第31次 第3回 宮城県図書館協議会 会議録

 

1 日時及び場所

平成24年11月22日(木曜日) 午後1時30分から午後3時40分まで
東北歴史博物館 1階研修室

2 出席者

伊藤 益義 委員
鵜飼 信好 委員(副会長)
寺島 英毅 委員(会長)
早坂 信子 委員
渡辺 雅昭 委員

3 事務局出席者の職氏名


(教育庁関係)
生涯学習課長 西村 晃一(以下,西村課長)
生涯学習課生涯学習振興班課長補佐(班長) 菊地 武彦
生涯学習課生涯学習振興班主幹(副班長) 内馬場みち子

(図書館関係)
館長 大坪富雄(以下,大坪館長)
副館長 加藤 睦男(以下,加藤副館長)
企画管理部長 和賀 修治(以下,和賀部長)
資料奉仕部長 村上 礼子(以下,村上部長)
企画管理部副参事兼次長(総括担当) 関 照一(以下,関副参事)
企画協力班次長(班長) 高橋 修
調査班主幹(班長) 吉田 浩之
利用サービス班次長(班長) 下山 邦彦
総務班主幹(班長) 渡邉 雅弘

(東北歴史博物館)
学芸部長 山田 晃弘(以下,山田部長)

4 傍聴について

関副参事から,傍聴希望者がないことを確認

5 開会

関副参事が開会を宣言し,本日5名の委員の出席により定足数を満たし会議が成立した旨の報告

6 会長挨拶

  それでは,開会にあたりまして挨拶いたします。先ほど事務局から,不手際でこちらの会場に変更になったという説明がありました。不手際というよりは,この後,いよいよ, 図書の移管問題で皆様に議論いただかねばならない保管場所の問題について,いろいろ議論があるところでありますので,前回は図書館の閉架書庫を見ていただきましたが, 今回は,歴博の方の展示機能とか,あるいは保管の機能とか,そういうものも直にご覧いただいて,不明な点は歴博の職員に,いろいろ聞いていただいて,移管の問題について, 我々もある程度責任を持ってご意見を申し上げなければいけないものですから,こちらの方で開催させていただきました。
 今日の予定は1時間半ということで,時間的制約があります。
 したがって,基本計画については,中間というよりは,そろそろまとめにさしかかっているのだろうと思います。基本計画について,いろいろご意見をいただき,その後, 歴博の内部についてご視察をいただくということですので,移管についての意見交換,これは12月19日に予定をし,準備をしている次回の協議会でいろいろ話し合っていただくということになると思いますが, おおまかに言ってそのような予定で今日は協議会を開催させていただきたいと思います。ぜひ,忌憚のないご意見をいただきたく考えております。本日は,よろしくお願いいたします。

7 大坪館長挨拶

  ただ今紹介いただきました大坪でございます,11月1日付けで館長に就任いたしました。
 私は平成21年3月,県議会事務局の事務局長を最後に県を退職いたしまして,その後,住宅供給公社というところに役員として,先月まで,宅地造成及び公的賃貸住宅の管理, こういった仕事をやっておりまして,そしてこの度,図書館で勤務することになりました。
 教育委員会関係の勤務は初めてでございます。それに加えまして大変微力ではございますが,図書館の良い運営ができますよう,精一杯取り組んで参りたいというふうに考えておりますので, どうか皆様,ご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
 さて,本日は寺島委員長はじめ,この協議会に出席いただきました委員の皆様,大変お忙しい中出席いただきまして,ありがとうございました。ただ今,会長からご紹介がありましたように, 本日は議題といたしまして,ご審議をお願いする議題として,「図書館振興基本計画(案)」でございますが,それと「貴重資料の移管について」は, 本日はこの歴史博物館の現地調査をしていただくということでございます。前回,委員の皆様から,基本計画につきましては,前回に引き続きご審議をお願いするということでございますが, いろいろ貴重なご意見を賜りまして,それを踏まえた形で今回,修正をして,ご提案するところでございます。
 どうか,委員の皆様におかれましては,忌憚のないご意見を賜りまして,良い計画を策定したいと考えております。本日はよろしくお願いいたします。

8 配布資料の確認と日程(関副参事)

① 会議次第
② 宮城県図書館振興基本計画(案)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,資料1)
③ 「宮城県図書館振興基本計画(案)」に係る図書館協議会委員の意見一覧・・・・・・・・・・・・・(以下,資料2)
④ 宮城県図書館所蔵文化財等の移管に係る論点整理の結果について・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,資料3)

