平成14年度 第3回宮城県図書館協議会 会議録

 

日時及び場所

平成14年12月5日(木)午後1時30分から午後3時30分まで
宮城県図書館 2階研修室

出席者

出席者 太田四郎委員、奥山恵美子委員、小野寺健委員、小田忠雄委員、齋藤雅英委員、関口玲子委員、二瓶瑠璃子委員、紅邑晶子委員
欠席者 永野為和委員
辞任 梶功夫委員

事務局出席者の職氏名

館長 伊達宗弘   副館長 浅野袖記   企画管理部長 板橋正春
資料奉仕部長 遠藤幸生   庁副参事兼次長 櫻田重敏   次長兼班長 早坂信子
次長兼班長 高木治夫   主幹兼班長 菅原泰博   主事 今野由美子

開会

司会者、櫻田重敏副参事が本日の協議会は定数を満たしたので、有効に成立した旨を告げ開会を宣言した。

挨拶

○齋藤会長
委員の皆様お忙しい中、今日はありがとうございました。私、最近腹だたしいことがあります。それは私どもの学生だけだといいのですけれども、あまりにもITの便利さにたよりすぎていて、図書館のなかに蓄積されているデータを探すことが身についていないようです。少なくとも高校までにそういうことをやっていない。ITを使った情報検索などはデータを探すツールのほんの一部でしかないという考えが消えているのではないかと心配しています。資料の保存、蓄積は本当に大事なことですし、それをどう使っていくかということも県民の皆様方に対しての公共の立場から検討していきたいと思います。今日もまたいろいろと貴重な意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
○伊達館長
今日はお忙しいところ御出席を賜りまして感謝申し上げます。また、皆様方には日頃から県政の様々な分野におきまして御支援・御尽力いただいておりますこと改めて感謝申し上げるものでございます。今日は第3回図書館協議会ということで県民の共有資源としての蔵書の在り方について検討していただきます。忌憚のない御意見が寄せられますことを期待申し上げまして挨拶に代えさせていただきます。

