平成16年度 第2回宮城県図書館協議会 会議録

 

1 日時及び場所

平成16年9月2日(木)午後1時30分から午後3時30分まで
宮城県図書館 2階研修室

2 出席者

出席者 石田義光委員、永野為和委員、秋月治委員、小田忠雄委員、池田規子委員、塩野雅代委員、太田四郎委員、二瓶瑠璃子委員
欠席者 関口怜子委員、紅邑晶子委員

3 事務局出席者の職氏名

館長 伊達 宗弘、副館長 三浦 修三、企画管理部長 濱田 一枝
資料奉仕部長 早坂 信子、企画管理部次長兼総務班長 菊地 正博
資料奉仕部次長兼調査班長 菅原 泰博、次長兼生涯学習班長 小畑 幸彦
主幹兼利用サービス班長 佐々木 元廣、生涯学習班主任主査 兵藤正昭 

4 開会

 司会者、菊地次長が本日の協議会は定数を満たしたので、有効に成立した旨を告げ、開会を宣言した。

5 挨拶

○石田会長
 6月に秋田で開催された北日本図書館大会に出席し、概要は7月の当県協議会連合会で報告しました。各県の報告・紹介の中で、子どもの読書活動推進の法律を受けた各県の取り組みの報告がなされていました。また、一昨日河北新聞で仙台市立図書館の事業が取り上げられ、その中でマスコットキャラクターの募集を行なわれていました。今、このテーマに関して全国で活発にユニークな取り組みが行われております。
 本日は、県図書館から報告を受ける本計画について、今後の更なる取り組みを紹介いただき、委員の皆様から活発なご意見を伺いたいと考えます。よろしくお願いします。
○伊達館長
 現在図書館におきましてもいろいろな試みを行っているところです。県図書館としての立場で新企画をいろいろと考えております。後ほど詳しく御紹介いたします。
 今日は、盛り沢山の内容についてご審議いただくわけでございますが、よろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。