 本日の日程ですが,終了は午後3時40分頃までを予定しております。

 

9 議長選出

図書館協議会条例第6条により会長に議長をお願いします。これよりの進行は,寺島会長にお願いします。

10 会議録署名委員の指名

   議長が早坂委員を指名

11 議事

○ 議長
 それでは,議事にはいります。はじめに,(1)協議事項①「宮城県図書館振興基本計画(中間案)について」,事務局から説明お願いします。 なお,この基本計画について,前回の協議会で,書面で意見を求めて3名の委員の方から意見があり,資料2ということで示されております。 この辺について,どういうふうに取捨したのかも含めて,事務局から説明いただければと思います。
○ 和賀部長
 中間案について,ご説明申し上げます。若干,これまでの経緯をご説明申し上げます。 会長から話がありましたとおり,前回の協議会でご意見をいただいたところです。
 その意見をもとに,全体の見直しを図るということで,館内にワーキンググループを設置しておりましたので,ワーキンググループで議論を重ね,修正を行って, 11月6日に策定委員会の幹事会を開きまして,併せて11月9日の策定委員会で中間案を協議し,内容を修正して,本日の中間案として提案しております。
 ワーキンググループの修正作業に当たりましては,文言の整理,本計画と行動計画の整合性を図る,本計画は館としての運営方針とする,図書館としての目標や役割であること, 次期計画の最終年の5年後の評価時を考慮する,第2章第2の「宮城県図書館の目指す姿」と理念が融合するような形で策定作業を行ってまいりました。

