籍なりとの違いについて, 過去においては美術館,博物館と話し合いをやってこられた。その辺は適切な保存環境の中で,紙とか木とか金属とか,資料の素材の特性に応じた保管環境を考える必要がある。 利用者のことを考えた資料の評価という切口も必要なのではないかと思いました。イの中の検討の実質的な中身に入ってくるのだと思うのですが。
○ 議長
 事務局から何かあればお願いします。 
○ 西村課長
 最初に早坂委員がおっしゃられた質問,「文化財資料等の移管」という言葉の使い方なのですが,我々,この問題,当初検討しはじめた時から,例えば今日お配りしている「みやぎの叡智」55ページに「宮城県図書館所蔵貴重資料」ということで「国及び宮城県指定文化財一覧」という資料があります。 我々その当時,どんな資料が県図書館に文化財としてあるのかということで調べ11万1千点あるということで,その時の検討からこの言葉を「県図書館の文化財資料等」という使い方をしていたものですから,こういった今回の議題もそういった表現を使っているということです。
○ 議長 
 他の委員さんの方から何かあればお願いしたいのですが。
 私の方から質問させていただきたいのですが。
 他の都道府県の図書館で重文だとかあるいは国宝だとか,そういう指定を受けた例はあるのですか。京都だとか東京,大阪,たぶんあると思うですが,そういうところで文化財の指定を受けたから,これは博物館へ行けだなんて話は出てきたことがあるのですか。 
○ 西村課長
 承知していません。
○ 早坂委員
 やはり東京都立・大阪府立図書館にそれぞれ文化財指定された資料は昔から持っていますし,インターネットでも一部は公開され見ることができます。もちろん最もたくさん持っている公立の図書館は国立国会図書館です。 東京や京都の国立博物館もありますけれども,国指定重要文化財を博物館へといった話はないです。国会図書館は国会図書館の中で重要なものをどう扱うのか,貴重なものをどういった保存環境のなかで収蔵するのか,あるいは盗難予防をするのかそういったことは十分に配慮はされているのですが, どこかに移すということはまったく聞いたことはないです。
○ 議長
 やはり図書は図書館だろうと思うのです。大原則だろうと思う。こういう例の方が分かりやすい。他に何かございませんか。
○ 渡辺委員
 適切な評価は必要なのだと思います。博物館に置けば良いのか図書館に置けば良いのかの評価をしないと。県民には,なぜそれが博物館に置いて,なぜこちらは図書館に置くのか,簡単に説明できるようにしておいていただきたい。 という意味では,適切な評価は必要なのだと思います。常にやっていていただきたいと思います。しかし,先に県が移管理由として挙げて,所蔵資料を適切な場所に置かなければならないということで, 移管を決めた時の評価はいかがなものだったのかというところが少し見えないと思います。 
 ですから,論点整理で適切な評価をしたから移したのだというようなことにはならないと思うのです。それで先日博物館に行かせていただいて,初めて宝蔵を見せていただきましたが,あくまであそこは蔵だなというふうに思いました。 なぜかというと,入るのに扉を何度も開けなければならない,きちんと空調などもやらないといけないということで大変丁寧に管理されていると思います。 ということは,あれはやっぱり宝蔵なのです。あそこに図書館から2月に移されたものがありましたが,あれは「開いたことがありません。」と博物館の学芸員さんはと言っている。 そうするとあそこにあった図書館から移管された資料はどんな評価をくだされて,移管されたのかというところが明らかでないと,私達はこの論点整理を是とすることはできないと思います。 その辺を教えていただけると,分かりやすいかなと思います。
○ 西村課長
 あくまでも当時の判断ですけれども,11万1千5百点程図書館に貴重資料がある。文化財指定になるような重要な資料もあるということから,歴史博物館に移管したほうが文化財指定を受けやすいのではないか, という判断が当時あったと思います。ということで,それらの資料をまず先行的に,震災前の2月に移したということです。付け加えますが,現在移しておりますが,その後震災を受けましたので, 正式な手続きがとられていない状況ですので,所蔵としては図書館のものが今,向こうに仮に置いてあるとご理解いただければと思います。
○ 渡辺委員
 くどいようですが,文化財指定が受けやすいために,受けやすいように移したということでしょうか。
○ 西村課長
 はい。
○ 早坂委員
 そもそも,宮城県図書館資料が文化財指定を受ける前は,県文化財に指定された書跡・典籍はお経『紺紙金泥大般若経』だけでした。東北大附属図書館に国宝に指定された『類聚国史』と『史記孝文本紀』はあったのですが, それ以外の文化財指定を受けた典籍は1点だけだったのです。東北六県の指定文化財の数と比べますと,宮城県が二桁少ない数でした。もう少し私達は,そういった古典的資料を修復や保管管理も含めて注意をはらわないといけないのではないか, ということで調査が始まりました。全国的な研究者の中からその分野の第一人者にお願いして,資料の重要性をに評価していただき,文化財保護審議会の委員の判断により最終的に指定に至ったので,図書館の問題提起がなければ, そのままだったのではないでしょうか。
○ 議長
 確かに,事務局というか図書館の職員はいろいろ自己矛盾を感じながら作業をやっているような気もするのです。前の館長の時に,まさに文化財の指定を受けて,これは図書館で管理できないから歴博の方に出すと, こういうことを決めて,そして今,場合によっては反対の方に,考え方というか価値観が変わろうとしている。自己矛盾を感じているのか,あの当時は,私は反対だったけれども,図書館のトップの考えがそうだから従わざるを得なかったとか, いろいろその辺はあるんでしょうが,それにしても,難しい立場だろうと思います。それはそれとして今,図書館協議会各委員の皆様のご意見を幅広くいただいて,過去は過去,今から貴重資料,図書館の収集とか,あるいは保管とか, こういうものをきちんと整理をして,ある意味では再出発しようと,そういう視点でぜひ,いろいろなご意見をいただくのがいいのかなと思いますので,よろしくどうぞお願いいたします。