6 議長選出

 石田会長を選出

7 会議録署名委員の氏名

○議長
 二瓶委員を指名します。

8 傍聴について

 本日は傍聴希望者はおりません。

9 議題

(1)協議事項

○議長
宮城県図書館子ども読書活動推進計画についてその現況等についての説明を事務局にお願いします。
○事務局(早坂資料奉仕部長・濱田企画管理部長)
別紙資料により説明。
○議長
質疑に入ります。ご遠慮なくご発言ください。補足があれば事務局にはいつでも出していただきます。
○小田委員
子どもへの貸出が増えていることについて、公民館からの貸出が少ないとのことだが、県図書館からの巡回貸出も公民館からの貸出数に数えているのか。
○事務局(早坂資料奉仕部長)
今巡回しているのは協力車という名前で、公民館等からの依頼も含めて本を貸出している。
○太田委員
ブックツリーカードについてだが、重点項目の中にある、乳幼児期への読み聞かせの推進の想定年齢と、ブックツリーカードを使用できる年齢の差を何歳と想定しているのか。また、読み聞かせをしたらブックツリーカードに記載できるかなどについても聞きたい。
○事務局(早坂資料奉仕部長)
一人で読んだ時だけではなくて、お母さんやお父さん、保育士さん、おじいさんやおばあさんなどのほかの方に読んでもらっても付けられるようにしている、との話を聞いている。ブックツリーカードの目的はたくさん読むことではなくて、これをきっかけに家庭での本を介在した対話が生まれることも期待している。ここに「1人で読んだ時も読んでもらった時も」、と書いてあるのはそのためである。
○事務局(佐々木主幹兼班長)
乳幼児の読み聞かせの推進ということで、こちらの図書館では毎週水曜日に職員による読み聞かせを行っている。そこに参加する方の年齢制限はしていない。子ども図書室というのは中学生までが対象となっている。実際にブックツリーカードについては、早坂部長が言ったように、現在小児科などに行くと、「2歳まではテレビ・ビデオを消しましょう」というポスターが張られているが、そこで、ぜひお母さんのひざの上で聞かせていただき、そういうときにも丸を少しでも増やしていただいて、その子どもさんの中で気に入ったものがあれば、それを書いていただいて子ども図書室のほうに出してほしいということである。子ども図書室では、今後の予定としては、秋の読書週間の準備として、子どもたちが面白かった本の紹介をブックツリーカードでよびかけた本をもとにした記事にしたい、という計画を持っている。
○二瓶委員
基本計画の中に、重点項目のなかの乳幼児期の読み聞かせの推進ということで、町村の図書館も保健課と手を組んで、7ヶ月・1歳半検診の時にブックスタート的なものを行っている。図書館の協力ということで、加美町でも県の補助をいただいて絵本を1冊ずつプレゼントしてスタートできた。お母さんと7ヶ月の赤ちゃんに、絵本の読み聞かせをしてくださいと言うことなのだが、7ヶ月だとおしゃぶりをしたりと絵本への興味もそれぞれである。見よう見まねで私たちも進めているが、ぜひ県の方で乳幼児期の本の読み聞かせの研修などを行っていただき、市町村を助けていただけたらと思う。
○議長
今の委員さんのご意見は全国的な課題であろうと思うが、実際に今の乳幼児の父母の年代はテレビ世代ともいわれる。そういう意味で、ノウハウをわかっていても実際には積極的に行う自信がない、という部分があろうかと思う。今、大学生に同じ内容を教えていて、子どもの本がテキストにあったので、何十冊かの書名を挙げて読んだことのある人に手を挙げて貰ったところ、200人ほどの学生の中でほんの1%ほど全部に手を挙げた人がいた。科目履修の40歳代のお母さんであった。それに対して20歳前後の学生はどの本を挙げても20人前後がバラバラに手を挙げるという傾向だった。読み聞かせにしてもやりたいけれどもどのようにしてやったらいいかしら、というお父さんお母さんの意識が潜在的にあろうかと思う。お父さんお母さんにまず読書に興味を持ってもらうようなきっかけが役に立つのではないかと考えている。
○事務局(三浦副館長)
関連して、読み聞かせボランティア登録について濱田企画管理部長から紹介してもらう。
○事務局(濱田企画管理部長)