 以下,資料1に基づき説明 
○ 議長
 ありがとうございました。
 ただ今の説明について,ご質問,ご意見等がございましたら,お伺いしたいと思います。
○ 鵜飼委員
 前回と今回の多大なる作業に敬意を表します。
 ひとつ,6ページのところで,これは私の意見なのですが(3)の「子どもの読書活動を支援する宮城県図書館」という中の内容です。 「子どもたちが本や言葉にふれる機会・・・本に親しみ,基本的な読み書きの能力向上につながり・・・」とあるのですが,子どもが読書するということは, 「基本的な読み書き」以上に,「ゆたかな心や社会性」が育まれるということが最も大事な点なのではないか,と思われますので,そういうくだりをここにはめ込んでおかれたらよろしいのではないかという意見がひとつであります。
 それから,10ページのところですが「(ア)学習機会の提供」というところで「ボランティアの活動」という部分が出てございますけれども,この中でこれは意見というか質問になるかも知れませんが, 4行目でしょうか,「学習活動を発表する場や各種ボランティアが活動する場」という具合に,確かに図書館法の中で述べられているところですけれども,「各種ボランティアが活動する場」というところが, 正確に言えば「各種ボランティアとして学習成果を活用する場」ということなのではないかと思います。図書館法上は,生涯学習で得られた成果を活用する場の提供ということがありますので, できれば,正確な標記に直していただいた方がよろしいのではないでしょうかという2点です。よろしくお願いします。
○ 和賀部長
 6ページの(3)については文言追加して整理したいと思います。
 10ページの「学習機会の提供」については,「学習活動を発表する場」や「活動する場」というのは, 県図書館を使ってそういう場を提供しようという考えで表現したものですから,ご指摘の点については再度検討します。
○ 議長
 よろしいでしょうか。早坂委員どうぞ。
○ 早坂委員
 多くの注文に対し,隅々までいろいろな文言を追加することによって基本計画に反映していただいたことに感謝しております。 文章をそのまま実行するのが難しいものもありますし,大事なものが,行動の中で失われてしまいかねないこともありますので,むしろ実行こそが問われるのだろうと思います。
○ 議長
 他にございませんか。
 ご質問がなければ,この「宮城県図書館振興基本計画」につきましては,議論もだいぶ進みまして,会議の冒頭で申し上げましたけれども,そろそろまとめに入らなければならないということで, この後また,基本計画の中間案を読み直していただいて,気になるところがありましたら,事務局に電話なり何なりで連絡いただいて,更に修正していく。そして,次回の協議会には, 最終案という形で提出していただいて,そこで皆さんのご了解をいただいて成案としていきたいと思います。そういう進め方でよろしいでしょうか。ご異論がなければ進めさせていただきます。
 続きまして,協議事項②「基本計画行動計画(素案)について」事務局から説明願います。
○ 関副参事
 以下,資料1,14ページのからの内容に基づき説明
 この行動計画は第3章の施策の展開を受けて,具体的な事業を想定しています。ワーキンググループでは,行動計画策定のために9月末から10月中旬にかけまして,職員全員を対象として意見を聴取し, 行動計画(素案)の具体の取組,事業内容の提案をいただきました。それらをもとにワーキンググループで協議を重ねて作成し,11月6日の策定委員会幹事会及び11月9日の策定委員会に提案し, 資料の修正を行い,行動計画(素案)を策定いたしました。
 本日,行動計画(素案)について,意見をいただきますが,もし後日意見等がありましたら別添封筒で皆様に差し上げております用紙に記入していただいて,12月6日まで郵送していただければと思っておりますので, よろしくお願いいたします。今後の予定といたしまして,本日と12月6日までにいただいた意見を反映し,修正等行いまして,更に市町村図書館等からの意見聴取, それから1月には県民を対象としたパブリックコメントを反映した最終案を2月開催予定の図書館協議会に報告いたしまして,3月の第4回策定員会において承認を受け, 基本計画及び行動計画を決定したいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
○ 議長
 ただ今の説明について,ご質問・ご意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
○ 鵜飼委員
 行動計画の中身の件でよろしいですか。17ページなのですが,番号にして11番「図書館でのボランティア活動促進」という部分ですけれども,ここで「目指す姿」の中で「子読書」のところが白抜きになっていますが, これは白抜きで良いのでしょうか。なにか関係しそうな気がするのですが。黒塗りでよろしいのですね。 
○ 関副参事
 はい。
○ 鵜飼委員
 それと同じなのですが,19ページ18番ですが「図書館関係職員に対する効果的な研修の企画・・・」とあります。これは市町村図書館の関係職員の方をイメージされておられるかと思いますが, ここについても,むしろ,子どもの読書関係のニーズが多いのではないかなという感じがいたしますので,ここについても施策的には考えて行かなくてはいけないのではないだろうか, 行動計画として,そういう意味では「子読書」のところが黒塗りになるのではないかなと考えたのですが,いかがなものでしょうか。 