 それで,今,渡辺委員の方から次の「適切な保管環境」の方に話が進んだようですので,1番の「所蔵資料の適切な評価について」は,また,後で気がついたことがあればご意見をお願いして, 次の「適切な保管環境」こちらの方に論点を移して,ご意見をいただきたいと思いますのでよろしくどうぞお願いいたします。
○ 早坂委員
 国立国会図書館の温・湿度について書いてあります。確か私が調べた限りでは相対湿度・相対温度と書いてあったかと思うのです。要するに,急激な変化はいずれにしろ好ましくないのですけれども, そもそも何百年も,普通の日本の気候の中で生き延びてきた資料がほとんどなのです。ですから,そのままで,急激な変化,突然暑いところからとんでもない冷たいマイナスの温度に置き換えるということがない限りは, どの専門家の方も問題はないと言っている。これまでずっと保管していたものが急激に虫がつくとか,ぼろぼろと劣化することはあり得ないということなのです。今,特別整理期間という2週間くらいの休館がありますが, あれは昔曝書と言っていたのです。曝書というのは,本を日と風に晒すことで,虫除けです。日に晒して虫が逃げていく。職員は長いこと古書に関しては,その曝書期間を利用しながら防虫剤を入れ替えしていたのです。 1冊1冊抜き出して古い防虫剤殻を捨て,新しい防虫剤を入れる,それを全員でやっていました。その時に傷みが分かるのです。ただ薬を入れ替えるだけではなくて,傷んでいるものはないか,これは修復が必要かなどを判断して, 修復が必要ならば製本室に届けます。当時は図書館の中に製本室があり,専門の製本家が常駐していました。そういう中で職員は自然に,古書の防虫剤を替えながら本の知識を身につけていったのだと思うのです。 今だと一挙に全体をガス燻蒸をしてという発想なのですが,最近では燻蒸はできるだけ差し控えた方がよいということがいわれ,急激な温湿度の変化さえなければ,今のままで十分に管理できるというふうにも言われています。 このことについては木質,それに金属等,紙以外,本以外について,ご意見があればぜひお聞きしたいです。
○ 議長
 最近のペーパーはだめだけど和紙は一千年もつとか,そういう話も耳にします。
○ 早坂委員
 今でも世界中の図書館では,日本から輸出している和紙を修復用に使っているのです。それぐらい日本の楮紙の紙質,それから墨,和紙とカーボンの組み合わせは,世界中で最強のメディアだと言われるのです。 ですから,酸性紙が問題になりましたけれども,ああいったような薬品処理をした西洋紙の,明治中期以降,大正昭和戦後間もなく,そのあたりの本が最も弱っています。特に古洋書ですね,百年もたたないうちに,端の方からパラパラパラパラ崩れてくるのです。 それに比べると日本の古典籍は強いです。
○ 鵜飼委員
 今のことに関しまして,特に紙に関して,和紙に関して,そこら辺はまさに重点的に専門家の意見を聞くことが必要だろうなと思います。とは言っても誰が専門家なのか私も良く分からないのですが, この頃原発の事故などを見ていても,色々なところからいろいろな専門家が出てくるものですから,まさに適切な専門家の選択というそちらが問題があるのではないかと思います。私はここに書いてあることそのとおりだと思います。
○ 議長
 それから私も少しお聞きしたいと思っていたのですが,貴重資料の閲覧とか,あるいは貸出とか,これは一般図書と違ってある程度制限しなければいけないと思うのです。たぶんやっているだろうと思うが,それはどういう根拠でやっているのですか。 規則のようなものを作って,それに基づいて,一定のルールの基でやっているのだと思いますが,その辺を少し説明をお願いしたい。
○ 村上部長
 館内の規則の中に貴重書・古典籍・古文書利用要項がございまして,その中に閲覧希望された方に関しましては,「閲覧券」に必要事項を記入し,それを照会するカウンターに提出し,職員がそれを受けて資料の状態を確認し, 判断して,例えば触るだけでも壊れるようなものであれば,基本的に一般の方には閲覧をご遠慮するという場面もありますが,まずはマイクロとか複製本があればそちらの方を使っていただいて対応しています。 研究者とか学芸員さんとかそういった方がいらっしゃった場合には,その時に協議をして,館として判断して対応しているというのが現状です。今の状態を申し上げますと全ての貴重資料がどういう状況かということは全て職員も分かっていれば良いのですが, 一つ一つ確認しなければならない状況なものですから,前もってお電話とか連絡を頂戴して,確認してお答えしているのが現状です。問題がないものに関しましては,すぐにご覧いただけるということがもちろんできるのですが, 少なくとも私が4月に参りましてからは,ほとんどが前もってのご相談という形でやっております。お断りすることはありましたけれども,基本的にお見せできるものについては対応して,閲覧室で職員が付いて諸事情を話してご覧いただく。 基本的にはマイクロを先にご覧いただきます。
○ 議長
 実態的なものはだいぶわかりました。それで今,館内のルールという話がありましたが,適用されるのは館内になるのだけれど,根拠は宮城県規則とか,一般県民まで適用するような規則となっているのか,そうでなくて県図書館の中だけで非公式のルールになっているのか。
○ 村上部長
 宮城県図書館利用規程という規程です。 
○ 議長
 内部の規程ですね。
○ 加藤副館長
 内部の規程です。県民の権利を規制したりとかそういうものであれば条例に基づかなければならないということがありますけれども,あくまでも施設の管理のための規定という位置付けになっています。
○ 議長
 場合によっては,その辺も一つの検討課題になるね。
