平成18年度 第3回 宮城県図書館協議会 会議録

 

1 日時及び場所

平成18年12月7日(木曜日) 午後1時30分から午後3時まで
宮城県図書館 2階研修室

2 出席者

石田 義光 委員、永野為和 委員、秋月治 委員、遠藤幸生 委員、齋藤弘子 委員、関口怜子 委員、二瓶瑠璃子 委員、野家啓一 委員
埣浦功夫 委員(委任状)、渡辺好子 委員

3 事務局出席者の職氏名

館長 伊達宗弘、副館長 堀村廣雄、企画管理部長 飯川皓、資料奉仕部長 大林茂、企画管理部次長 長尾徳治、資料奉仕部次長 菅原泰博、利用サービス班長 渡邊明彦、調査班主任主査 佐藤睦美、企画協力班主事 堀江聡、主幹 千葉哲、主幹 菊地喜和子

4 開会

 司会者長尾企画管理部次長が本日の協議会は定足数を満たしたので、有効に成立した旨を告げ開会を宣言した。

5 あいさつ

○石田会長
 ニューメディアを含め、資料や情報の増加はたいへん喜ばしいことです。反面、東京都では新聞資料の重複所蔵を避けて保存図書館のネットワークを立ち上げています。
 図書館界では指定管理者制度が話題となっています。資料情報の増加にたいして、資料費不足が課題となりますが、蔵書構成や図書館サービスも含めてバランスよく、仲介役を務めるのが図書館の使命ではないかと思っています。
 今日は視聴覚サービスの説明も頂きますが、活発なご意見を頂きますようお願いします。
○伊達館長
 図書館125周年記念の様々な事業を行っておりますが、東北大の100周年と併せた企画も行い、東北大の皆様には大変お世話になりました。図書館職員も非常に刺激を受けて大変励みとなっています。また、副館長の発案で原田哲男氏のコンサートを行ないましたが、たくさんの方においでいただきました。そのほかの企画展、特別展も色々な形で行っております。浮世絵、環海異聞のレプリカは、最近は浦戸、唐桑、登米、米川、米谷、西郡などに回しており、館長講座も行っております。司書の授業への積極的な関与ということで松山高校、白百合学園高校へ職員を派遣しました。秋田県立図書館と人事交流を行って2年目になりますが、これを機に来年3月、秋田県立図書館において宮城県の資料の展示や講演を行う予定です。このほか共同企画展の企画も進めており、静岡県立中央図書館と共同で葵文庫・伊達文庫の展示なども考えています。過日は文部科学省に行って叡智の杜事業等について説明をしてきましたが、本省生涯学習課のみならず義務教育課にも関係があり、モデル事業として考えてみたいという話をいただきました。
 今日は限られた時間ですが、どうぞ忌憚のないご意見をお寄せいただければ大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