○ 関副参事
 はい。
○ 鵜飼委員 
 もうひとつは,18ページなのですが,これは実は不勉強でわからないのですが,17番「児童資料研究相談室」というのがあります。これは前の資料に書いてあったのですが, 設置目的に沿った形でやっていかなくてはいけないという話が出ているのですが,そもそも「児童資料研究相談室」というのは,いわゆる設置の目的というのは,どういうものだったのでしょうか。 
○ 早坂委員
 図書館建設の時に,児童資料のサービス体制についてのまとめをやりました。実は県立図書館の児童図書というのは,県によって非常に考え方が違って,子ども図書室を持っているところ,持ってないところと,分かれています。 宮城県図書館は永らく紫山に移るまでは児童図書室が無かったのですが,その代わり児童資料研究相談業務は行っていました。多くの市町村図書館にとって,やはり主なサービス対象というのは子どもが多かったものですから, それに関する研修会を開催したり,運営や資料収集について,助言を行ったり,そういうサービスを早くから行っておりました。
 図書館の中では,そういうことこそが,県立図書館の役割であって,例えば,子ども図書室を実際に開くのは,ある意味二重行政ではないかというような考え方をする県もありました。 本県の新館建設計画の中で早くから「相談室」がメインとして構想されました。子ども図書室も,児童サービスの研修を開催するに当たっては,実際に担当したこともない業務について,指導ができるものだろうかというようなこともあり, 実験的,モデル的といいますか,そういった形での「子ども図書室」の考え方が,後から追加されたのです。子どもの本は年間3,000冊くらい発行されるのですが,全点購入し, 相談室に置いて,さまざまな子どもの読書に関わる先生方,市町村図書館の職員,あるいは文庫の方,そういう方達が来て,実際にそこで本を見て選定ができるような場を作ろうとしました。 今でも残っていると思いますが「相談カウンター」も設けてあります。常時開放して,そこにいろいろな研究者が訪れて児童文学,あるいは児童サービスなどのレファレンスに応じていたということです。 今では,「子ども図書室」がメインになっているのではないかと思います。じっくり選本する場というのは,宮城県全域を見渡してもなかなか無いのです。本屋さんの数が減り,子どもの新刊書を常時見ることができる場所というのは少ないのです。 ですから,そこの資料の並べ方はユニークで,年度ごとに並んでいます。高校生以上だったと思うのですが,誰でも自由に研究,相談ができるようにと意図したのですが,その精神は非常に重要ではないかと思います。
 少し長くなりますが,実は私,昨日まで図書館総合展に参加しておりまして,最新の『地方財政と図書館−光交付金で図書館整備を−』といった資料などもいただいてきました。 これは文科省,総務省の担当者,片山元総務大臣,そういった方々も参加され盛会でした。総合展の中でやはり一つの問題として,県立図書館の役割は何なのだということが,あがっていました。 例えば,県立と市立が一体化し融合された形で計画されている図書館も現れたり(高知),あるいは神奈川のように貸出や閲覧をしないで,市町村図書館を支援することに徹する図書館構想を打ち上げたりする例も出てきているのです。 子ども達が学校から帰り鞄を置いて「おかあさん図書館に行ってくるよ。」と言って,毎日でも通える,そういう図書館が本来のモデル図書館ではないだろうか,という議論があります。 県立図書館の児童サービスには,おそらく,鵜飼委員さん達がなされている活動の支援であったり,市町村図書館の児童サービスの支援であったり,さまざまな学校図書館に関わる方の支援であったり, そういう後方支援サービスに,より重要な役割があるのではないかということを,昨日も改めて感じて戻ってきたところでした。  
○ 鵜飼委員
 分かりました。そういう意味では,県立の図書館というのは,児童サービスの面で,どういう役割を担えば良いのかというのは,市の図書館あたりと比べると大変難しいというか, 線引きが難しいと思うのですが。全点購入でずっと揃えている中で,例えばボランティアをやっている人からすれば,全てを見るというのは必要だろうか。必要な場合もあるけれども, それよりももっとそういう活動していくためには,どういうような観点で,どういうような絵本があるのか,あるいは,児童文学の中でもどういう分野のものがあるのかという, こういういわゆる探すためのリストみたいなものがあることが,とても望まれるというか,今おっしゃった後方支援になると思います。ということで,ぜひ,そのような方向で役割を考えながら, そういう意味での指導的役割をこの相談室で持たせていかれたらと良いのではないかなと思いました。今,早坂委員のお話を伺って何かそんな感じがしました。
○ 議長
 他にございませんか。
○ 伊藤委員
 2点質問させていただきたいと思います。ひとつは,15ページ6番の「所蔵資料のデジタル化とデジタルアーカイブ推進」の中で,概要の下の方で,電子書籍に触れられているのですが, 「規程整備」というのが25年度に行われるということなのですが,実際の電子書籍の対応というか,いわゆる「電子図書館」というか,そちらについて,どの程度まで進められることを考えておられるのか, その辺をお聞きしたい。仙台市でもその辺の検討をしなくてならないものですから,確認させていただきたいと思います。