○ 早坂委員
 そのことに関してよろしいでしょうか。私は国立国会図書館の古典籍室もよく利用します。先月も行ってきましたけれども,そこは土曜日以外は即日閲覧が可能なのです。 その場に行ってすぐ申し込めば,閲覧をさせていただけます。土曜日だけは人数が半分なので,予約資料をあらかじめ出していてくださって,行くとそれを次から次へ担当の方が出してくれます。
 以前はずっと宮城県図書館も同じようにやっていました。それには普段から,これは駄目これは良いというようなきちんと判断ができていなければならないのです。 日常的にそれをやっていれば,基本的に利用申請に関しては即日受け付けられるはずなのです。やはりそこを目指して欲しいと思います。いちいち一週間前に申請しなければならないのではなく,現代の活字本もいっぱい出ているわけですから中身を知りたいだけだったら何も古典籍を見る必要はないのです。 どうしても現物でなければならないというものに関して来ているわけですから,原則はやはり即日閲覧が可能な状態に常日頃から職員がきちんと判断をしておく。その方が資料は傷まないはずです。 同じ資料をいろいろな人が来るたびに職員が点検のため出し入れしていたら,その方がかえって傷める。それを避けるには日頃の点検が大切です。
○ 加藤副館長
 早坂委員がおっしゃるのはもっともで望ましいと思います。早坂委員が館に在籍しておられた頃は確かにそのような体制がとられるようなそれなりの人の配置なり,施設の規模なりがあったと思いますけれども, 現状ではその様な体制がとれるかどうか難しいところもあります。それについては,館としてもできるだけ本庁に要求しながら対応したいと思いますけれども,昔やれたから,国立国会図書館がやれるからできるということでは必ずしもないので, その辺はご理解いただければと思います。
○ 早坂委員
 すぐということではなくて,目指して欲しい,あり方をぜひご検討していただきたい。
 というのは,郷土資料とか古典籍に関しては非常に専門性が求められるのです。ですから,かつては,長期間担当して,専門知識を蓄積して,人材養成できたのです。そういう人がいれば毎回点検しなくても「あの本」と言えばどういう状態か分かるわけです。 そういう人材養成も含めましてご検討していただければと思います。
○ 議長
 少し検討してください。そういうことについてやはり今後,棄損したり,盗難ということは,たぶんないだろうけれども,そういう不貞の輩もいるものだから,やはり一般県民にも,貴重な図書だから閲覧するときはこれに従ってやってくださいということは, 私はきちんと示す必要があるのではないかと思うのです。そしてそういう心配のある人に関しては「お見せできません。」と,きちんと断ることもあると思うし,規程がよいのか,あるいは規則にした方がよいのか,今の条例がどうなっているのかわかりませんけれども, 将来的な課題として一緒にぜひ,検討してください。
○ 渡辺委員
 基本的なことですが,先ほど「みやぎの叡智」の55ページに「宮城県図書館所蔵貴重資料―国及び宮城県指定文化財一覧―」これの中で,一般に見せることができないものがあるのでしょうか。原則見せませんよ,地図はちょっとむずかしいのかも知れませんけど。
○ 村上部長
 6メートルから8メートルと大きいものとか,本館の業務に支障があると認められるもの,保存上支障をきたすもの,触ると剥がれていくとか,そういうものはお断りしています。
○ 早坂委員
 貸出・閲覧要請がきたらお断りしますというものは,もう既に決まっているものがこの一覧の中にあるということなのですね。
○ 村上部長
 その時の状況で判断します。先ほど話したとおり,その時見てこれは見せられない,触ったら壊れるというものに関しては,お見せできないこともあります。
○ 渡辺委員
 そうすると,指定文化財だから見せないとか,文化財でないから見せるとかの分け方はしていないということですか。
○ 村上部長
 そうです。
○ 加藤副館長
 先ほどマイクロフィルムがある場合,複製本がある場合はそちらを優先に見ていただくとお話ししましたが,お配りのリーフレットのレプリカ展,展示室に複製した本等を置いていますので,ぜひご覧になっていただければと思います。
○ 議長 
 他にございませんか。「適切な保管環境について」いろいろご意見をいただいていたのですが,次の「県民の利活用」この辺も,表裏一体だから,次の協議事項のご意見も含めていろいろご意見をいただきたいと思います。
○ 鵜飼委員
 先ほど会長がおっしゃったこととだぶるのですが,前回の協議会の時に,私「あったら見せてください。」とお話し申し上げたのですが,「東北歴史博物館では展示以外に閲覧機能(無料)を有している」ということなのですが, これは機能を有しているということではあっても,一体どういうような,先ほどの貸出規程とかがあってどういうような条件でこれができるのか,というようなことの比較が必要だろうなと思ったのです。図書館と博物館とで,これは閲覧機能があるということだけで, 同等の利用に供することができますよと読み取れるかどうか,あくまでも規程を比較しないとできないことなのです。従って,そのような規程があるのかないのか,あるいはどのような具合に整備すればよいのか, そのような面の深掘りも必要なのであって,機能を有しているからこれでOKですよという話ではなかろうと思うので,その辺の深掘りが必要かなと感じました。
○ 議長
 他にございませんか。
○ 伊藤委員
 私も同じ趣旨だと思いますけれども,そもそも,途中からだったので,どういう理由で今回の移管が始められたのか少し分からない部分があるのですが,やはり県民が利用する場合に図書館から博物館に移ることによってどういう違いが出てくるのかよく分からないのですが, 私も博物館で保管スペース等を見せてもらいましたけれども,かなり厳重な保管状況になっているので,仮に閲覧できるとしても図書館の時のように手続き的にはどうなのか,かなり厳しいのかという印象があるので, その辺がどうなるのかという点は非常に重要なのかなと思います。どう変わるのか分かるのであれば教えていただきたいと思います。
