平成19年度 第2回 宮城県図書館協議会 会議録

 

1 日時及び場所

平成19年10月4日(木曜日) 午後1時30分から午後3時まで
宮城県図書館 2階研修室

2 出席者

秋月 治 委員,石田 義光 委員,遠藤 幸生 委員,齋藤 弘子 委員,佐藤 敏国 委員,関口 怜子 委員,永野 為和 委員,二瓶 瑠璃子委員,野家 啓一 委員,渡辺 好子 委員。

3 事務局出席者の職氏名

館長  伊達 宗弘,副館長 沼田 雅美,企画管理部長 大森 紀和,資料奉仕部長 大林 茂,企画管理部次長 長尾 徳治,資料奉仕部次長 菅原 泰博,企画協力班長 内馬場 みち子,調査班長 大和田 順子,利用サービス班長 渡邊 明彦,主幹 阿部 毅, 主幹 菊地 喜和子,主査 野澤 郁晃

4 開会

 司会者長尾企画管理部次長が本日の協議会は定足数を満たしたので、有効に成立した旨を告げ開会を宣言した。

5 挨拶

○石田委員
前回は体調不良のため欠席させていただきました。議長も変わっていただいた永野委員さん始め、委員の皆様や事務局の方々には大変ご迷惑をお掛けしましたのでお詫び申し上げます。第一回の会議を踏まえての今日の会議ですが、資料もまえもって送っていただいておりましたので、図書館振興基本計画等についてご審議いただきますが、委員の皆様方の活発なご意見をお寄せ頂き、事務局の皆様と意見の交換をして有意義な協議会にして頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○伊達館長
やっとさわやかな秋を迎えました。委員の皆様にはお集まりいただきましてありがとうございます。今日は、従来から作らなければならないものですが、図書館振興基本計画案と宮城県図書館における「音と映像のフロア」の今後の在り方について、どうぞ忌憚のないご意見を頂きますようにお願いいたします。  
 