議長選出

齋藤会長を選出。

会議録署名委員の氏名

奥山委員を指名。

傍聴について

議長が、本日の協議会の傍聴希望者が1名おり、傍聴要領に基づき傍聴を許可してよろしいか、議場に諮ったところ満場一致で承認された。

協議議題

○議長
それでは早速協議事項に入らせていただきます。今日は第3回の会になります。第1回・2回の会議で議論したものを事務局の方でまとめていただいてその資料が配布されていると思います。その資料に基づきまして先ほど館長のおっしゃった「顔のみえる図書館、県民の共有資源としての蔵書の在り方」についての諮問を受けております。特に(1)収集の方策、(2)整理・保存・提供、(3)市町村図書館との協力という3つの柱について報告検討いただいています。これについての確認の作業、ということになります。事務局の方から資料に基づいてお話をいただいて文章修正・内容補足・削除・校正等御意見を頂戴したいと思っております。これが終わりますと次回までには成案がなされ、あと2点については年明けに検討いたしましてこの任期があける来年の12月ぐらいには館長に正式な答申ができるかと思います。それでは事務局のほうから本日の資料についての説明をお願いいたします。
○遠藤部長
資料により説明(1ページを読み上げ)。
○議長
今読み上げられた部分についてここで意見を頂きまして、また最後に全体的な御意見も頂戴いたします。ここまでのところで何かお気づきの点、文言についてございませんか。
小野寺委員何かありませんか。
○小野寺委員
はじめにの部分なので特にはありません。このままでよいのではないでしょうか。中身的なものに関しては各委員から御意見があるのではないかと思いますが、この部分について御異論のある方はあまりいないのではないでしょうか。
○小田委員
文中にマイクロ化が進んでおらずという部分ですが、マイクロ化してからそれをさらにデジタル化することも非常に大事ではないかと思われますのでマイクロ化およびデジタル化としてはいかがでしょうか。
○議長
そのように訂正してよろしいでしょうか。
○小野寺委員
今の確認なんですが、上から10行目を「マイクロフィルム化・デジタル化」とするということですね。
○議長
はい2段落目の5行目ですね。
○小野寺委員
はい、わかりました。
○議長
他にありませんか。私からの意見ですが一番下の段落で「調和を図りながら〜」とありますがこれは丁寧に読むと「保存と利用との調和」ということですね。この部分についてもう少し何か入れたほうがわかりやすいかなと思います。
○関口委員
確認なんですけども上から4行目のところに「保存及び提供の在り方について」という文言がありますが、保存に関してはいろいろと詳しくありますが提供に関してはあまり書かれていない気がします。とても大事なところなので「はじめに」がこのままでよいのか心配なのですが。
○議長
委員の皆さんからこの御意見に関して何かありますでしょうか。館長さん何かありませんか。いずれはインターネットで公開するということもあるのでしょうが。
○伊達館長
一応5ページに説明が載っています。
○議長
デジタルアーカイブ化ですか。
○伊達館長
はい。
○関口委員
それだけで提供の在り方として本当によいのか、具体的にふくらませて書かなくてもよいのかちょっと心配です。
○議長
依頼が来たときに複製をつかって貸し出しをするといったようなことですか。
○関口委員
はい、そういうことも含めてです。
○遠藤部長
4ページの「図書館資料の保存」と連動させるべきもので移動展示会やWEB上での公開などの話がでてきます。
○伊達館長
もう少し具体的にわかりやすくということですね。それはそういうふうにさせていただきます。
○小野寺委員
始めの部分はこの通り書いてあるままなんですね。この後でくわしい話をしても中身的にはとくに問題ないと思うのですが。
○太田委員
保存と提供の部分で保存がそのまま提供になるような印象がありますね。保存するもの、こちらは保存したのちに提供するもの、といったようにもっと明確にこれらをわけたほうがいいように感じます。
○議長
それでは次にお願いします。
○遠藤部長
資料により説明(2〜3ページを読み上げ)。
○議長
ありがとうございました。前半の1の部分についてなにか御意見ありますでしょうか。
○小野寺委員
基本的にはいいが、このアイテムが県民の財産だということをもっとうちだしてもよいのではないでしょうか。この文面はとてもいいのですが、どうしても図書館だけの文面になってしまいます。保存ということについても宮城県民の文化財であるということを前面にだせればともっとよいものができるのではないかと思います。
○伊達館長
ここに「県民の財産について」という文言をいれさせて頂きます。またあとから御説明することになりますが「22世紀を牽引する叡智の杜づくり−みやぎ文化資源の保存・活用事業−」にもこの文言を入れさせて頂きたいと思います。
○議長
他にございませんでしょうか。
○小田委員
2の方なんですが、重要文化財の指定を受けるにはその資料に関する論文がたくさん出ていることが必須条件だということで、そうしますと専門家に調査していただくことが必要となります。そうすると資料をそういう方に公開することが必要になります。そういう要素もどこかに必要なのでは。
○伊達館長
すでに専門家によるかなりの調査が入っていましてあとから説明することになるかと思うのですが、東京科学博物館と全面的にタイアップしまして「我が国の科学技術黎明期資料の体系化に関する調査・研究」として今年度だけでも3回、延べ20日間で複数のグループが図書館に入っています。つい最近になってからも同じような内容で1週間程度2つのグループがはいって学術調査を行っています。国の方から全面的に学術調査をしていただくことになっております。
○早坂次長
随時論文一覧、一資料ごとに図書館としてまとめているところです。全国的なレベルの調査が積み上げられていると実感しています。
○議長
他に何かありませんか。
○太田委員