6 議長選出

石田会長を選出

7 会議録署名委員の指名

○議長
 齋藤委員を指名します。

8 報告

○ 議長
 協議事項の「宮城県図書館の利用者サービスについて」事務局の方から説明お願いします。
○ 事務局(大林資料奉仕部長)
 始めに、前回の協議会の時質問いただいたことについて説明いたします。ミニシアターの使用計画は誰がどのようにして決めているのか、という質問についての回答は、今回の資料と関係がありますので説明の中で触れていきたいと思います。また、一歩進んだ県民サービスとして、子ども会などに青柳館を貸出すことはできないかとの質問がありましたが、現在養賢堂など施設の一部を社会教育団体に貸出していますが、青柳館については器材等の扱いの関係もあり貸出を行っていません。各上映会に参加いただく等の形で利用いただきますようにご理解頂きたいと思います。
 それでは資料に従って説明いたします。(資料1について説明)
 資料2については直接視聴覚担当の千葉から説明いたします。
○ 事務局(千葉主幹)
 資料2について説明いたします。(パワーポイントを使い、資料2を説明)
○ 事務局(大林資料奉仕部長)
 次に資料3について説明いたします。(資料3について説明)
○ 議長(石田委員)
 只今の説明について、ご質問・ご意見を頂きたいと思います。特に資料3については、仙台市の図書館にも同様の施設がありますので、埣浦委員の意見も頂きたかったのですが、今日は欠席とのことで残念です。図書館サービスの理念も関係あると思いますので、委員の皆さんのご意見を頂きますようにお願いします。
○ 秋月委員
 5ページと9ページの件数と人数のところは、いずれも人数が多いのですが、これで良いのでしょうか。
○ 事務局(千葉主幹)
 1件の受付につき2人から5人の場合がありますので、件数より人数が多くなります。
○ 永野委員
 宮城県図書館の複本の現状と複本についての基本的な考え方を視聴覚資料も含めて教えて頂けませんでしょうか。
○ 事務局(渡邊利用サービス班長)
 一般の本については蔵書100万冊を超えておりスペースの関係もあって厳選して複本を備えていますが、利用頻度の低い本を整理して、収納したいと思っています。
○ 事務局(千葉主幹)
 視聴覚資料については、以前の予算が充分あった時期は複本を購入できましたが、今はありません。寄贈で複数いただいたりすればありますが、購入はありません。
○ 永野委員
 それでは資料3にあるDVD対応のものも1点ずつしかないのですか。
○ 事務局(千葉主幹)
 はい、そうです。
○ 事務局(渡邊利用サービス班長)
 児童は「子どもの本の展示会」の巡回があるので複本があります。
○ 永野委員
 基本的に人気のある本は複本があるのですか。
○ 事務局(渡邊利用サービス班長)
 人気ではなく図書館として必要な本を厳選して複本を購入しています。
○ 事務局(佐藤調査副班長)
 郷土資料は選定基準により3冊ずつあります。1冊は保存用、1冊は協力貸出用、1冊は閲覧用となっています。
○ 議長(石田委員)
 他にありませんか。
○ 関口委員
 利用者の満足度や声が資料からは、伝わってこないような気がするのですが、どうなのでしょうか。また、1ページ目に1ヶ月に200人ずつ入館者数が減少しているグラフがありますが、理由の分析をしているのか、図書館としてどのように考えているのか伺えませんか。それから、9ページの新館設計の理念に、多様なプレゼンテーション機能を持つ文化センターとしての図書館という基本コンセプトがありますが、例えば、今日から国際センターで日本子ども虐待防止学会が開催されているように、公共の文化施設として立派なスペースがいっぱいあるのを生かして、若いお母さんや子ども達に対してこれまでより一歩進んだ取り組みをして頂けたらという要望があります。また、私もそうですが、登録しているが利用していない人への取り組みはどうなっているのでしょうか。
○ 秋月委員
 関口委員の2つ目の質問に関連してですが、大学も図書館の利用者数が減っています。検索する場合に、本ではなくインターネット検索をしている人が増えているようです。分野別には、文学は減らないが自然科学は減っている状況のようなので、分野別に調べてみれば、資料費削減の中で図書館としてどこに重点を置いたらよいか見えてくるのではないかと思いました。
○ 議長(石田委員)
 関連でもいいですが、他にありませんか。
○ 二瓶委員