6 議長選出

石田会長を選出

7 傍聴について

傍聴希望者が無いことを確認。

8 会議録署名委員の指名

○議長(石田委員)
 佐藤委員を指名します。

9 報告

○ 議長(石田委員)
報告事項として「宮城県図書館振興基本計画」について、事務局の方からお願いします。
○ 事務局(野澤主査)
資料(「宮城県図書館振興基本計画」(案)及びご意見)に基づき説明
○ 議長(永野委員)
只今の報告について、ご質問・ご意見はありませんか。 
○ 齋藤委員
最初に生涯学習に役立つ図書館とありますが、これ一つとっても、大変なことです。以前から疑問に思っていましたが、図書館の職員の方々はいつ話し合いをする時間があるのでしょうか。11月からは第一金曜日も開館することになったようなので、職員間で話し合う時間が無くて大変なのではないかと心配に思うのですが、叡智の杜やプロジェクトの話し合いとか、体制作りについて検討しあう時間的余裕がおありなのかどうかお伺いしたいと思います。
○ 事務局(野澤主査)
ここに載せているのは全体図の中の極一部なので、このほかにもいろいろとありますが、カウンターを持ちながらどうやって事業に力を注ぐか、何が重要な事業なのか事業の精選等行っていかなければなりません。事業の見直しを行うためにも計画を立てているので、精選して不要なものはなくしていかなければならないのです。
○ 沼田副館長
第一金曜日の全体会議の時には、防災訓練や職員全員で共通に行う研修などのほか、例えば、プロジェクト22のようなグループごとに話し合わなければならない打合せなどを行っていたのですが、宮城県は予算が無くこれからはもっと厳しくなり、人は減るが増えることは無い状況を考えると、やらなければならないことがたくさんある中で、きちっと優先順位をつけて重点項目を決めて工夫しないと、みんな中途半端なものになってしまう恐れがあります。時間の使い方を相当工夫して相当な見直しをしなければならないのですが、これまで総合計画の基本的な方針が無かったので、職員一人一人が一致した共通認識が持ちにくいという状況でした。今年度は基本的な方向を示して、来年度具体的な行動計画を決めて、優先順位をつけた中で、市町村図書館や学校図書館とも連携して進めて行かなければいけませんが、宮城県独自でなしうるものは少なくなるだろうと思っています。
○ 齋藤委員
生涯学習を心がけていらっしゃる方々は、人生経験も時間もたっぷりとおありで、学習意欲も旺盛な方が多いと思うのですが、そんな方が生涯学習に訪れた時に、職員の皆様が激務に追われて疲れている状態では、きちんとした対応ができなくてかえってサービス低下に繋がるのではないかと心配に思います。そんな方々にいつも充実してきちんとした体制がとれるような図書館を目指して時間をとっていただきたいと思います。
○ 野家委員
遠藤委員の意見にもありましたが、これからは紙媒体に加えて電子媒体が増えてきますので、情報拠点としての図書館、デジタル化に伴う諸問題等、司書に要求される能力もこれまでと違ってきています。電子化の動きはもう止められないものですが、電子化を進めるためには予算と人の裏付けが必要で、それが無いと中途半端なものになってしまいます。「ハイブリッド図書館」といいますが、これまでの紙媒体の中で電子媒体をどのように共存させるかが図書館の個性となっていくものと思いますので、計画に見えてくると良いのではないかと思います。また、大学図書館では情報を蓄積し発信する「機関リポジトリ」というのを立ち上げる動きがあるのですが、以前から取り組んでいます次世代育成プロジェクトは優れた取組ですし、宮城県図書館は古絵図、古地図等をたくさん持っているのですから、是非、デジタル化して社会に発信できれば良いのではないかと思いました。
○ 事務局(野澤主査)
情報化に対応して宮城県図書館では今度新しいシステムを導入します。他県の動向を見ながら、様々な諸問題を明らかにした上で、電子化についてはこれから検討して参考にしたいと思います。
○ 事務局(内馬場企画協力班長)
来年2月に導入予定の新しい「宮城県図書館情報ネットワークシステム」についてですが、5つの柱を立てて、これまで3年間掛けて考えてきました。1つ目の柱は統合システム、2つ目はセキュリティ、3つ目は来館者または非来館者に対する図書館のサービス利便性の向上、4つ目はデジタルライブラリー、5つ目が市町村支援です。「デジタルライブラリー」の内容については、これまで予算や職員の裏付けがあって、「22世紀を牽引する叡智の杜づくり事業」の中で公開用のデジタルデータを作って参りました。鳥類図鑑・魚類図鑑の貴重書や古絵図についても、今後どのように充実させるか話し合っているところです。河北新報の連載記事で、国立国会図書館のデジタルライブラリーについて紹介していますが、宮城県図書館でも色なども原資料に近い状態で発信できるまでになってきました。画像に併せて宮城県図書館ならではの情報や参考文献の目録等も含めて、厚みあるシステムで情報発信し紹介できればと思います。秋田県立図書館等の他館の事例を見ながら、宮城県図書館としてどう取り組むか、委員の皆様のご指導を頂戴したいと思います。また、予算については国の様々な事業等、チャンスを見つけて進めていきたいと思っております。
○ 遠藤委員
予算の話が出ましたが、お金の繋がりでなく心の繋がりというか、サポーターのような繋がりはできないものか検討してはどうでしょうか。
○ 沼田副館長
今のご意見は非常に的を得たご意見と思います。予算の少ないところでこれからどのように工夫をしていくか、具体的に生涯学習課と話し合っているのですが、図書館の資料を生かした営業活動をすることはできないものか、規則や条例改正等も必要かと考えているところです。
○ 渡辺委員