(3)のことで確認させていただきます。「閲覧・撮影・特別貸出を制限する」というところで、これは本物のことだと思うのですが、前回たしか5年から10年というサイクルにかけて一度展示という話がありましたが、そのことについて今ここで具体的に決める必要があるのかということですね。制限する(5年〜10年に一度で許可する)という文言があったのですが。
○伊達館長
これは、例えば国の重要文化財である「坤輿万国全図」を連続して貸し出すということがあり、あるいは次から次へと写真を撮らせてくれというような依頼が来る。これらの資料は実際博物館などなら5年か10年に一度のサイクルでしか展示しないものです。そういったこともあってお話したものかと思います。  基本的には貴重書は閲覧・貸出は全面禁止の方向で、学術調査最優先で考えております。
○太田委員
(3)については本物の方で、では(4)のほうでは複製物ということで複製物については随時提供していくということでよろしいですか?
○伊達館長
はい、そうです。
○議長
これについて小田委員の方で何かありますか。
○小田委員
はい、ここにある「坤輿万国全図」は本物ですが、東北大学にあるものは写本です。最近それを高精細デジタル化しましてホームページ上で公開しております。デジタル化したものは加工も大変しやすいですし、先ほどマイクロ化の話もでていましたが、ものによってはデジタル化してしまえば複製を作ることも非常に容易になるのじゃないかと思います。
○議長
奥山委員のほうではそういう過去の経験はありますか。
○奥山委員
仙台市ではあまりそのようなものはないです。
○議長
ありがとうございます。他に何かありますでしょうか。
○紅邑委員
質問ですがよろしいでしょうか。宮城県図書館では古典籍資料のマイクロフィルム化が進んでないとのことでしたが、どうしてでしょうか。
○議長
それは前回の会議でもとりあげられたものですが、それでは簡潔に説明をお願いします。
○遠藤部長
マイクロ化には億単位の金が必要となります。その費用の面で力が及ばなかったということです。
○紅邑委員
財源というのは国とかそういったところから?
○議長
それでは館長お願いします。
○伊達館長
話が相前後してしまいますが、実は15年度から16年度以降10ヵ年計画で図書館としても納得できるようなかたちでの補修の計画があります。県の上層部の理解もかなり得られていますのでぜひ実現させたいと思っています。それは又、後段のほうでもう少し詳しく御説明していきたいと思います。
○議長
今のⅠの1の表現で6万冊という単位を使っていますが6ページの方で6万点とありますね。
○遠藤部長
統一いたします。
○議長
あと他にはないでしょうか。なければ3番目にうつりたいと思います。
○遠藤部長
資料により説明(3〜4ページを読み上げ)。
○太田委員
ちょっと話がわからなくて質問させてください。3ページの(2)の食害とは虫くいのことなんですか。
○遠藤部長
はい、そうです。
○太田委員
それと4ページ目の(1)の1ですが「可能であれば移動展示会も計画し」とあります。これを行う場所として博物館や図書館・市町村の施設など具体的にどこを想定しているか教えてください。
○伊達館長
かなりの部分が文化財となると思いますので、仙台市内なら結構ありますが市外だと、例えばリアスアーク美術館とか多賀城の歴史博物館などが想定できると思います。
○太田委員
それなりの施設が整っている場所でないといけないということですね。
○伊達館長
それと学芸委員がいるところでないと。責任問題もありますし。
○議長
それをこちらに明示する必要もないですね。他にはありませんか。
○小田委員
こういう貴重なものを保管するにあたってこの貴重資料のPRも大事だと思うんですね。資金の援助を受ける面でも。たとえば「坤輿万国全図」は写本がたくさんあるそうですがそれを一堂に会して展示する。またはデジタル化していつでも見られるようにするといったことも必要だと思います。
○早坂次長
坤輿万国全図」に関しては東北大にもありますし個人蔵のものも含めると仙台・山形で8点ほどもあり、なぜこんなにあるのか様々な学者が不思議がっています。デジタル画像を収集することによってデジタル博物館的なものを設けることも可能であり大変興味深い御提案かと思います。
○伊達館長
これもPRの方法の1つなんですが。職員が図書館のものを使ってカレンダーを作りました。月曜日の庁議に配って県の皆さんに図書館のPRをしていきたいと思います。こういうことも想定しております。
○小田委員
こういうものを博物館ならミュージアムショップで売るということもありますし、その利益でデジタル化の費用をまかなうということも考えられます。
○伊達館長
図書館ではそういうことはできないんです。県として契約を結び収入を得ることはできるんですが。いろいろ検討はしていきたいと思います。
○議長
小田委員の質問は4ページの産業化にからむのですね。
○伊達館長
そうですね。
○小野寺委員
図書館資料の保存は県民の理解が得られないとなかなか進まないと思うんですよ。どちらかというと制限とか難しい問題がからむのですが、「図書館の貴重な資料がここにあって宮城県の財産なんだよ」ということを運動していくときに、なんというか熱血的な宮城県図書館のサポーターのような人間を育てていかないと、そのへんの理解が行政向けになってしまうのではないかと思います。ですから、私はこういった資料があって本当にすごいなと思いますし、関口先生もおっしゃってましたけどワークショップで子供たちにこういったよいものがあるよということを伝えることによって、それをつないでいくことはできないか。また宮城県的にいうと、高年齢化というか60歳以上の年齢の人が増えてきています。この図書館に対して興味をもってらっしゃる人もいますし、生涯学習という1つの部所がありますので例えば宮城県図書館学とでもいうのですか。宮城県にこんな資料があるよということを民間の住民の人を引っ張り込むような仕掛けがあるともっと盛り上がるのかなという個人的な意見です。ですから、図書館資料の展示というのも大事なことですが、人が混ざってなにかやっていくという仕掛け作りが大切なのであって、それをひきだしていただければ面白いかと思います。せっかく関口先生と紅邑先生もいらっしゃいますことですし、市民活動といいますかその技術を使わない手はないと思います。宮城県図書館だけの何かを作っていければ面白いかと思います。