 ビジネス支援コーナーの説明がありましたが、人が付いていて相談に応じているのか、調査相談カウンターとの連携はどうなっているのか伺えませんでしょうか。これから生き延びてゆく図書館としてのあり方や力の入れ方にも関係あると思いますが、子育て支援やビジネス支援、法律・医療支援に力をいれていって、これからの市町村図書館への指導にも生かしていただけるようになるのかどうか伺いたいのですが。
○ 議長(石田委員)
 いくつか質問がありましたが、特にビジネス支援については私も伺いたいと思っておりましたので、事務局のお考えをお願いします。
○ 伊達館長
 利用者の減についてですが、私は平成14年度に図書館に赴任しました。開館当時100万人いた利用者が平成14年度は60万人に減少していました。当時お客さんにどのようにしたら喜んでもらえるかに重点を置いて図書を購入していたので、リクエストのあった本は全て購入して、市町村の図書館と同様の機能を果たしていたのではないかと思います。資料整備にあたっては、宮城県図書館としての役割あり方を考えて購入すべきで、利用者の減が即サービスの低下に繋がるものではないと考えています。現在は、喜ばれる本だけを買うのではなく、厳選して県の図書館として必要な本を購入し、全県的な方向に力を注いでいる状況です。
○ 事務局(大林資料奉仕部長)
 利用者の満足度に関する資料は用意しておりません。施設貸与については、生涯学習団体に対しての貸与となっております。過去の登録者でその後本の利用のない人については、特別に利用を呼び掛けている訳ではありません。利用者の減少についてはこれから館内で検討・分析をしていきたいと思いますが、インターネットの利用等も考えられると思います。ビジネス支援については、逐刊のコーナーに書架を設置してパンフレットを置き始めたところで、市町村支援までは行っておりません。
○ 堀村副館長
 登録者数と実利用者数については、現在登録者数は215,000人で全国1位ですが、1年間で1回以上利用した人は46,800人となっていますので、多くの方はこの1年利用実態がない状況です。 ビジネス支援は色々な形態があると思いますが、ビジネスを公共図書館としてどこまで踏み込んで支援できるのかが難しいところです。基本的にはコーナーを作ってパンフレットや本を並べて置き、相談したい内容がある方には図書館は一次的な役割を受け持ち、次に具体的に相談できる機関を紹介するという形でやっています。産業経済団体や商工会議所、県の産業経済部などとのネットワークや連携が大事になってきますので、打ち合わせを持って資料を送ってもらい相談があった時は紹介するということでスタートしたところです。今年度はじめにも職員の研修をしましたが、今後も研修を積んでしっかりと体制を組んでニーズに応えていきたいと思います。
○ 遠藤委員
 少ない資料費で何を購入するかは、非常に選書が難しいと思います。本が出た時点では本の評価が難しく、例えば1900年、ジグムント・フロイト博士は夢の解釈に関する理論を集大成した著作「夢判断」を出版しました。次の百年に大きな影響を与える出版物でしたが、600部印刷された本を売り尽くすのに8年もかかっています。2000年には次の30年に確実に影響を与えると思われるロバート・B・ライシュの「The Future of Success」、邦題「勝者の代償」が出版されています。評価されてから購入することはできるのですが、後で増刷されない、最初出ただけで入手できない本や1年で消えてしまう本もたくさんありますので、知恵を集めて選書しなければならないと思います。
○ 齋藤委員
 資料を見ると、音と映像のフロアの利用者はかなり多いようですが、事前に配布いただいた資料を基に私なりに考えをまとめてきました。先程館長がお話しなられましたように、この図書館は、「22世紀を牽引する叡智の杜づくり事業」など文部科学省でも注目されている事業を展開していますが、その傍らで、地元の民間の店舗と同様のサービスも展開し、貴重なスペースやコーナーを提供しているのはどうかなとも思います。利用者数の増加や生涯学習には役立っているのかも知れませんが、もっと別の利用の仕方を考えたほうが良いのではないかと思います。行儀悪くて居眠りしている人のために図書館を開放するというのには、私は反対です。県立の図書館として中心的な役割を果たすことや、学術的に充実させることがこの図書館の使命と考えていますので、今すぐできることではないと思いますが、時間を掛けて図書館職員も含めて、利用者も意識を新たにしていかなければならないのではないでしょうか。
○ 議長(石田委員)
 非常に貴重なご意見をありがとうございます。他にありませんか。
○ 野家委員