ボランティアの現状や、ボランティアの方々が入ることによる問題点はありますか。
○ 事務局(野澤主査)
書架整理等で150名活動していますが、できることとできないことがあります。例えば、展示室ボランティアの方に展示のみでなく図書館ツアーとかの説明もしていただいても良いのではないかとか考えられますが、150人いると様々なご意見があるので整理していきたいと思います。また、いろいろな方が活動できるように今年度からボランティアを任期制にし、音訳ボランティアは4年、その他は2年としました。課題は技術的な事の研修等たくさんあります。今は職員が通常業務のほかにボランティアの研修も行っていますが、ボランティア同士で研修できることも大切なことと考えています。
○ 秋月委員
任期が2〜3年では覚えてもらったころに終わりになってしまうので問題があるのではありませんか。
○ 事務局(野澤主査)
任期制にしないとボランティアをやりたい人がいつまでたってもできないという問題もあります。任期制は間を1年おいていただければまたできるようにしています。
○ 渡辺委員
希望する人が多いのですか。
○ 伊達館長
最近は学生が多くなってきています。
○ 渡辺委員
他県の博物館に行ったときに質問に対して答えてもらえるボランティアと答えられないボランティアがいたので、試験とかがあった方が良いのではないかと思ったことがありましたが、いかがでしょうか。
○ 齋藤委員
宮城朗読奉仕会で音訳ボランティアをしていた事がありますが、知事から資格証をいただくのですが、実地と技術的な試験を受けて、その後専門的な訓練をして2年ほどかかるのでなかなか大変で簡単にはなれないと思いました。ボランティアといってもいろいろあり一概に言えないと思います。
○ 関口委員
青森の県立図書館にいった時に、知り合いの人が是非2階を見て欲しいと言うので見てみると、青森県の先人たちや郷土に関する展示でした。その土地の方が誇らしげに説明してくれたのが好ましく印象的でした。今のデジタル化の世の中で、宮城県図書館はどんな見せ方をしていくのかを考えないと皆が足を運ばないと思います。サッカーや野球はサポーターがお金を払ってでもいきたいと思う程楽しめるのですから、どうしたら皆が行きたいと思うようになるのか考えなければいけないと思います。また、先日、福島の老人福祉施設等の複合施設のことを映像で調べたかったので、1階の視聴覚資料で探してもらいましたが、短時間ですぐ見つけてくれたのですが、1990年代の資料と2003年代の資料しかありませんでした。古いものの活用方法や廃棄をどうするのか、新しいものをどのようにして蓄積していくのか、若い世代にどう見せていけば良いのか考えなければならないと感じました。
○ 秋月委員
今の話の1990年代の資料はうちの大学の建築史をやっているような学生には非常に重要なものになると思います。図書館の資料価値は求める人がどのように感じるかで決まるので、図書館は利用者が求める情報をいかに早く提供できるかが重要だと思います。
○ 議長(石田委員)
そのためにも司書の専門性を高めていかなければなりません。
○ 二瓶委員
図書館振興基本計画に対する佐藤委員のご意見の中で、「多種多様な県民の要求に応えていくためには、県内蔵書のタイトル数を充実させる必要がある。県内最後の1冊の確保の分担なども必要なのではないか」とありますが、県内の図書館資料の強化を図るためには、例えば大崎はこのテーマで、中新田はこのテーマとか決めて、収集していかないと予算不足に対応できないのではないかと思います。県内の各図書館が集まってテーマの分担等について話し合える機会を作っていただくと良いのではないでしょうか。
○ 佐藤委員
宮城県図書館には2つの性格があると思います。図書館独自でどのようにしていくかと、県内の図書館のまとめ役としてどのような方向に進めて行くか決めていかなければならないということです。予算不足の図書館が多くなっているので、県内図書館の調整をしていく場を作っていただきたいと思います。それから、基本計画の計画期間が20年から5年間となっていますが、来年から計画しながら行動するのかどうか教えていただきたいと思います。
○ 事務局(野澤主査)
県の図書館や県内図書館がどうあるべきか最後の1冊の問題等、いろいろなご意見を伺ったうえで考えていきたいと思います。基本方針などの骨格は今年定め、具体的な行動計画については、来年作成してやっていくということです。
○ 沼田副館長
地域ごとに共同した仕組みやシステムを作ることは大事なことで、県としての調整機能や役割も果たしていかなければなりません。今各市町村図書館との相談業務をしていますが、それだけでなく、たとえば仙南・仙北とか県の振興事務所の地域ごとにテーマを絞って市町村の職員の方々と意見交換の機会を作り、検討したうえで取り組んでいくことができればと思います。また、今回の計画案は県の基本的な考え方や施策の方向性として基本計画に盛り込めるものをあげておりますので、具体的な手法や実施すべき中身については来年度作っていく予定です。ただ、19年度の予算の関係もありますし、予算の伴わない事業や今実際にやっている中身もありますので、来年度吟味して作成していくということで、全然別のものを作るということではありません。県だけでできないものは、皆様のお知恵を頂いて利用者の要望に応えていくようにしなければならないし、また、地域ごとの特徴もありますのでその地域の図書館が持っている特徴を生かしていただけるよう調整していければと思います。
○ 佐藤委員
副館長のおっしゃるとおりです。目録で分担を持つべきとかの意見をあげたのは、県の図書館の役割と県内図書館の図書館としてブロック支援をする等の役割があるのではないかということです。また、今回の計画では具体的なものが見えなかったからです。
