平成17年度 第1回 宮城県図書館協議会 会議録

 

1 日時及び場所

平成17年6月30日(木曜日)
午後1時30分から午後3時40分まで
宮城県図書館 2階研修室

2 出席者

出席者 秋月 治 委員
    石田 義光 委員
    遠藤 幸生 委員
    小田 忠雄 委員
    塩野 雅代 委員
    関口 怜子 委員
    埣浦 功夫 委員
    永野 為和 委員
    二瓶 瑠璃子 委員
欠席者 紅邑 晶子 委員 

3 事務局出席者の職氏名

館長  伊達 宗弘
副館長 堀村 廣雄
企画管理部長 飯川 皓
資料奉仕部長 早坂 信子
企画管理部次長 長尾 徳治
資料奉仕部次長 菅原 泰博
主幹 佐々木 元廣
主幹 安川 潔
主任主査 内馬場 みち子
主任主査 齋藤 昭彦 

4 開会

司会者長尾次長が本日の協議会は定数を満たしたので,有効に成立した旨を告げ開会を宣言した。

5 挨拶

○石田会長
 事務局,協議会とも新しい顔ぶれをお迎えして,今年度も元気に活発な会にしていただきたいと思います。
 1週間前に北日本図書館連合会に参加させていただき,第2分科会に参加しました。「子どもの読書環境作り」がテーマで,埼玉県の一つの市の例として,学校図書館についての報告がありました。市と市の図書館と学校の三者が一体となって,特に予算的な部分では,市の図書館が市の学校図書館資料費の予算管理を引き受けて積極的に取り組んでいるなどの報告を聞きました。ただ,埼玉県も広く,その中の一つの市の実践例であると言っておりましたが,学校図書館と公共図書館の協力体制の強化が叫ばれている中いろいろな意味で勉強となりました。
 宮城県図書館も資料で見るとおり,多彩な活動を繰り広げております。私達も一市民,一県民の立場でいろいろ支援していかなければならないと考えています。
 これから,皆さんの活発なご意見をお願いします。
○伊達館長
 本日はお忙しい中ご出席いただきましてありがとうございます。 図書館で進めております「22世紀を牽引する叡智の杜づくり事業」は2年目を迎えております。お蔭様で昨年から京都の国立博物館修復施設をお借りして,文化庁の直接指導で国の重要文化財指定を前提とした修復作業を行っております。その成果のレプリカも次々と出来てきておりまして,逐次学校や市町村に貸出すとともに,インターネットを通して画像を提供しております。このような事業がスタートしておりますが,これからは職員の資質の向上を図るためそれぞれ一人一企画,そして職員が持っているノウハウを広く皆様方に提供するためにいろいろな講座を開設していきたいと思っております。
 また,今年度は市町村支援,学校支援についても,もっと積極的に職員が取り組んでお手伝いをしていきたいと考えております。先行き不透明な時代だからこそ図書館職員が頑張らなければならないという気持ちでおりますのでよろしくお願いいたします。