図書館では書架整理とかいろいろなボランティアさんにお願いしている経緯があるわけなのだが、従来から読み聞かせについてはご協力をいただいている人がいる。今回その実績を活かして活動していただくということを担当から伝えられている。
○秋月委員
先ほど公民館の場合に児童図書の貸出冊数が増えないという話があったが、大人の場合は「この本を借りたい」というリクエストを挙げることができるが、子どもは本の名前でリクエストを挙げるのではなくて本のきれいさでリクエストしたり、目の前にないものをリクエストしようがないのではないかと思う。子どもの本は現物がないとなかなか難しいのではないかという気がするわけだが、どう考えるか。
○事務局(濱田企画管理部長)
従来は県内の公共図書館あるいは公民館の図書室で子どもの本の移動展示を行っていたが、そこまで行かなければ実際に手にとって見ることができないということがある。できるだけ多くのお子さん、親御さん、学校の先生方、地域の方にも目にしていただく機会を増やすためには、やはり学校で移動展示していただくのが一番良いのではないかという観点から、今年度は小中学校への移動展示ということでご案内させていただき、30校ほどご希望をいただいているという状況である。
○議長
仙台市の子どもの読書活動に関するアンケート調査から、読書量が小学生は中学生にくらべて多いというのは、一部分は部活が始まるからという理由があると考える。
○池田委員
ただ今会長がご指摘された点について、8ページに読書冊数が少ない理由がかいてある。読みたいけれども読めないという子どもが小中学校ともにいる。その理由が、中学生になると部活動やスポ少で忙しくなるからというのが大変増えているという ことがある。実は中学生は大変に忙しいわけである。小学生はわりとのんびりしているのだけれども、受験勉強・スポーツ活動が始まるので、中学生がやはり忙しい、という議論が私たちの間でなされている。ただそう言っても決してすてたものでは ないなというところもある。13・14ページのところの学校外の図書館利用についてというところでは、少なくとも小学生は3分の1以上が大変熱心に、月に2回以上利用している。月2回というのは貸出の期間が2週間なので、フルに使っている可能性が極めて高く、そういう子が小学校では3分の1いる。それが中学校に上がると減ってくる、そこが大変残念だなと感じている。中学生・高校生が本を読まないのでそのあたりの年代で集中して読ませることも考えている。
先ほど、子どもは目の前に本がないと読まないというご指摘は本当で、仙台市図書館は閉架にも児童図書がストックしてあるが、大人の方の閉架の本はそこそこ動くのだが、どうしても子どもの本は動かないということがある。できるだけ開架へと思うのだが、開架スペースが限られていて、閉架に入ってしまう本がどうしてもでてくる。そこで、準閉架的なところをつくっておき、例えば日曜のような時に図書館探検的に子どもたちに見せられるような整理ができればよいのではと考えている。しかし閉架書庫はぎっしりと高い位置まで入っているものだから、大人であれば閉架で探していただくということも効果があることだが、子ども達はそれもかなわないというところがあり、私どもも悩んでいるところでる。
次に読み聞かせボランティアについてだが、仙台市の図書館でも、ブックトークという本をネタにしてお話をしたり、パネルシアターなどについてボランティアの養成を市民図書館で昨年行い、今年は実際に活動している。やはり図書館の職員だけでは対応しきれないことがあり、市民に呼びかけて特に年配の方に自分の子育ての経験を活かし、若い人に役立ててもらえるように積極的に関わってもらうようにしている。図書館の仕事と少々ずれてしまうかもしれないが、学校にそのようなボランティアが行き、学校での読み聞かせができるようなシステムをつくってもらえると子どもたちに本に興味を持たせるきっかけができるのではないかと思う。
○議長
仙台市も宮城県もヤングアダルトコーナーについては。
○池田委員
全部はやっていない。泉と若林図書館ではヤングアダルトコーナーを夏休みに作ったところ、大変多くの利用があった。そこで、試行的にまずやってみて、それをどういう形で展開できるか考えているところである。実はネックは、市民図書館では児童図書と一般書のフロアが違うところである。児童書が2階で一般書が3階になっている。そこで悩んでいるところである。児童書のところにつくっても中学生には抵抗感があるだろうし、一般書にもってくるのもちょっと違うかな、ということで、市民図書館が一番難しいかなと思うのだが、中学生や高校生をターゲットにした本をまとめて開架する工夫は手を付け始めたところである。