○ 沼田副館長
解かりやすくするために非常に削って出している計画なので、実際はもっと肉付けして具体的な方向性を持ったものになります。2月開催予定の協議会にはもっと明確なものが出せると思います。
○ 議長(石田委員)
5年計画となっていますが5年はあっという間です。次回2月の資料に盛り込んで頂きたいと思います。
○ 野家委員
計画の(3)に次世代を育成する図書館ということで宮城県の行政資料の収集とありますが、宮城県には公文書館(アーカイブ)もあります。外国では図書館とアーカイブは別の機能と考えられていますが、宮城県の場合、宮城県図書館がアーカイブ機能を持つと考えてよいのでしょうか。
○ 事務局(野澤主査)
行政資料だけでなく、宮城県に関するものと宮城県内で発行するものを集めるということですが、すべてを収集していくということではありません。
○ 伊達館長
公文書館では行政資料の公文書を保存しています。図書館では行政資料のすべてではなく、郷土に関する資料ということで、行政資料は郷土の研究に役立つようなものを集めています。 
○ 議長(石田委員)
時間もありますので、基本計画については、次回もご意見を頂くということで、次の議題に移りたいと思います。それでは、宮城県図書館における「音と映像のフロア」の今後のあり方について事務局のご説明をお願いいたします。
○ 事務局(大林資料奉仕部長)
資料に従い説明。
○ 議長(石田委員)
ただいまのご説明についてご質問はありませんか。
○ 遠藤委員
図書館情報システムが新しくなるのと関係があるのですか。
○ 事務局(大林資料奉仕部長)
「音と映像のフロア」のAV機器の賃貸借期限が来年の1月で切れるので、システムの更新と併せて行うものです。
○ 遠藤委員
検索システムは新しくなるのですか。ICタグは入るのか等どのように変わるのか詳しく教えていただきたいと思います。
○ 事務局(内馬場企画協力班長)
「宮城県図書館情報ネットワークシステム」の更新と「音と映像のフロアシステム」の更新と同時に行う予定でおりますが、いろいろと検討した結果、ICタグは100万冊にのぼる本館所蔵資料への添付作業が膨大なものになること、また、予算の制約等により導入はできませんでした。自動貸出機を入れる予定ですので、利用者は職員の手を介さずに借りたい本を借りることができるようになりますので、サービス向上に繋がると思います。
○ 二瓶委員
AV資料は娯楽部門を減らして生涯学習的なものが増えると伺いましたが、芸術部門の中にも優れた作品があるので、特に名のある監督の作品等は集めて頂きたいと思います。
○ 事務局(大林資料奉仕部長)
資料選定の問題でもありますが、参考にしていきたいと思います。
○ 秋月委員
 資料の厳選とありますが、昔の県政ニュースとか宮城県にしかないもの、他にどこでも持っていないものは将来まで残していかなければならないのではないでしょうか。
○ 事務局(阿部主幹)
県政ニュースはVHSからDVDに焼き変えしていますが、今後も継続してやっていきます。それから、戦後の貴重な映像も残して利用できるようにしていく予定です。
○ 秋月委員
VHSは徐々に悪くなっていきますが、DVDのようにデジタル化したものはある時突然壊れて全然使えなくなります。バックアップ等はするのですがデジタルは悪くなる様子が見えないので、全てデジタル化するというのは進めていく上で充分注意して考えて行かなければならないと思います。
○ 議長(石田委員)
専門的なご意見を頂きましたので、参考にして頂きたいと思います。 次に、その他の文部科学省モデル事業推進状況についてご説明お願いいたします。
○ 事務局(内馬場企画協力班長)
文部科学省モデル事業推進状況について説明
○ 議長(石田委員)
ただいまのご説明についてご質問はありませんか。
○ 佐藤委員
別件なのですが、11月からの第一金曜日開館に伴う対応について教えていただきたいと思います。県の図書館の場合は9時開館なので書架整理が大変なのですがどのようにされるのですか。また、全職員での研修やエレベーターやシステムのメンテナンス等開館時にはできない点検等ありますが、どのように行っていく予定なのでしょうか。
○ 沼田副館長
第一金曜日開館については県民からの要望がありまして、県知事の前向きな発言があって開館に踏み切ったものです。これまで毎月第一金曜日に行っていたことは元々の休館日の月曜日に行うことになるのですが、毎月では大変なので2ヶ月に一度になります。ただし年6回になるわけですから図書館の事業を吟味して削減して行かなければなりません。
○ 事務局(大林資料奉仕部長)
書架整理については、毎朝8時30分から9時までほぼ職員全員で書架整理を行っています。休館日の次の日等、返却本が多い場合は時間内に終わりませんので、直接の担当班では9時過ぎても継続して整理しています。
○ 事務局(内馬場企画協力班長)
システムのメンテナンスは月曜日の休館日にスケジュールを組んで行います。短時間で済むものは閉館後に行いますが、長時間に渡る場合等は年に一度の特別整理期間に行っています。
○ 事務局(渡邊利用サービス班長)
書架整理についてですが、今後は2ヶ月に1回の月曜日に行うことになります。その他空いた時間にも行いますが、全てを整理することはできないのでボランティアの方にも手伝っていただきます。
○ 議長(石田委員)
他にありませんか。
なければこれで議事の一切を終了させて頂きます。ありがとうございました。

10 閉会

長尾企画管理部次長が、次期開催日程は後日調整したい旨提案し、承認された後、一切を終了した。

宮城県図書館

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