6 議長選出

 石田会長を選出

7 傍聴について

 傍聴希望者なし

8 会議録署名委員の選出

○議長
小田委員を指名します。

9 議題

(1)報告事項

○議長
 平成16年度事業報告及び平成17年度計画について事務局から報告願います。
○事務局(飯川企画管理部長)
 平成16年度年報により報告
○議長
 只今の事業報告に引き続き事業計画の報告がありますが,一旦ここで事業報告についてご質問等がございましたらお願いします。
○小田委員
 資料の中の「開館日数・入館者・個人貸出冊数・調査相談件数」に,平成16年度地震被害による開館日数16日減とありますが,平成15年度ではないのか。
○事務局(飯川企画管理部長)
 そのとおりですので訂正致します。
○永野委員
 県図書館の役割の一つとして,図書館関係者の養成が非常に大切なことだと思うが,資料の中の「主に図書館関係者向け事業」で特に養成講座を見ますと,いづれも参加者が10人前後となっています。参加人数がすべてではないと思いますが,関係者への事前案内,PR等がかけていたのではないか。
○事務局(飯川企画管理部長)
 9月30日に開かれたこの養成講座はボランティアを対象とした事業でございます。昨年度ボランティアに登録された人数は,総数で74名です。一般講座であればどなたでも参加できますので,図書館の広報不足だったかも知れません。ただ,この日は同時に専門講座も開かれており2講座を合わせると21名の参加となります。ボランティアの方は,そもそも家庭や仕事のことなどがあり全員参加はむずかしいのですが,そういう事で参加できなかった方も多いのではなかったかと思います。
 通常,展示室ボランティア,音訳ボランティアの講座は,対象者数が少ないのにもかかわらず参加率は高く,特に音訳ボランティアについては100%近くの参加率となっています。いずれにしましてもこういう講座を行う時には,いろいろと周知を図り,多数の人が参加していただけるようにしていきたいと思っております。
○小田委員
 資料「叡智の杜第2号」を拝見しました。前号に比べ学校司書の方々も論文を書いておられて非常に良いものですが,これをWebに載せれば他の方々も見られて良いと思うのですが。
○事務局(飯川企画管理部長)
 インターネットに載せるためのハード面の問題があります。叡智の杜事業として,昨年度2月から試験的に,今年度4月からは本事業として,修復した資料を画像化しネットで公開していますが,これは別枠で実施しているものです。そのため,本来もっている図書館システムに,はたしてどのくらい載せられるかの問題があります。もう一つは,働きかけはするもののどれくらいの方がこの「叡智の杜」に投稿してくれるかという心配もあります。そういったことからWebで紹介するまでには到っていません。今はインターネット社会でございますので今後検討していきたいと思っております。
○小田委員
 PDFのようにファイルサイズを小さくして,載せることもできると思います。本来司書の方々が,Webを通して意見交換などができればよいのではないでしょうか。
○議長
 小田委員のご意見に対して事務局は十分にご検討いただきたい。
 「叡智の杜」は,内容的にすばらしいものである。そういう意味では,ネット講読に対応できるような高度な内容なのでもったいない部分も感じますが,ただ,こういうものは継続性も大事なことなのではないかと思います。
 関連して,企画展は,個人企画で広報まで含めて頑張って行っているという話があったが,現実には大変なことだと思うので,サポート体制はどうなっているのか。また,個人企画を実施しての苦労などの感想をお聞かせいただきたい。
○事務局(飯川企画管理部長)
 現在展示室で,個人企画の企画展と最近の県文化財保護審議会で文化財への登録答申された資料の特別展を行っております。この会議終了後に特別展と企画展の案内を予定しております。企画展につきましては実際の担当から説明しますので,直接お尋ねいただければと思います。
○議長
 次に平成17年度事業計画について事務局から報告をお願いします。
○事務局(飯川企画管理部長)
 平成17年度要覧により報告。
○塩野委員
 秋田県との人事交流について,目的及び具体的な効果をお聞かせください。
○事務局(飯川企画管理部長)
 司書同士の相互交流ということになります。宮城県図書館のことは十分に承知していても他の図書館がどのように運営されているのか,事業はどのように展開しているのか外からだけでは見えない部分を人事交流することでお互いにつかめるのではないか。そして,さらに新たな展開ができるのではないかという考え方から交換留学のような職員の派遣を実施しました。
○議長
 人事交流は,試験的に実施してみようということなのか,あるいは期間はどの位なのか。
○事務局(飯川企画管理部長)
 平成17年度,18年度の2年間になります。成果が良ければ,今後は大きく発展させたいと考えております。現在は試験的な状況からスタートしています。
○事務局(堀村副館長)
 宮城県図書館で採用された司書は,基本的に人事異動がなく図書館勤務となっています。県図書館だけの経験しかできず,今後の図書館運営を考えると,もっと広い視野で仕事を経験してもらいたいということで今回秋田県と相互交流を実施しました。できれば今後幅を広げて,県教育委員会や知事部局等も対象にしたいと考えています。こういったように広く経験を積ませながらより良い図書館運営をしていきたいと思っています。