○議長
私もいろいろな方法で、ということで刺激にはなると思う。実際に大人の本も読める、子どもの本も読めるというのがヤングアダルトであるわけだから難しい点もあるわけである。河北新報の日曜版で必ず青春の一冊というのがあるが、それを見ていて、こういう欄がヤングアダルトの人たちが読むんだろうなあ、となんとなくわかる。そういう意味で、そのようなタイプの本がかなりの数になったら、ヤングアダルトコーナーというのが分類のひとつとして用意されたら、案外、中高生特に女子生徒が群がることもあるのかなあ、と考えたりする。
○池田委員
やはり夏休みだったということが大変利用があった理由だと思う。
○永野委員
ヤングアダルトについて6〜7年前に全国の出版社から、このようなヤングアダルトを設けてもらえないか、という話があった。各出版社で協力して月に5〜6冊推薦図書のようなものを作り、そこから各新聞社が紹介してほしいというコーナーで始めた。以前はヤングアダルトの本という黄色い帯をかけて書店にコーナーを設けて発足したはずだ。問い合わせも結構ある。決して大人が読めない本ではなく、幅が非常に広いものである。
○池田委員
出版社によっても体系的に取り組んでくださっている出版社もあるようである。
○小田委員
ボランティアの団体が子どものために読書のしつけをしようと読み聞かせに取り組んでおられる方がたくさんいることに驚いた。関連して池田委員が先ほど言った ように、読み聞かせボランティアとして年配の方が参加している。特に宮城県だと、東北大学に脳科学の川島隆太先生がおられるけれども、「計算をしたり、特に声を出して本を読むことが老化の防止に役に立つ」ということをおっしゃっているが、例えば、そういうことをキーにして年配の方をボランティアに巻き込む、あるいは一度川島先生にご講演でもしていただき、「これは子どものためだけではなくて、あなた自身のためになるんですよ。」という形で指導をいただいたらどうかと思う。
○議長
しゃべる・読み聞かせる・ブックトークという形で年配の方たちが自分から希望してやれる側面があるそれと子どものこととが一致するとまさしく一石二鳥だと思う。ただ、それを最初から強制するのではなしに、委員のお話に同感である。
○太田委員
私が3月までにいた町の中にも、読み聞かせが大変上手なかたがいらして、よくその話をされていた。高齢の方なのだけれども、さらに、前任校ではその方をお招きして、高校生に読み聞かせの仕方を教えた。その後、今度は高校生が保育所に行ってそれをやるという形を試みたことがあった。
○塩野委員
2点ある。ひとつはこの宮城県図書館の取り組みのところの子ども図書館のところで、毎月第一水曜日の午後の3時から職員によるお話会、紙芝居上演会を開いている、というところの現状について、お母さんと子どもが何人、どういうふうに集まり、あるいは紙芝居などでお話の会を行ったのかなど、その結果や集計を教えていただきたいと思う。また、その結果によってそれを広げるためにお母さんなどに対して呼びかけたことがあったのかということについてお聞きする。
○事務局(佐々木主幹兼班長)
職員によるお話会の状況だが、統計等はまだない。ただ、実態としては多い時には母親のほうが父親よりも若干多く参加するけれども、10名を超えているときもある。コンスタントに5〜6名は参加している。ただ、小さい子ども達なので入れ替わり立ち代りトイレに出るなどもあるので、最初にいて途中で抜けた人数を含めればだいたい10名くらいになると推測している。このお話会について、毎月第一水曜日は職員のみで、そのほかにボランティアの方々によるものある。
○塩野委員
どういう本か。
○事務局(佐々木主幹兼班長)
お話会をするまえに児童の職員のほうで今回はどんな本をするかということで、例えば「今月はごんぎつねをしようか」とか「次回は紙芝居をしようか」など、職員が前の週に相談して決めている。仙台というところは、紙芝居が盛んな土地ということだが、紙芝居のよさも伝えていかなければならない、と児童担当の者も話している。
○塩野委員
子どもたちやお母さんたちの反応はいかがか。