 もうひとつは,16ページの「保存の充実」の8番「県内市町村図書館等に対する資料保存センター機能の整備」というところで,これは平成25年度に新たに設置するということなのか。 それで我々としてもスペースの問題というのは非常に大きな問題となっていて,こういう形で支援されることは,助かると思うのですが,どういうものをイメージされているのか。 宮城県図書館の方にそういうセンターのような所を設けるのか。その辺のイメージを教えていただきたい。
○ 関副参事
 15ページ6番「所蔵資料のデジタル化とデジタルアーカイブ推進」については,中身も含めて,今から検討に入るというところです。
○ 加藤副館長
 デジタルアーカイブのページのところの「利用規程の整備」ですが,平成25年度規程整備ということで書いているのですけれども,その前提として本文の9ページをご覧願います。 (3)「活用の充実」(イ)「デジタルアーカイブ」のところの後段です。「電子書籍が身近に利用できる環境も整いつつあり・・・」,各地の図書館でも様々な試みがされています。 図書館におけるデジタルアーカイブや電子書籍の活用について,様々な技術的観点を含めて検討をします。」と書いておりまして,電子書籍ですと,秋田の図書館では,今すでに先行してやられているのですが, まだ,どの様な形がスタンダードとして定着するかというのも,電子書籍もキンドルとかkoboとかいろいろ出てきて,技術的にどんどん変わっています。目指すところは規程の整備なのですが,その前段階のところの, 技術的観点を含めての検討というところでですね,ここがちょっと時代の趨勢を見ながら進めていくことになるので,来年に規程整備できるくらいの状況にはまだ至っておりません。 そういう技術的なものも含めて,30日に実は市町村職員の研修会・連絡会ということで予定している中でも,いろいろな電子書籍のデモンストレーションを計画しておりまして,そういうことも含めて検討していくことになりますので, 若干ここは後に押してくる可能性はあるということで考えております。いずれここは避けては通れない道なので,いろいろな情報を集めて検討して進めるということで,多分実際の進捗状況は, 仙台市民図書館さんとあまり変わらない状況ではないかと思いますけれども,そういう状況です。
 16ページ8番「県内市町村図書館等に対する資料保存センター機能の整備」ということでは,これは具体的には,新たなセンターを図書館の中に設けるということではなく,閉架書庫の中にそういう様なスペースを確保して, できるだけ網羅的に県内での書籍を取り揃えるということです。例えば,市町村図書館の方で,市町村図書館に限らずなのですが,書籍を処分するというような時に,県図書館に連絡いただいて,県内の市町村図書館,県図書館で保有していないものは, うちの方で積極的に収集するとかですね,それから,例えば雑誌のバックナンバーなどでも,うちの館でも持っていないものがあるのですが,それも各図書館さんに照会して,揃えていないもので, 各図書館で持っていて必要が無くなるだろうというものは収集して,網羅的にバックナンバーを揃えるという様なことを検討しております。そういう意味での資料保存センターということです。 これについては,市町村図書館には無いのだけれど,宮城県図書館に行けば県内で唯一本があるという様な状況を整備していければなということで考えております。
○ 早坂委員
 よろしいでしょうか。今のデジタルアーカイブの件なのですけれども,実はつい先日も宮城県図書館にCD−ROMを利用しに出かけました。それは館内LANで閲覧できる漢字のCD−ROMだったのですけれども, そのように県図書館は,かなり早くから全国に先駆けて,企業情報データーベースとかそういったさまざまなCD−ROM,電子資料をインターネットではなく,館内LANの中で閲覧できる環境を整えているのです。 ですから今,「これからだ」とおっしゃるのは,著作権の絡む電子書籍のことかと思います。著作権処理の済んだ法律関係の判例であるとか,現行法規総覧であるとか,企業情報,50万社の企業情報が閲覧できるデーターベースは, 既に早くから利用できる環境が整っているのです。また,それに関する利用規程などもできております。
 更に,ホームページにある「叡智の杜」というデジタルアーカイブをご存じかとも思います。これも早くから実施しているのですが,ただ,秋田県ほどピーアールがうまくなかっただけで,いろいろな人から評価をされています。 ですから,いくつかあるデジタルアーカイブ手法の3分の2くらいはもう実行しています。残りの著作権が絡む部分が残されています。私,2つほど,今までの提言の中で書いていたのですけれども, 例えば『宮城県史』の全文をテキストデータで公開して欲しい。問題は著作権ですが,宮城県が著作権者ですから問題ありません。
 もう一つは,街頭紙芝居です。ぜひ,全てをデーターベース化して画像を公開して欲しい。著作権は確かに絡みます。今まではきちんと突き止めて,許可を得て公開していましたけれども,国会図書館並にまず公開する。 そして,「著作権者に心当たりのある方は,ぜひ名乗り出て欲しい。」と呼び掛ければ良いのです。そのようにしなければ,紙芝居の原著作者はなかなか名乗り出ません。国会図書館がデジタルアーカイブを公開した時と同じように, まずは公開する。そして,著作権者が名乗り出た時点で,それをきちんと調整,クリアするという方向で,ぜひこの2つのアーカイブは率先して行って欲しい。