○ 齋藤委員
 今のに関連してなのですけれども,私も前回東北歴博に行ってないので,実際に向こうで見たわけではないのですが,先ほどの鵜飼委員の話,それから歴博に既に移管されものが,前回行った時にそのままになっていて,そこの学芸員さんが一度も開いたことがありませんとお話していたと伺いまして, そうすると確かに閲覧機能というのがあっても実際にそれは使えるのだろうかという素朴な疑問を持ったところです。やはり図書館にある資料というのはどのように使われるのかというのが一番大事なのではないかなと思うので, 果たして本当に使えるのだろうか,その辺のところがどうなのか,その辺の見通しについてもお伺いしたいなと思います。
○ 議長
 これが前回,歴博に行った時に頂戴してきた資料なのです。これを見ると収蔵庫と展示室しかない。閲覧室は無いわけで,だから図書が来たときには,無理して閲覧室を設けますよという考えだろうと思うのです。もともと閲覧ということを前提にしていない施設で, それは図書館と博物館に関する法律上の設置目的のところで,図書館というのは県民に閲覧利用を前提としている。博物館というのは展示が目的であって,展示が手段なんです。これはきちんと整理をして考えないと,歴博に図書が行った場合,閲覧をしたり貸出を受けたりは大変なことになるんだろうな, その辺も少し,事務局で,検討して整理して欲しいと思います。
○ 西村課長
 今お話しなさっている点ですけれども,その点につきまして,確かに当時議論になっておりまして,請願された方々からも,歴史博物館に移ると閲覧しにくくなるのでということは私も承っておりまして,当時,閲覧申込みであるとか, 閲覧場所について歴博としても図書館と同様に必要事項を記入して申し込むとか,図書館の「閲覧券」を発行するとか,そういった形で,歴博でもやりますということは確認しております。 ただ,今会長がおっしゃったように閲覧場所につきましては,歴博では当時「合同研究室」と具体的には私,場所は分かりませんけれども,部屋を用意しますとか,指定された場所を用意しますとか, 閲覧時間につきましても9時半から5時半まで受け付けますというようなことで,歴博も図書館に準じて行います。と当時言っておりました。
○ 議長
 ただ今言った「閲覧権」というのが,博物館にもあるのかというと,それはたぶん,無理だと思うのです。図書館にはそういう働きがあって,博物館で図書館と同じようにそういう権利を県民に認めろというのは,現実としてなかなか難しい。
○ 早坂委員
 もう一つよろしいでしょうか。実際にご利用なさっている方の行動を見ますと,古典籍なら古典籍をそれ一つだけ見るのではないのです。周りに様々な,例えば仙台人名大辞書とか地名辞典とか重ねて置いて, それを見ながら現物を見たりと,皆さん,図書館にある先行研究も徹底的に調べます。調べ終わって帰って研究しますが,その後必ず研究論文が掲載された雑誌なり図書なりを図書館に寄贈するのです。 それが蓄積されてまた図書館にその古典籍に関する参考文献がたくさん増える。またその関連の研究者は調べに来るという,循環でもって蔵書が段々増えてくる。その新しい資料について,図書館ですからコピーサービスもできますし, あらゆる情報が集めやすい中で研究ができる,これが大きな違いではないかなと思います。
○ 西村課長
 私が申し上げたのは,閲覧権利ではなく,閲覧券「チケット」の券です。ということで,様式4号が「閲覧券」ということになっています。
○ 渡辺委員
 先ほどからの質問に絡むのですが,貴重図書を見せるか見せないかの判断を,その時その時の判断で司書の皆さんがやっておられる。それで今早坂委員がおっしゃった様に,常にそれを見ていれば,その時その時に見て判断というよりは事前に申込みのあった時点で判断できるのだと。 ところが,早坂委員がいらっしゃった時のような体制にはなっていない。図書館には人的な問題とかいろいろあって,きちんと蔵書管理してあって,見せて良いかどうかの判断を事前に判断できるような状態にないとすると, 博物館は潤沢な予算があって,人的にも余裕があって,常に保管している資料の状態を確認できるような体制にあって閲覧に供することができるかどうかの判断をだせるような,そういう余裕のある運営状況になっているのでしょうか。
 当初,博物館でも閲覧できますよという説明を2年前に伺った時に,「なるほど,きちんとしているのだ,きちんとしているのだったら,どちらに置いても良いな。県民がどちらでも利用できるのなら」という評価ができるなら, どちらであっても差し支えないと思ったのですが,今お話しを聞いていると,図書館でもうまくできてないものが,なぜ博物館でできるのだろうかという素朴な疑問を持ったのです。ちょっとプリミティブで申し訳ありませんが。
○ 西村課長
 その時,歴史博物館の方々にその話を具体的に聞いたことがありませんので,推測になってしまうのですが,当時図書館の資料を移しても歴博の方では対応できると,そういう閲覧機能はあるのですと, 他にも以前から歴史博物館の方に問い合わせがあれば閲覧していたというようなこともあったそうなので,同様な対応ができると回答していた,ということでありまして,今図書館で運営閲覧されていてどのように対応しているか, それが一週間に何十回とあるのか,歴史博物館に行くと同等の対応が可能かというのは,私の口からは申し上げにくいです。
○ 早坂委員
 東北歴史博物館のホームページに,やはり事前の申請が必要だというような申請書の様式も一緒に載っていたかと思います。たぶん一週間以上かかったと思うのですが,全国どこの博物館も,必ず一週間以上あるいは二週間といったような事前申請の期間というのは必要です。 図書館は私が利用した限りでは,都立中央図書館とか大阪府立図書館とかは基本的には即日です。やはり閲覧を目的とした施設なのか,そうでないのか,大きな違いがあるので,たぶん今懸念されていたことに関して,歴博に行ったから即日閲覧できるようになる, スムースに閲覧できる。11万件の資料に関して詳しい職員が常駐しているということは,難しいのではないでしょうか。