 大学図書館も利用者が減少しています。自然科学系では電子ジャーナルがあれば良いと言われているほどで、冊子は必要ないという意見の先生もいます。ハイブリッド図書館といわれる電子媒体と冊子体が共存する状態で、図書の貸出は減っているが電子ジャーナルのアクセス数は増えているという状況なので、単に貸出し数が減っているからといって図書館の活用が低下しているという事にはならないと思います。ただグラフを見ると13歳から18歳の利用者が少ないのが気になったのですが、この年代は読書離れがあって少ないのか、泉区のこの辺の学習室としての利用は多いが地理的な交通アクセスの問題があって利用できないのか、図書館で何かデータをお持ちなのか伺いたいのですが。
○ 議長(石田委員)
 私も3ページのグラフが気になりましたが、図書館の考えを伺えませんか。
○ 事務局(飯川企画管理部長)
 答えになるかどうか解りませんが、実態をお話します。統計を取る時に、利用者というのは資料を媒介した利用者ということでカウントしていますので、受験の時期には一般の利用者からクレームが出るほど入口に受験生が並ぶ状態ですが、資料を利用しない限り利用者としてはカウントされていません。私たちも頭を悩ませているのですが、資料を利用する方への図書館であるべきなのか、場所の提供としての図書館であるべきなのか、難しい課題でもあります。 また、利用者数の減についてですが、100万冊の蔵書を部門別に多い順に紹介しますと、文学16万冊、児童14万冊、社会科学11万冊となっております。前年対比利用状況は全て落ちていますが、文学は16万冊の蔵書に対して20万冊貸出となっており貸出数が蔵書数を越えています。これは、今年度の年報から拾った数字ですが、最も回転率の良い視聴覚関係は58,000点の収蔵数に対し、利用貸出数は200,000点と高い利用率となっており、平均すれば1つの資料が4回弱回転していることになります。反対に歴史系は7万冊の蔵書のうち利用は47,000冊となっており、分野によって利用数が異なっています。今後、情報の時代の中で印刷媒体としての図書がどのように利用されていくのか課題になると思いますが、まだそこまでは分析できていない状況です。
○ 秋月委員
 3ページは視聴覚資料の分類なので、印刷媒体としてみるとこの年代は別の状況になるのではないかと思います。視聴覚資料の場合は、この年代の好みが少ない収蔵状況なのでこのようになっているのではないかと思います。
○ 堀村副館長
 年代別には秋月先生のおっしゃるとおりと思います。先日、125周年記念でおいでいただいた音楽家の原田哲男さんからも本館の資料は充実しているという話がありました。CDのクラッシック系は充実しているのですが、ポップス系が少ないので13歳から18歳の利用者が少ないのではないかと思います。
○ 議長(石田委員)
 時間の都合がありますので次の報告事項に移りたいと思います。
 事務局の説明お願いします。
○ 事務局(飯川企画管理部長)
 平成18年度主要事業進捗状況について説明いたします。(資料に従い説明)
○ 議長(石田委員)
 報告ですので、何か気が付いたこと等ありましたらお願いいたします。
 無ければ、恐縮ですが野家委員から東北大との合同展示についてご紹介いただけたらと思いますのでよろしくお願いします。
○ 野家委員
 先程館長からもお話ありましたが、今年は東北大が来年の100周年に向けて様々な行事を持っているのですが、宮城県図書館も今年125周年ということで合同の記念展示を行いました。準備等ご協力をいただきまして充実した内容の企画展示になりましたので、この場を借りて宮城県図書館の皆様方に御礼申し上げます。江戸の遊びについての展示でしたが、特に今回は小中学生も楽しめるように遊びのコーナーを設けたり、館長には手作りの盆栽を展示いただいたりして、大変評判良く入場者数も3,000人を超えました。東北大がこれまで単独で行った展示では数百人位でしたので、3,000人を超えたのは初めてでした。アンケートでも非常に評判良いもので内容も充実しているとの感想をいただきましたので、これからも協力関係を続けて行けたらと思いますのでよろしくお願いいたします。
○ 議長
 他にありませんか。
 他になければこれで議事の一切を終了させて頂きます。ありがとうございました。

9 閉会

長尾企画管理部次長が、次期開催日を平成19年6月7日の木曜日午後1時30分からにしたい旨提案し、承認された後、一切を終了した。

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