 デジタルアーカイブというのは,何でも良いから流行だから,やるというものではないのです。そこにしかるべき価値のある資料がなければ,やる意味が無いのです。
○ 議長
 事務局からのコメントはありますか。
○ 和賀部長
 今回震災で全点資料が消失した南三陸町とか,女川町の場合ですが,やはり郷土資料で,宮城県史が当然無くなって,その辺は私たちも,そういうものをデータ化すれば,どこでも誰でも閲覧できるだろうということで, そういうことも現在,想定した動きとして行っているところであり,できれば実現したいと考えております。
○ 鵜飼委員
 全くそのとおりだと思うのですが,早坂委員がおっしゃったとおり,データーベース化そのものはもちろん,絶対必要なことですから,やはりせっかくあるのだから,それをピーアールすること。 そこをピンポイントで力を入れてやってもらったらよいと思うのですが。本当に宮城県図書館らしさというものが全面に出て来るのではないかと思いました。ピーアールは,ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
○ 加藤副館長
 もっと広報をしっかりしなければいけないということは,おっしゃるとおりなので,できるだけやりたいと思います。それから,今度11月の末から常設展として貴重資料のレプリカ展を行います。 最近,ずっと震災関係の特別展をやっていましたので,ここで貴重資料のレプリカ展とうことでピーアールをしていきたいので,ぜひ渡辺委員にとりあげていただきたいと思います。
○ 渡辺委員
 昨日,震災展の記事が出ていました。小さくてすいません。
 質問という形で,16ページの9番「情報リテラシー支援」について,先ほどからずっと私の仕事でもあるなと,深く考えて,どうしたら良いのかなと思って,なかなか答えが見つからずにいたのですが,図書館の使い方などですね, 「図書館利用者を対象に講習会を開催する。図書館の効果的な利用を普及啓発する。」と,もちろん大切なことです。この項の一番に挙がっているのは当然だと思うのですが,図書館利用者を対象に講習会を開催するということの限界性というのかですね, つまり図書館に行く人は,多分使い方を知っているから行く,その人にもっと良く使ってもらおうというねらいであると理解するのですが。これからやるべきは,図書館が果たすべきは, 今まで使っていない人に,どう使ってもらうか,図書館の良さを知ってもらうかという,広く言えばピーアールでありましょうし,リテラシーの供給であろうかと思うのですが。 それらについて,この計画をお作りになる段階で,たぶん職員の皆さんからも,もっとこういうことができるのではないか,ああいうことができるのではないかというアイデアがあったのではないかと思うのです。 これで中間評価をした場合,私たちはやりましたという評価で100点だとしても,その効果はいかがか,ということになるのではないかと思うのです。ですので,その辺をもう少し,何か,もしかするとこれは教育庁全体の仕事かもしれないし, 学校だけではなく,難しいのですが,新聞も絡むのですが,その辺はですね,もう少し,ぐっと押し出すような事業である方が良いのではないかなと思いましたが,いかがでしょうか。
○ 加藤副館長
 情報リテラシー支援だけだと既に図書館を使っている方ということで,もう少し幅を広げてということだと,学習支援にも盛り込むべきだと思います。その部分については,いろいろワーキングの中でも出たような話を取りまとめているのは, 15ページの「活用の充実」5番「本と出会う仕掛け作り」というのがありまして,「特集コーナーや展示,書架分類の解説などにより図書館を利用し,新たな知と出会う仕掛けを用意する。」などのほかに, 「県にゆかりのある作家やプロスポーツ選手などと連携し,新規利用者層を意識した読書振興の機会を創出する。」ということで,例えば川崎市であれば,川崎フロンターレというサッカーチームと連携して, 新規の顧客開拓をやっていますので,そういうことも参考にしながら,「活用の充実」の部分でそういうところは充実させて行きたいと思っております。
 今回,行動計画に書いております取り組みは,主なものとか,特徴のあるものということで,絞って書いておりますので,具体の個別の事業については,毎年度の事業計画の中で具体的に取り組んで行くということで考えております。  
○ 議長
 他にございませんか。
 無ければ,続きまして③「文化財資料等の移管に係る論点」について事務局から説明願います。
○ 西村課長
 第1回,6月19日の図書館協議会においてお示ししました論点整理の結果について,委員の皆様からご意見をいただくことに当たりまして,前回9月14日の協議会において,図書館における文化財資料等の保管の現状を直接見ていただきました。 今回は東北歴史博物館の保管の現状,そして昨年2月に図書館から一部貴重資料を運んでおりまして,その状況であるとか,その辺もご覧いただきながら,この場にお戻りいただいた後,時間がありましたら,保管状況に係る感想であるとか, ご意見等をいただければと思っております。そうした上で,冒頭,会長がお話されたとおり,次回12月19日開催予定の第4回図書館協議会におきまして,整理の結果についてのご意見をいただきたいと思っておりますので,よろしくお願いします。 
○ 議長
 それでは,このあと東北歴史博物館の担当者から案内していただきます。