○ 伊藤委員
 図書館から一部移管ではないけれども,博物館に保管しているものがあるとお聞きしたのですが,その場合,閲覧の申請があった場合は,どういった対応をされているのですか。
○ 村上部長
 移動して,運んでいるものはありますが,今,この話は止まっていますので,持ち主は図書館,歴博に預かってもらっている状況なので,対応は図書館の司書が出向いて対応している状況です。 この間,石川古文書をご覧になりたいという方がいて,研究者の方でしたが,今,歴博にあるのですがという話をして,歴博と対応を相談した結果,図書館のものなので,本館の職員が行って開けてご覧いただく対応をしました。 午後からご覧いただくものは図書館にあるので再度移動してご覧いただきました。あくまでも図書館の職員が対応しています。
○ 西村課長
 冒頭申し上げましたけれども,23年の2月に一部の資料を移管,当時,移管と言っていました。震災を受け,さらに,請願採択を受けましたので,移管を中止いたしました。 ですので今そういった意味では,宙に浮いている,そういう状況でございまして,前回ご覧いただいたものは,例えば,住民票は図書館にあって,歴博には仮に置いているとご理解いただければと思います。この協議会の結論をいただいて, 割り振りどうするのかということまで,次回一覧表をお示ししながら,それをご承諾いただければと考えております。
○ 議長
 これは,最初にあればもっと良かったのだろうと思うのですが,今日,11万点のうちの何を歴博の方に移して,図書館には何を残すか,その辺で総論文を,基準になる考え方について,いろいろご意見をいただいて,それに基づいて, 事務局で検討していただいて,2月の図書館協議会で,具体的に,一覧表に基づいて具体的に,今度は何を残して,何を移すか,そういうことでご意見をいただきたい。
○ 加藤副館長
 第2回の図書館協議会の際に,宮城県図書館所蔵の文化財資料等ということで今回の移管の対象とされました一覧表をお配りしております。第2回の資料で網掛けになっている部分が文化財資料が含まれているということでお示ししているはずです。 生涯学習課からお配りして,図書館の貴重書庫をご案内する時に持っていただいたと思うのですけれども,いずれ議論するに当たっては必要となるのでコピーして改めてお配りさせていただきます。
○ 議長
 はい。コピーで準備をしていただいて,時間の関係もありますので,前に進めさせていただきます。話は前後してもよろしいと思いますので。次に「陳情者等の意見を踏まえて改めて検討すべき事項」というのがありまして, それのイの「図書館の設立経緯について」。図書館設立当時から『青柳文庫』とか『養賢堂文庫』等の特殊資料といいますか,これも移管の対象になっているわけです。こういうものを移管して良いのかという,そういうことについてご意見をいただきたいということと, それからもう一つ大事な視点の一つなのですが,寄贈者が宮城県図書館に図書資料を寄贈するときに,宮城県図書館だから寄付しますということで,指定されて,指名して,図書として寄贈してもらっているもの,これを軽々に移管して良いのかどうか, こういう視点でのご判断についての意見をいただきたいと思います。
○ 早坂委員
 ロに該当するかと思うのですが,例えば歴代の館長さんが亡くなった時に遺族の方が,自分の父なり祖父なりが館長を務めた記念に寄贈したいというもので,三つ大きなものがあります。 半田卯内旧蔵書(『半田文庫』),この方は第10代図書館長をされた方です。それから,その前第8代の大槻文彦さんの旧蔵書,これもその息子さんが,館長を務めた宮城県図書館に縁の蔵書として,寄贈を申し出られたものです。 それから佐々久第30代館長なのですけれど,亡くなってから奥様が,館長を長く務めて,その後もずっと務めてらしたので,縁の資料を納めて欲しいということなのですね。それらは館長を務めたからという理由です。
 それからもう一つは,『伊達文庫』,伊達家から購入したものなのですが,あの中にたくさんの仙台文庫の旧蔵書が入っているのです。仙台文庫とは,明治時代に旧藩士の有志たちがお金と本を持ち寄って,作った自前の図書館なのです。 大変珍しい会員制図書館で,あまり長くは存続できなかったのですが,閉館する時に,伊達家に置かせて欲しいということで,『伊達文庫』の隣のところに永らく置かれて,それが戦後,『伊達文庫』とともに宮城県図書館に入ってきたという経緯があります。 こういったものは,個人個人が図書館を創りたいという思いで創ったものなので,やっぱりこういった意思というのは無視することはできないというふうに思います。その他,『小西文庫』,言えばきりがないのですが,ほとんどの特殊文庫の寄贈者は,宮城県図書館のヘビーユーザーの方々だったのです。 また図書館の過去の本を利用して,自分達の著作活動を成し遂げたものですから,お礼の意味もあって,寄贈されたのです。図書館にある蔵書を利用して本が生まれた。だから,私の本と,自分が使った本と一緒に図書館に置いて欲しいと,ほとんどはそのケースです。
 今,毎年予算要求して県費で購入しているから,県のものだという意識が強くなるかと思うのですが,古典籍は全然違います。ほとんどが寄贈なのです。ですから,必ず寄贈者の意思というものがそこに込められているはずだと思います。 仙台文庫を含めて歴代の館長さん,それから郷土史家の方々,図書館を盛り立てて,図書館に集まっては,展示会など自分達で自主主催した人ばかりです。そういう方達の声もぜひ聞いていただきたいと思います。 もう一つ,街頭紙芝居なのですが,これも,実はいくつかの団体が名乗り出て,争奪戦を繰り広げていたのです。一番有力だったのが,仙台市の歴史民俗資料館,さらに仙台文学館,県の中央児童館,それから東北歴博も名乗りを上げて,井上さんが最終的に決定して,宮城県図書館が譲り受けることになったのです。 その理由として,「図書館には印刷紙芝居がたくさんある。それとともに置いて欲しい。」という井上さんの意志が決定的な要因だったのです。ですから,そういう寄贈理由がハッキリしている場合について,その寄贈者の意思と関わりなく県の財産だからと移管するのは,やはり非常に問題があるのではないかと思われます。