○関口委員
 基本的に良いことだと思います。たとえば美術館の学芸員も図書館と同じ環境であると思うので是非実施したほうが良いと思うのですが,なぜ秋田県なのかをお聞かせいただきたい。
○事務局(早坂資料奉仕部長)
 秋田県は,全国的に進んだサービスを展開している県として知られています。秋田県図書館職員が国立国会図書館からの派遣要請で派遣されたり,ビジネス支援では全国的にトップクラスというような先進的なところから秋田県を選びました。
○二瓶委員
 相互貸借の巡回業務は時間を減らして実施し,そのかわり市町村の悩める問題に関して,県で時間をとって巡回してくれるということだが,その内容とするものは未設置だけの市町村ではなくどの図書館でもいいのですか。
○事務局(飯川企画管理部長)
 すべての図書館と考えております。
○関口委員
 去年度も実施した上映会・コンサートは今年度も実施するようですが,参加人数は1回あたり50人程になると思うが,この事業は,どんな視点でどんな音楽を選んでどんなコンサートなのか,また,どんな反応があるから今年度も実施しようとしているのかお聞かせ願いたい。
○事務局(佐々木利用サービス班長)
 コンサートについては,クラシックが主です。本図書館にはクラシックCDが充実しており,高校のブラスバンド等の活動において,本図書館は有益なサポートをしています。また,NHK交響楽団が使用した楽譜も置いており,資料の活用もされています。コンサートでは,クラシックの鑑賞だけではなく,音楽の解釈たとえば三人の演奏家のCDを聞き比べその違いを体感するとか,生演奏を聴いたり一人一人の音楽の解釈度を深めていくようなコンサートも実施しております。
○関口委員
 参加した方々は,どんな感想どんな反応があるのでしょうか。多分良いという反応があるから今年度も継続して実施するということなのですか。
○事務局(佐々木利用サービス班長)
 感想までは把握していませんが,約2,3割は,昨年に引き続き参加して良かったので今年も参加するという方々です。もちろん新たな参加者もございまして,今までに比べると若い方の参加者が増えてきています。
○小田委員
 昨年までは,市町村図書館設置率が宮城県は最下位と聞きましたが,県内の市町村合併が完了すると設置率は良くなるのですか。
○事務局(飯川企画管理部長)
 希望的観測として,最下位は脱出できるものと考えていますが,市町村合併は全国的に進んでおり確かな数字はまだ申しあげられません。
○永野委員
 事業予算で2点伺います。まず1点目は,企画管理部の組織改変により生涯学習の事業は本庁へ,生涯学習相談事業に関しては図書館で行うとのことですが,相談事業を本来の事業と切り離して成り立つものなのか。また,事業予算に関して17年度は,相談事業予算は項目としては見受けられないが,事業内容を見ると前年度並みの事業をするようなので予算的にどうなっているのか。
 2点目は,市町村支援費が16年度より約800万円減となっているが,合併に伴う支援のあり方の再考に因することなのか,むしろより市町村支援は進めていかなければならず,これらに関する要望は各市町村から出ているはずだが,県予算全体枠が厳しいために減額となったのかお聞かせ願いたい。
○事務局(飯川企画管理部長)
 1点目ですが,本館は,生涯学習施設の一部という位置付けで作られた施設です。しかし,生涯学習センター的機能まで持つ状況には作られていませんでした。そのような経緯もあり現時点での生涯学習室はセンター機能を持つ内容の作りとはなっておりません。本館が紫山に設立されたときから生涯学習というものが入ってきましたが,それをどのように捉えていいのかは本庁生涯学習課も含め試行錯誤してきたところでございます。
 一方において生涯学習全体事業について考えると,県庁全体の組織見直しで,組織が小さくされてきていることから,どうしても生涯学習課の本来の機能を充実させる必要から図書館においての生涯学習班という位置づけよりは全県的な考えをもった班として県全体における事業を昨年度まで展開してきたものを今回本庁の事業として移すことになりました。しかし,せっかく生涯学習室があることから,これまで相談事業を実施してきた経緯もあり,相談者も本館を利用する方が多いだろうということから,結果として生涯学習室を残し相談事業は継続することになったと思われます。
 事業予算については,それほど予算を必要とする事業ではないと考えております。
 2点目の市町村支援費ですが,今年度6,900万円,前年度7,700万円で約800万円の減となっております。まずこの事業費の構成を申しますと,データ交換等を行う図書館ネットワーク費用が大部分をしめ,その他巡回車等の費用がありますが,ネットワーク費用以外は予算的にはそれほど大きくはない構成となっています。今回なぜ約800万円減となったかですが,従来この事業に約800万円減額の大部分を占める視聴覚資料のデータ作成費が含まれていました。これを資料購入費の方に組み直しましたので,予算枠内での移動で減額要素とはなっておりません。また,ネットワーク環境での保守委託で契約請差が生じるなど,年々減額となってきている項目もあります。このような背景から若干ながらではありますが減額はされてきております。しかし,市町村支援としては,事業規模を縮小しているものはありません。