※現場へ移動
○ 議長
 それでは,東北歴史博物館の収蔵庫をご覧になって,さすがだなという感を抱きましたが,そこで,ぜひともこれだけは聞いておきたいということがあれば,せっかくの機会ですから,質問等がございましたらお願いします。
○ 早坂委員
 2月28日に第1回の移管が行われたと,先ほどお話の中にありましたが,その資料について問い合わせや利用の依頼について,現在どうなされているのかお聞きしたいと思います。 
○ 村上部長
 ご存知かと思いますが,白紙撤回という話がありましたので,図書館から運ばれたものに関して,問い合わせ,閲覧の希望があった場合には,図書館の司書が対応にまいりまして, こちらの山田部長と調整させていただいて,立ち会わせていただいて,開けてご覧いただくという方法をとっております。先ほどご覧いただきました「石川文庫」などはその良い例だと思います。
○ 議長
 その場合には,申出があってすぐにという訳にはいかないのでしょうね。
○ 村上部長
 調整させていただいて,いくらか時間がかかるということになります。 
○ 西村課長
 補足させていただきますと,2月に移管した資料について,正式に書類を取り交わす前に震災が起きまして,宙に浮いた状態といいますか,ものはこちらに保管しているが書類上はまだ移管されていないという状況になっているものですから, そのような措置をとっており,基本的には図書館にあるという位置づけをしております。ですから,今回図書館協議会でご議論いただいて,こちらにあるものをどのように戻すのか,考えながら我々も整理をしていきたいと考えております。
○ 早坂委員
 実際,図書館には,元に戻されたものだと思っておりましたので,そのままになっているということは,大変意外でしたし,これは利用者の方々にご不便ではないかなと思いました。
○ 議長
 県議会の方からは,一旦戻せという話もあったのですが,戻して,また協議会で議論をして,整理をしてまた運ぶとなると経費もいろいろかかるので,現実的な対応としては,今のままに当分しておいて, 図書館に置くべきものと,歴博に移管すべきものとが,はっきりした時点で,戻すものは戻す,その後歴博の方にお願いする,そういうものがあればそのまま移管する。その方が私は現実的な解決策だろうと思います。
○ 鵜飼委員
 先ほど言いかけたのですが,この次までで結構ですけれども,いわゆる閲覧に関する諸規定みたいなものがあれば,それぞれの規定が知りたいと思います。それから,条文の解釈上,図書館法の第2条と博物館法の第2条でもって, 博物館法の第2条でことさらその,「展示して教育的配慮の下に,一般公衆の利用に供し」とあるのですが,図書館法では,「整理し,保有して,一般の利用に供する」とあるのですが,この「展示して教育的配慮の下に」というのが埋め込まれたというのは, どういう意図があるのか,条文解釈上の話としてどういうふうに考えればいいのかということを教えてもらえればなと思います。
 資料の収集までは,同じなのですが,途中で少し違ってくる。図書館は「整理し,保有して」,博物館法では「展示して教育的配慮の下に」というこの違いというのは,一体どのように考えればいいのかな,分からないものですから。
○ 議長
 次回までの宿題ということでお願いします。
○ 早坂委員
 今のに関連して,図書館法第3条と博物館法の第3条にも同じことが言えます。図書館法第3条によりますと「収集した資料を一般公衆の利用に供する」とありますが,博物館法では「収集し,保管し,展示すること」とあるのです。 「一般公衆の利用に供する」とは書いてないのです。ですから,あくまでも図書館と博物館の根本的な機能の違いとしては,図書館は,直接,一般公衆の方の利用に供する,つまり「読書」という形です。 一方で博物館法は,学芸員が,研究し,その成果を展示という形で,一般に教育的配慮の下に利用に供するということが,大きな根本的な違いだろうと私は思うのですが。 その辺も併せて,次回教えていただきたいと思います。
○ 議長
 その辺りも併せて,次回までの宿題ということでお願いします。
○ 渡辺委員
 歴博の部長さんにもうひとつ質問させていただきたいのですが。博物館で資料を集める場合に,ですね,一般論で結構なのですが,民間から寄贈したいという場合に,それを全部受け入れる訳ではないと思います。 その基準であるとか,もうひとつは,学芸員の皆さんにはそれぞれ専門があり,こういう資料を集めたい,こういう資料が欲しいということで集めることもあろうかと思います。その際,それぞれの学芸員の専門に基づいて集めるとだと思うのですが, 今はどの辺のものを,現下の学芸員さんは主にどの辺を集めていらっしゃるのかお聞かせ願いたい。
○ 山田部長