○ 議長
 半田さんというのは,めしの半田屋の。
○ 早坂委員
 はい,そうです。めしの半田屋さんのご先祖です。
 時々寄贈者の子孫の方が確認に来ます。図書館に今でもありますかということで,そこで初めて分かることもあるのです。
○ 議長
 何かご意見はありますか。
○ 鵜飼委員
 今(2)のイ・ロについては,ここに,図書館の歴史との関係性を考慮すべきではないかとか,書いてありますが,完璧に尊重すべきなのだろうというふうに思います。要するに,図書館に置いて県民のために利用させてくれということで寄贈したものでありますから, 当然その意思を尊重しなければならない,これは通常だろうと思います。一般の利用の供に耐えられなくなる場合,その場合でなおかつ保存の価値があるという場合は,その時は博物館に保存して,それで何かの時は,展示に供したり,あるいは特別な閲覧に供したりというような使い方をするのが, 良いのではなかろうか,私自身はそのように思います。
○ 議長
 私もこれは最大限尊重しなければいけないものだろうと思います。ただ寄贈者の意向というのも,何年ぐらい,10年なのか30年なのか50年なのか100年なのか。やっぱり考えなくてはならない問題はあるのだろうと思います。 街頭紙芝居も閉架書庫の方に案内していただいた時に,最近傷みが相当ひどくて,一般の人の利用もなかなか難しいという話もありました。だから,マイクロ化して,現物は手にできないにしても,マイクロフィルム化して,それで皆さんに利用していただくと,そういうことを将来的に考えてもらわなくてはという気がするのです。 そうなると,閲覧とかそういうことができなくなってしまえば,その時点で歴博に移しても良いのかななどと思ったり,だから寄贈者の意思は最大限尊重するにしても,どの程度なのかという問題も内蔵していますので,そういうことも含めていろいろご意見をいただきたいと思います。
○ 鵜飼委員
 今,街頭紙芝居の話が出たのですが,やはりあれを見ると,実際に使いたい,やってみたいという人は,かなりいるのです。実際に使いたい。ただ現物を見ると,あれは使えるか,ボロボロになって崩れてしまうのではないかということなので, できればあの中でも,本当に利用したいというリクエストの多いものについては,優先的に複製していただいて,それでそれを貸し出すということを試みるべきだろうなというふうに思います。 その他のものについては,まさに保存していくことに意義があるというものが随分あるのではないかと思います。その辺の仕分けをやらなければならないのではないか。
○ 早坂委員
 「行動計画」の方に提案してあるのですが,紙芝居については,ぜひデジタル化して画像を全部インターネットで公開して欲しいと思います。著作権の問題を言われるのですが,紙芝居の制作者であることを名乗りたがらない方もおられる。 ですから,なかなか突き止めるのが大変です。加太こうじさんだとか,何人かの方から了解を得て,貸出できるよう複製本を創っていたはずです。かつては,比較的に保存状態の良い物については,何セットかリストアップして,それは貸出していました。 私は全部デジタル化して公開をして,プリントアウトを自由にすれば良いと思うのです。そうすると皆さん,カラーで自由にプリントアウトして,自分達で,ご家庭や幼稚園などで紙芝居を演じられるように作れます。著作権者や承継者には名乗り出るよう呼び掛けて後で処理をする方法です。
 図書館がこれは良かろうというのを選ぶのではなくて,あっ,これおもしろい,演じてみたいと,演じ手が自分で選べるようにしていただければと思っています。
○ 加藤副館長
 今お配りした「宮城県図書館所蔵の文化財資料等」の裏面の一番最後に「網掛けは,国・県指定有形文化財が含まれるもの」と書いてあります。網掛けがコピーして見えなくなったので口頭で説明をいたしますと, 1の文化財資料の文化財区分「歴史資料」の(1)『坤輿万国全図』,「近現代資料」の(1)『街頭紙芝居』,2の「特殊文庫」の(1)『伊達文庫』と(5)『大槻文庫』,3の「一般古書」の(1)『菊田定郷旧蔵書』と(3)「収集・寄贈図書」の中にも含まれているということになります。
○ 議長 
 それでは,他に,「図書館の設立経緯について」というところと,「寄贈者の意思等資料取得経緯について」この辺でその他,ご意見ございませんか。
○ 早坂委員
 この『図書館文化史』という本の著者,綿抜豊昭さんという筑波大の先生は,外国と日本とそれぞれ図書館が文化史的にどんな発達を遂げたのかを書いていらっしゃるのですが,宮城県の事例を日本の図書館史の代表として紹介しているのです。 第6章は,「地域文化と図書館―宮城県の場合」とあり,112ページから122ページまで,写真入りで,『青柳文庫』の歴史も含めて載っています。宮城県は,旧仙台藩領とほぼ重なっている。近世時代から近現代に至るまで同じ領域を通覧できる地域というのは他にあまり多くない。 それから,宮城県図書館は,131年間,連綿として一回も廃止されること無く続いてきた,これもまた大変珍しく他に例がないのです。こういう場所で図書館が生まれた背景や継続できた土壌を調べることによって,日本における図書館文化史をたどれるのではないかということで宮城県を取り上げているわけです。 宮城県は日本を代表する図書館文化を持った地域だということで知られているわけですから,それを大切にして敬意を払って欲しいと思っています。
○ 細谷委員