○永野委員
 先ほどの小田委員からの「叡智の杜」のネット公開も含めて,17年度予算ではインターネット関係は前年度予算より増える傾向にはなっているのか。
○事務局(飯川企画管理部長)
 基本的には,設備や内容は変更されておりません。変更があったのは,叡智の杜事業での画像公開に伴うサーバー設置による保守管理等の予算が増えたのみです。
○事務局(早坂資料奉仕部長)
 生涯学習班が,本館に置かれたのは15年度,16年度の2年間でした。これは生涯学習振興計画等の見直しに伴うものでした。今年度は県全体の生涯学習事業の見直しに伴い業務が生涯学習課に移管されたという経緯です。但し,生涯学習相談は,新図書館開館当初から実施しているものなので残したということでございます。
○遠藤委員
 この3月まで気仙沼西高校におりまして,学校図書館の地域開放をしておりました。宮城県図書館からも学校へ直接マイネットを通して本を貸出していただき,すばらしい協力をしていただきました。地域開放の中で,高齢の方が熱心に読書に来られ,生徒への良い影響,刺激になっています。
 学校への図書館サービスについてどのように考えているか伺いたいのですが。
○事務局(飯川企画管理部長)
 小中学校,高校も含めまして学校図書館,それから学校そのものに対し図書館サービスということについては,もっと大きく展開したいと考えておりますし,すでにその事業プログラムも出来上がっております。この後別の説明項目の中でご紹介しようと思っております。
○遠藤委員
 前年度までは,巡回車で貸出を受けていました。今年度から宅配で返却することになりました。学校の生徒が借りた本を宅配で返送するのはできますが,一般の方の本までは学校予算で返送できません。近くの図書館に出向いて返却をお願いしていますが,学校への巡回はできないのでしょうか。
○事務局(飯川企画管理部長)
 学校図書館に対しては大きな枠組での図書館サービスということで展開してきたところですが,今年から巡回車サービスを変更し,市町村図書館のみの運行となりました。気仙沼西高校であれば気仙沼市図書館に本などを取りに来てもらう,または戻してもらうことをしていただければ対応できますが,県図書館から直接学校へということになると,送る時はいいが,返却が問題となる。もちろん公民館図書室においても同じことが言えます。そのために一律平等に取り扱うには,各市町村図書館には一律に相互協力の中で動けますが,それ以外は難しいということになります。各市町村図書館を介してのサービス展開は十分できるかと思いますが,ここの部分が県図書館としてもネックではあると感じています。
○遠藤委員
 試行的に迫桜高校と気仙沼西高校が地域開放しておりますが,新しい学校も地域に図書館を開放すれば試行高校の中に入れていただけるのでしょうか。
○事務局(飯川企画管理部長)
 公共図書館資料貸借の規定から難しいのではないかと思います。学校への県図書館のサービスは試行的に行っているものでして,以下公民館図書室へのサービスについて説明しますが,この公民館図書室と県及び市町村図書館の役割分担が整理されなければ,これらと密接に関わっている学校への展開は難しいかと思います。
 県内の公民館図書室は県図書館協会に加盟しており,その相互貸借規程により各拠点図書館とつながりを持っているという現状です。他県では規定がないためそれもできない県もあります。このような組織や規定を持つ宮城県は進んだ取り組みをしている方かと思います。どうしても各市町村公民館とのやり取りの中で出てくるのですが,たとえば,どこか一つの町ができないとなれば平等性の観点から考えざるを得なくなります。このことは,県図書館も苦慮しているところですが,市町村図書館をうまく機能し,県民全体にサービスが行き渡らないかと考えております。たとえば,今回広域的に栗原・登米が合併しました。今まで図書館を持っていなかった旧町村はどうするのかという問題が起きます。やはり,町や市がどのようなサービスを考えるか,そこで県図書館がどう関われるかをお互いに知恵を出しながらサービス向上を考えていかなければならないと思っています。
○議長
 今の問題は,全国的に共通している学校図書館と公共図書館との大きな課題だと思いますが,今日のもう一つの議題である「叡智の杜づくり事業について」の報告もありますので,今回の議論はここまでとしまして,私たちもまたこの課題については継続して考えていくことにしたいと思います。

(2)話題提供

○議長
 叡智の杜づくり事業について話題提供をお願いします。
○館長
 映像資料により説明。
○事務局(早坂資料奉仕部長)
 城下絵図レプリカを展示し説明。
○議長
 ありがとうございました。これで協議を終了します。

10 その他

○議長
 その他で事務局からお願いします。
 (事務局から次回日程について提案があり,9月1日(木)の午後1時30分から午後3時30分までとすることで了承された。)
○議長
 それでは,これで議事のすべてを終了させていただきます。ありがとうございました。

11 閉会

司会者長尾次長が閉会を宣言した。その後展示室に案内,特別展や企画展を説明し解散した。

宮城県図書館

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