○事務局(佐々木主幹兼班長)
子どもがひざの上に乗っている時は非常にいい。子どもだけがジュータンの上に 座っている時は自分が読んだ本や興味のひいた本は耳を傾けてきているけれども、あまり興味が進まない時はどうしても時間がたってしまうと騒いでしまう場面も見受けられるが、だいたいは静かに聞いている。
○塩野委員
ここに連れてくるのはお母さんなどだと思うが、お母さんのファンなどから、「これはとてもよいからまた来月も」などというリクエストはあるのか。
○事務局(佐々木主幹兼班長)
前から継続して来ているのではないのだけれども、何度か来ているお母さんもいるということであった。私の方から見れば、非常に好評なのではないかと思う。
○塩野委員
4の宮城県図書館次世代育成プロジェクトに関するところの学校司書がどのようにこのプロジェクトに参加しているか書かれた部分についてだけれども、その前に学校司書と仙台市の司書教諭制度はどのようになっているのかということと、ここへ参加するのは学校司書だけなのか、学校には司書教諭と係教諭がいるわけなので、その両者の参加が必要だと考えるのだが。
○事務局(濱田企画管理部長)
仙台市の小中学校、高等学校はわからないが、主に県立の高等学校であれば学校規模に応じて学校に司書教諭が配置されていると思うのだが、だいたいの場合だと、学校の組織の中に図書部という組織があって、その中に司書教諭と学校司書が含まれているというのが大方の学校の組織形態ではないかと思う。宮城県の場合は学校司書は1人のみなので、どうしても図書部という組織はあっても主に業務を担当するのは司書の方にかかっている負担が大きいのではないかと思う。そういった学校の中での単数配置といったようなこととか学校図書館のなかの分野ごとの蔵書数の制約、ほしいものがあってもなかなか買えない、というのが実態ではないかと思う。そういった部分を県図書館として支援していきたいということなので、主としてご案内を差し上げたのは学校司書の方ということだけれども、ご希望があれば司書教諭でも先生方でも受け入れてもよいのではないか、という考え方でご案内を差し上げている。
○塩野委員
現実に司書教諭が学校でどのような活動をしているかわからないところもあるし、閉架書庫の見学とか叡智の杜への参加とか、本と生徒を結ぶ教育的なものは学校司書よりも司書教諭や係教諭の方が担っている部分なので、この人たちへの働きかけや 動員の必要があると思う。
○議長
全国的に司書教諭の配置が100%近くになったのはここ1・2年くらいのところで、2〜3年前は司書教諭の配置はおそらく3〜4割で、法律違反になるということで各自治体で急いで配置している状況である。ただ、100%に近いのは12学級以上の学校に限られているわけで、11学級までは必ずしも置かなくてもよいとなっている。宮城県の場合も遅れている部分があって、ようやくいろいろな課題に取り組めるようになったのは実にここ1・2年のところと思われる。図書館事務職員との関わりとか、公立図書館との具体的な関わりのようなものは、これからだろうと思う。今まで全国に司書教諭が少なかったわけであるから。
○太田委員
宮城県の司書教諭については、学校図書館の中で司書教諭という発令はなかったわけである。学校図書館法の最後に「当面はおかなくてもよい」という項目があって、それが二十数年間そのままになっていて、宮城県の場合少なくとも高校はおくということになっており、県内での小中の場合は名取市と塩釜市あたりが比較的多く置いてあって、全体として小中の場合の図書司書はほとんど置かれていなかった。今、議長がおっしゃったように、県議会議員が動かれまして、「これじゃだめだ」ということで、ここ2年ほどで宮城県も司書教諭を発令することになった訳である。ところが問題は司書教諭の資格を持っている人がいないわけである。おととしまでは、宮教大で夏の講習会で経験年数により8単位を3単位で取得できる制度があったのだがすでに無くなってしまった。現在は全高校に配置はされているけれども、異動を繰り返していくとそれが偏ってしまう可能性がある。そうすると発令がなされない可能性があって、非常に大きな問題がある。1の裏の部分で学校の2番目に、司書教諭の養成というところがあり、これについてこの企画でやられるとすると、現在の教諭が司書教諭の講座をもって資格がとれるシステムを保証してもらう事が必要である。ところが、講座開設ができる場所はそんなにない。できればこれを今後とも継続していただければありがたい。