 今の早坂委員のお話を聞いて,それから今の会議の内容を聞いて,国及び県の指定文化財をどうして移管しなければいけないのかなということを,一貫して思っておりました。場所が足りないのかな,それともお蔵に入れてしまいたいのかな, どうしてかな,他に理由があるのかなと思いながら聞いていました。これから超高齢社会,それから人口が減っていく,そういう時代になっていく,悲しいかも知れませんが,そういう時代になっていくのも併せて,県の文化財,宝物を皆さんにたくさん見せる機会を増やすということ, 今までよりも増やすということを県の図書館の職員の方達にしていただくことが,県民にとっても教育的な財産を見ることに対して,目を肥やすことにつながることになるのではないかと一貫して思って聞いておりました。
 併せて,「レプリカ展」これは私は,あらかじめ見せていただいて感動したのですが,この「レプリカ展」が始まりますよという話を先に地元の小学校に言ってきました。特に小6の人に,担任の先生に言ってきました。 歴史の授業をしているから,見て来て欲しいなという思いで紹介してきました。たくさんの人にこういう財産を見ていただくことが図書館の使命であって,また東北歴史博物館の使命ではないかと思います。こちらの県の図書館の方が見ていただく機会が多いのであれば, 移管せずに何度も機会を持って人に見せる方がよろしいのではないかなと思います。
○ 齋藤委員
 伺ってもよろしいでしょうか。この移管対象になっている11万点の資料が,一部もう東北歴博の方に移管され,ストップしているという話を伺いましたけれども,この中で既に行っているものというのは,どれなのでしょうか。
○ 議長
 はい,では事務局から。
○ 西村課長
 ご質問は,歴史博物館に今一時的に持って行ってしまっている物はどれなのかということですが,絵画が全て行っています。工芸品も行っています。「古文書」のうち『角田石川文書』から(12)の『飯坂誘客人簿』まで,そこも行っています。 それから『郷土関係古記録』24箱,(16)まで行っています。「歴史資料」の(3)の『古銭』。それから「近現代資料」の(3)『教育掛図』です。これらは,当時,職員自ら運搬できるということで運搬しておりまして, 残ったものは,予算をかけて業者委託をしながら運ぶという計画になっておりました。ということで,職員が2月に運んで,3月の震災を受けて,請願採択になって,一旦中止されているという状況です。
○ 加藤副館長
 特殊文庫と言われるものについては,今でも図書館にあります。
○ 伊藤委員
 歴史博物館に移管する一つの理由として,文化財指定を目指すということがあるのかどうか。もし,あるのであればここにある11万点皆そういうことを目指すために移管しようとしているのか。そこはどうなのでしょか。
○ 西村課長
 当時の判断としては,先ほどご質問がありましたが「県民の財産である文化財資料等を適切に評価,管理するためには,専門の学芸員による調査研究が必要」ということで,歴博の方に移管すれば,より文化財としての指定が推進されるのではないかということで, 当時考えていたということでありまして,11万1千点全てがなるかどうかという点については,その後中身を検討しながら,ということになったのかと思いますが。 このような中で,さらに推進できるのではないかという思いがあったためだと思います。
○ 鵜飼委員
 専門の学芸員ということなのですけれども,私も詳しくはないのですけれども,学芸員というのは,それそれぞれ同じ立場の古文書の研究にしても,近世の専門家であるとか,あるいは別な時代であるとか,いろいろと結構細分化されているのではないかなと思うんで,そこら辺の, 学芸員と言っても一口に,学芸員とひとくくりにできないような気がするのですけれども。その辺も検討する際には考慮にいれていただければと思います。
○ 齋藤委員
 前期の図書館協議会の時に,歴博への移管問題の話が出た時に,確か,私の記憶だと,移管の大きな理由としては,県の図書館にこのまま置いておくよりも,その貴重な資料が歴博のほうがより良い状態で長く保存できる。だから歴博にというようなお話だったように記憶しているんですけれども。 その辺のところ,どうなのでしょうか。文化財指定が主目的なのか,よりよい状態で県民の財産を長く保存したいということなのか。その辺のところもう一回確認しておきたいと思います。
○ 西村課長
 先程少し舌足らずだったかもしれませんけれども,県が移管したいという理由がイ,ロ,ハだったわけです。先ほどご議論いただいた適切な保管環境,当時,文化財資料の保管に当たっては,文化財法に適した保管環境機能が必要だということで, 前回ご覧いただいた東北歴史博物館の保管庫の方が,やはり空調関係が24時間空調になっているとか,そういった保存環境なり,あるいは保存処理,そういったところで,より長く後世に伝えることができるという判断をしたわけです。 先程,お話しのように,和紙は,それほど影響を受けないのだと,むしろ環境を変える方がまずいのではないかとお話しいただきましたけれども,そういったご意見をいただきながら,まとめていきたいと考えております。 その論点ということで,まさに示したわけです。ハは,県民の利活用ということで,県民サービス上の影響について,当時は歴史博物館に移管することでより広範に県民に情報提供できるのではないかという判断をした,ということで,移管を決定したわけですけれども, 先程のお話のように,むしろ図書館に置いた方が,閲覧がしやすいのではないかという話もいただいております。そういった考え方でまとめていきたいと思っております。
○ 議長
 よろしいですか。それで,協議事項で最後にひとつだけ残っておりまして,これは,あまり難しい問題ではないと思うのですが,「資料に関連する諸物との一体性について」ということで,これは歴史資料の養賢堂の机とか筆入れ,書見台,この辺ですか。
 養賢堂文庫と一体性があるから,こういうものは,図書館の方に,机・書見台・筆入れ,こういうのは,図書館に残した方が良いのではないか,ということだろうと思いますが,ご意見をいただきたいと思います。