 うちは,考古,歴史,民俗,美術,建築,保存,科学の6つの分野の人間がいるのですけれども,保存,科学は収集はしません。それぞれの分野ごとにどのようなものを研究,収集していこうかというものを持っておりまして, それは年報などにも記載しているのですが,歴史分野につきましては,結構幅広い分野で目標を設定していまして「東北地方の歴史に関わるもの」みたいな話ではあります。
 ただ,現実的には,どのような分野でどのようなものがあるかというのは,当然研究が伴って決まってくるものでして,その研究の結果,こういうすばらしい資料がいろいろなところに保管されているというのが分かるのです。 また,そういうものを基本的に何でもかんでもうちでいただくという訳にはいきません。個人でお持ちのものがあり,市町村,地元でお持ちになる方がふさわしいものもあるでしょうし,むしろそういう方が多いのではないかと思っております。 ですから,なかなか研究テーマに沿ったもので,ズバリというものをどんどん集めるというのは,かなり古い段階の各地の博物館ですと,かなり強引にやっていたところもありますけれど,最近はあまりそういうことはしません。 それから,個人からというのは先ほどのものもそうなのですが,持ち込みのものが結構ありまして,今度,家を片付けたとか,ほぐしたとかいうことで,こんなものが出てきたのだけれどもどうだろうか。 そういうものが多いものですから,その時には幅広い対応をさせていただいております。
 先ほども申し上げましたが,類似の資料が結構ある場合とか,それからやはり,個人お宅の歴史にとっては大切なもの,例えばアルバムとかそのようなものであっても,博物館資料として今後公開にふさわしいものかどうかというと難しいものもありますので, そこら辺を考えた上で,寄贈,寄託を受けることとしております。
 それから,うちの方で年間3本のうち,2本くらいは自主企画の展示をするのですけれども,その展示でいろいろ資料調査をさせていただいた結果として,並べた後に良かったらこれをこのまま博物館で使っていただけないかということをおっしゃっていただいて, いただくということもありまして,実は先ほど「荷解き」で見ていただいた昭和の資料は,そういう関係でいただいたものです。
○ 早坂委員
 この建物の名前に「東北歴史」と入っていると思うのですが,やはり日本全国を見回すと「佐倉」に国立の歴博があって,九州に「太宰府」があって,ここは元々は「多賀城跡調査研究所」ですか。そのあたりが母体となっているのでしょうか。  
○ 山田部長 
 母体ではないです。
○ 早坂委員
 やはり,この名前を「東北」と付けられたということは,東北一円の青森から福島に至るまでの,さまざまな歴史資料を収集していらっしゃるのですか。
○ 山田部長
 まず,名前の由来なのですけれども,昭和49年に設立し,「東北歴史資料館」だったのですが,その頃,国の構想だったのでしょうか。地域をまとめた広域の,将来的には国立にしたいという博物館を作っていこうということで, うちと九州と瀬戸内,同じように「歴史資料館」というのですけれども,それらが作られた経緯がありまして,それでその時「東北」という名前を付けたと伺っています。それで新しくこの博物館を作る時にどうしようかということだったのですけれども, やはり従来の考えを引き継いで,基本的には東北地方全体の歴史をこの仙台で紹介しようということで,展示の内容も東北全体を扱うこととしております。しかし,資料については,なかなか他県に行って資料を持ってくるというか, 寄贈を受けるのは,現実的に難しいです。それぞれの地域の教育委員会とか博物館がありますので,なかなかそれを収集することは難しいです。しかし,研究対象とするとか,データをとらせていただくとか,そういうことは盛んにやっております。 そういうことをやりながら,それを展示に結びつけていこうということで,現在,福島県と共同で観音像の調査をやっておりまして,再来年の開催を目指して準備をしているところです。
○ 早坂委員
 先ほど,掛仏の大変すばらしい,写真でしか見たことがなかったのですけれども,あこがれていたものが,今日見られて本当にうれしかったです。美術工芸あるいは美術史の専門の方がいらっしゃるとお話は聞いたのですけれども, 「宮城県美術館」とは何か収集の分担のような取り決めはしているのでしょうか。
○ 山田部長
 美術工芸分野では基本的には時代で分けています。美術館は基本的には近代,うちは近世以前を中心に。といっても近世ばかりですけれども。そんなふうに分けています。
○ 議長
 それでは,時間もだいぶ超過をいたしました。皆さんの熱意の表れだと思います。以上をもちまして議事を終了いたします。円滑な議事進行にご協力いただきありがとうございました。

12 閉会

関副参事が閉会を宣言し,終了した。

宮城県図書館

〒981-3205

宮城県仙台市泉区紫山1-1-1

TEL:022-377-8441(代表) 

FAX:022-377-8484

kikaku(at)library.pref.miyagi.jp ※(at)は半角記号の@に置き換えてください。