○議長
全国共通の悩みだった部分がある。多少のばらつきはあるが、全国的に1995年ごろにアンケートをとったところ、全国で司書教諭をおいているのが約4万校のなかで7%程度であった。昨年から約12学級以上の2万校くらいに4月からほぼ100%に近く配置されている。いろんな意味で、今年からスタートしたということがある。ただ、長年学校図書館を支えてきた学校司書とか、特に高等学校はさすがに司書教諭あるいは学校司書という形で図書館に人を置かないと実際に高校生から不満が出るし、学校教育のカリキュラムの上でも問題がでるので、高等学校は先駆けていたわけであるが、小中高と平均させるとここ1・2年でようやく日本は態勢が整ったといえると思う。ただ、国のほうは司書教諭が100%おかれたら学校司書はいらないという姿勢が片方である。ただ議員立法されたときは、従来支えてきた学校司書についてもその処遇については十分配慮すべき、というのが付帯決議であったと思う。ここのところを前向きに捉えるか、司書教諭ができたからもういいんだと後ろ向きに捉えるかのところが緊急の課題になりつつあるだろうという気がする。
○小田委員
先日資料としてお送りいただいた宮城県図書館の「叡智の杜 創刊号」は非常にすばらしい企画である。それに学校司書や司書教諭の皆さんが参加しているのはすばらしい構想ではないかと思う。特に、これからというのは司書教諭さんが学校に1人しかおらず、非常に激務である。これだけインターネットが使いやすい環境でいちいち原稿を書いて送らなくてもメールの形で送り出したり、「叡智の杜」を郵送しなくてもホームページのどこかで必ず見られることがわかり、そこで情報交換をすれば こういう方々を巻き込むということがやりやすくなっているのではないかと思う。東北大学の図書館にいた時に、全国の国立大学を巻き込んだ組織があり、そのなかのメーリングリストができて、1人では取り組めないような外国での学術雑誌の取り 組みの情報をお互いに分担して翻訳してホームページに載せたりと、情報交換に非常に役に立った。教育委員会との関係があるかもしれないが、それだったらぜひ図書館でイニシアチブをとっていただいて、情報をシェアするということをしていただきたいと思う。
○議長
先ほどの仙台市のマスコットキャラクターはどういうふうな使い方をされるのか。
○池田委員
例えば国体のケヤッキーが国体のポスターからなにからいろいろなものに載っているように、あのような形で子ども読書に関わる様々な企画の印刷物とともに提供していくという形である。
○議長
このようなツリーみたいなもので、ずっと使い続けることができるようなものですね。パッと見て子どもが喜んだり、なじめるようなキャラクターを想定してよろしいのですか。
○池田委員
はい、そのとおり。
○事務局(早坂資料奉仕部長)
ライオンの絵の作家であるとよだかずひこさんは仙台出身の絵本作家だけれども、図書館の子ども図書室の児童カードを作る時にお願いして絵をかいていただいた。最初絵本の中のキャラクターをできれば使わせていただこうと、著作権の許諾申請をしたが、直接にかきましょうとのことでわざわざかいていただいたものである。著作権許諾の契約をかわした時に、将来にわたって永久的に使い続けることを許諾する、という話をいただいて、図書館では子どもの本展示会からなにからいろいろな所で大活躍をしている。
○二瓶委員
計画の重点目標のなかの4の公立図書館の整備充実というところだが、「ことばのうみ」を見ていただいて、おかげさまで小野田図書館が開館して、県からも職員を派遣していただいて地域にあった図書館作りができた。子どもの本をより多く置いて、子どもの本も大人の本も一緒に書棚に並べるという、絵本は別だが、そういうことをやって、雑誌200冊とか、特徴づけをしながら開館しているのだけれども、1ヶ月の統計を取ってみたところ、小野田の児童書の貸出が中新田を抜く勢いである。たしかに小中学校が近いという地の利があるところで、「感じがいい」、「居心地がいい」とかがあるが、時間も7時までやっているので子どもたちが寄っていくということである。そこで、身近にいい図書館があれば人が来るんだな、ということを実感したところである。今後どうなっていくか見守りたいと思う。