○ 早坂委員
 前回,宮城県図書館の展示室を拝見しましたが,あの展示室が,古典籍の所蔵を前提としており,国分町の出版街の模型と,養賢堂で机に向かって一生懸命勉強したであろう子供の姿が図書館の特色を表すものとして,作られているのです。 せっかくあそこまで作り上げて,そこから机・書見台・筆入れが無くなったりしたら,あとは何にするんだろうと不安になります。やはり,東北の中でも,『図書館文化史』に取り上げられる日本を代表する図書館文化圏と認められている宮城県の図書館ですから, ぜひ関連の物は一体として展示室にあのまま飾って欲しいと思います。
○ 議長
 たぶん反対意見はないと思います。
○ 渡辺委員
 総じて,私は想定していなかったのは,昨年2月にこれらについてそれぞれ意見を,各委員が意見を言うことになるということを想定していなかったものですから,心の準備もありまして,できれば図書館の方に伺いたいと思うのですが, 11万点全てとは限らず,11万点の中で,これを図書館に置くことで,とても負担が重くて,とても職務遂行上,不都合だ,これはぜひ移管したいという積極的な,と言いますか,やむにやまれぬ思いの蔵書というのはあるのでしょうか。 そうであれば,これは考慮しなければならないと思いまして,伺いたいと思います。
○ 加藤副館長
 まず逆の話になるのですけれども,まずぜひここにあって欲しいという,望ましいというものに関しては,やはり,当館のこれまでの経緯等,ルーツにもつながります青柳文庫,養賢堂文庫等は,やはり当館にあるのが望ましいのではないかと思います。
 一方,本ではないもの,絵画,工芸品といったものについては,やはり博物館資料と一緒に扱って,その管理についても本来的な趣旨としても,そういうものについては移管した方が望ましいのではないかという思いがあります。
 また,扱いとして微妙と思うものについては,街頭紙芝居,これは5万7,075枚とかなりあるのですけれども,先ほど会長がおっしゃったように,やはり利用していただくということで考えますと,早坂委員もおっしゃっていたように,将来的にはデジタル化して, 皆様に活用していただくという形が望ましいと思いますので,これも予算の話があるので,すぐに,いつまでという話はできないのですが,やはり将来的にはそういう方向で考えたい。 ただ,実際に使うことができないものについては,デジタルデータの元になるものとして歴博の方でご覧いただいた,きちんとした管理をしていただく方法もあるのかなと考えております。
○ 議長
 そういう意味では,2月には,今日いろいろご意見いただいた,これを元にして,移管する,いやこれは図書館に残す,その辺の考え方の整理をまずして,これ事務局の方にやってもらいたいと思っているのです。その上で,具体的に,何を残して,何を移管するか, これについても,事務局で案を作ってもらって,それについて,あと委員の皆さんにご意見をいただきたいなと。それで,一つ一つについて移しますか,残しますかと,これをやったのでは,大変なことになると思いますから, まず,事務局で移管についての基本的な考え方を整理してもらって,それに基づいて,移管すべきもの,残すべきもの,整理していただいて,それを基にして,あと具体的に決めていきたいなと,こんな風に進めて行きたいと思ってますので,よろしくお願いします。
○ 齋藤委員
 これから文化財指定を目指すものもこの中に入っているんですか。そうすると,この中で,その文化財指定を目指すものとは,一体何なのか,その辺のところも分かっていると,残すもの,移管するものと分けるのに便利かなと思います。 その辺も教えていただけると良いと思います。
○ 西村課長
 そこまで詳しく個々のこの古文書を指定する,お願いしたいというところまでは詰まっていなかったのです。ですからそれは,移管した後に研究してもらって,古文書としてどうなるのかとか,その関連性とか,他のところと比較しながら, これは対象となるかなというような学術的な研究も必要というような話も伺っておりますし,今どれどれを目指しているというのは,なかなか難しい。
○ 議長
 ということは2月までには間に合わないと。
○ 西村課長
 はい,難しいと思います。
○ 齋藤委員
 はい,分かりました。
○ 議長
 今日予定されておりました協議事項については,だいたい以上で,皆さんの協力をいただきまして終了することができました。これまでの議論というのは予め準備されていた項目に従ってやってきたのですが,最後に全体的に考えて, 移管の問題について,これだけはなんとか一言,要望して置かなくてはいけないとか,聞いて置かなくてはいけないとか,そういうことがございましたら,お願いしたいと思います。
○ 早坂委員
 二つです。図書館の「図」というのは,図と書きます。あれは,地図及び図画なのです。ですから絵画も含むのです。書物と図画と地図と,これを保存するのが図書館です。
 もう一点目は,利用者と共に評価していくというのが正しいあり方です。お蔵入りになった資料は,誰にも利用されない状態で頑丈な蔵にしまわれていれば,それはほとんど遺棄と同じことなのです。学者の方が言われました。 外国に行って図書館で資料を見るのと,博物館で資料を見るのと,全然違う。博物館の資料の多くは誰にも使われないままに放っておかれる。つまり,利用の機会がないと百年でも二百年でも放っておかれると。 やはり利用して,利用者と共に,評価しながら修繕しながら保存していくのが正しいやり方だと思います。
○ 議長
 他にございませんか。無ければ,以上をもちまして本日の議事の全てを終了させていただきたいと思います。これまで円滑な議事進行にご協力いただきましてありがとうございました。長時間にわたりありがとうございました。ご苦労さまでした。

12 閉会

関副参事が閉会を宣言し,一切を終了した。

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