ひとつ問題がでていることといえば、大人にとってちょっとうるさすぎるということがある。あんまり自由で子どもたちが楽しそうで、小さい子が走り回ったり、中学生がたむろしたり、大人の方は「うるさいから中新田にきたの。」という人がいたり、その点がちょっとひっかかるところである。だんだんと子ども達も図書館に慣れて使い方もよくなっていくのではないかということで、使い方の向上を期待している。
身近に環境整備をすれば、小野田の地区という小さい町でも子どもがくる図書館ができそうだということをご報告し、県にも感謝したいと思う。
○塩野委員
大人と子どもが一緒に使うということの問題があると思う。大人にとってはやっぱりうるさいのは困るだろうし、子どもにはなるべく生き生きと利用させたい、というのはわかるのだが、それが公認というのではなくて、やはり、マナーをきちっと指導したり、図書館という場について教えるということが必要ではないかと思う。
○二瓶委員
これからもそのように取り組みたいと思う。
○太田委員
今、小野田図書館のことをお聞きしたのだが、利用者が多いということで大変すばらしいことだと思う。そこでお伺いしたいのだが、開館時間が7時までということで、他の図書館と比べるとどうなのだろうか。
○二瓶委員
大概は6時くらいまでだと思うのだが、10時から7時というのが中新田図書館、小野田図書館は水曜日から土曜日は10時から7時まで、日・火曜日は9時30分から5時までである。7時までの効果についてだが、例えば中新田図書館と小野田図書館は独立館なので、中新田図書館により、帰りは小野田図書館によって両方から借りて、合計10冊借りておられる方が結構多い。
○太田委員
他町村の閉館時間はどうなのか。
○事務局(早坂資料奉仕部長)
閉館時間は仙台市の市立図書館ですらまちまちであって、まだ5時までのところもある。
子どもの本と大人の本を一緒にするというのは外国にはあるが、日本ではまだ非常に珍しい。やはり大人と子どもが一緒に行動するということで、大人にとってみればうるさいと感じてのご意見が宮城県図書館である。お客さんの中には「子どもは 子ども室以外には来るな。」、子ども連れのお母さんには「子どもは子ども室になぜおいてこないのか。」とお怒りになる方も多い。私どもは一緒に、と思っているのだが、外国の例のように早くから図書館が発達した所では結構一緒にしたところが多い。日本ではマナーの問題なども進まない理由になっている。また、さきほどのヤングアダルトのように年齢で場所を決めてしまうよりは、読書年齢と実年齢は違うので、中学生でもどんどん大人の本を読みこなす子もいれば、高校生でも子どもの本だったらきちんと読めるという子もいるので、今のお話にあった実験的な取り組みに、今後も注目したいと思う。
○秋月委員
今は開架式の図書館では、書棚が閲覧室と同じと捉えることもできる。だから、中高は一緒にして読書室を閉鎖式にするということも考えられるのではないかと思う。
○池田委員
それも問題がある。受験生が部屋を占有するということがあり、それを一般の方が目の敵にするということがある。どういう形で閲覧席を設けても、それはそれぞれ別なトラブルが発生する。環境のいい静かなところに囲って用意してあげると、朝一番に全部占有されてしまう。
○議長
最初に事務局よりこの後に企画展を案内していただく旨の説明があったが、今日の協議題は全国共通あるいは今年度・来年度に向けて続いていくものだと思うので、ご意見をお出しいただく場は今後もあると思う。いろいろなご意見を頂戴したので、できる部分を検討いただきながら、また活発な取り組みをしていただきたいと思う。協議題についてはこれで終了します。

10 その他

○議長
事務局からその他の議題についてお願いします。
事務局から第3回の日程について提案があり、12月2日(木)の午後1時30分から3時30分までとすることが了承された。
○議長
それでは協議につきましては以上ですべて終了させていただきます。ありがとうございました。

11 閉会

(1)報告事項

司会者、菊地次長兼班長は閉会を宣言した。その後、展示室に案内し、特別展と企画展の説明をし、解散した。

宮城県図書館

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