○議長
ありがとうございました。今のお話はこの話し合いが終わった後で図書館から説明される活用事業につながりますね。図書館として大雑把な構想をもっているんですよね。そこでもまたお話がでると思います。他に今読み上げたところについてありませんか。
○紅邑委員
今のお話とつながるかと思うんですが、保存と連動させるべきものとして公開と産業化と二つ出ていますけれども、私がさっき聞いたお金がないということとも連動しているかもしれません。必ずしも物を売って基金にしなくても、いろいろ寄付をもらうとか別な資金の調達法も視野に入れたほうが良いのではないでしょうか。
○伊達館長
いろいろ難しい問題ですが間違ってはいないと思います。県ですので寄付そのものは難しいです。ただ、図書館のものを利用して県の収入には結び付けられるのではないかと思います。
○関口委員
よろしいですか。早く言っておいたほうがいいかと思ったので僭越かもしれないんですけれども、外にこういったデザインを売る場合はアートディレクターなどがいて、本当にそれがいいものとして出さないとちょっと心配な部分があります。作品そのものがよければよいほどそのデザインにお金をかけなければいいものとしては出て行かないんですね。それが商品化されるされないは別として、それが外に出て行くときに宝の価値が高ければ高いほどデザイン性は高くなければいけないんですよ。具体的にいえばサイズ、カレンダーなら紙質とか・・・あるわけですね。正直に言うとかなり難しいかなと思っているんですよ。価値が高ければ高いほど大事に扱わなければいけないわけで、商品を出したときに最初にあまりいいものとして出ていないとその価値が下がるんですね。その反響とはとても大きいものなので、なんとなく内部で動いてしまうのではなくそれなりの職業の人にお願いした方がいいと思います。それと県にお金が入ることを躊躇されているようですが、私は今子ども病院の方をお手伝いしています。子ども病院の佐藤忠良さんのレリーフについては別枠でお金を集めてそれが県に入るんです。税金も一切かからないような手続きをとってますのでそういう方法というのは考えればたくさんあるのではないでしょうか。
○議長
というようなことを検討していきましょうということですね。
○二瓶委員
小野寺さんもさっきおっしゃったんですけど、オーナー制とかいろいろありますのでもっと広く県民に知っていただければよいのでは。例えば、県美術館に無料で入館できる券をセットにして県民に1万円で購入していただくとか、県民に広くアイディアをつのれば貴重な資料をデジタル化する費用も早く集まるのではないかと思います。県だけを待っていては、今までマイクロフィルム化ができなかったというように大変なことだと思います。こういう不況のときですけれどもこういった貴重な資料があるということは、私たちも見せていただいて初めてわかるように、県民の方々は知らないと思いますのでもう少し知っていただくのが必要ではないかと思います。
○小野寺委員
これはやっぱりスピードが大事な部分だと思います。もう正直にお金がありません、デジタル化がしたいです、マイクロフィルム化もしたいです、ということでワークショップなどで知恵を集めてみるというのもひとつの手ですね。関心をこちらに向けてもらうだけでも違うのではないかと思います。そこからはどうなるのかはわかりませんが、まず一歩として投げかけてみるとこれについて考える部分がでてくるのではないかと思いますね。こういった県民も巻き込んだ方法をとるほうが今後図書館だけが苦しむような状況を避けられるのではないかと思いますね。ここだけで考えていてもアイディアは浮かばない、たくさんの頭が考えれば、何がしかの考えは出るのではないか。アクションを起こすことが必要ですね。
○伊達館長
図書館でもいろんなことをやりたいのですが、法律のしばりもあるのでできないことも多いので、まず、図書館にあるものに価値付けをして、積極的に皆さんに御紹介していくことだと思っています。そのなかで新しい動きが出てどなたかからサポートしてもらえたらと思います。文化財に指定したり、展示会などのPRをしてそれが予算にもつながっていけばと思っています。それと、これを商業ベースに載せるとなるとまたべつの組織を作る必要があると思います。
○議長
ありがとうございました。そうするとこの図書館資料の産業化は非常に大事なところですが、産業化という言葉はどうかなということですか。
○伊達館長
産業化でいいと思います。ただうちのほうで産業化するのではなく、産業化に質するという感じになってくると思うのですが。
○小田委員
国の場合ですと奨学寄付金委任経理金というものがあるのですが、個人でも誰でも寄付したものが全部国に入ってしまう。しかし、その寄付を受けた大学、指定された大学はそれを使う権利がある。県にもそういうものがあるんでしょうか。
○伊達館長
説明が足りませんでしたが、県に入るのが悪いというわけではなくて、我々が予算要求するときにそれを想定して一般財源として要求を認めるということです。県に収入が入るような仕組みを作ればいい。その時は県とだれかが契約をするということです。
○小田委員
そうするとそれを自由に使わせてもらえると。
○伊達館長
そうです。博物館などのように入場料収入があればその収入は県にいってしまいますが、財源としてそういう裏付けがあるということで予算要求ができる。
○議長
そうすると今の話はこの答申が通った後での方向の問題にもつながってくるわけですね。それではここの部分はいいでしょうか。それでは最後の部分について5ページの頭から説明お願いします。
○遠藤部長
資料により説明(5〜7ページ読み上げ)。
○議長
御意見はないでしょうか。
○太田委員
先程は保存という分野と提供という分野をもっと明確にしたほうが問題のあり処がもっとはっきりしてくるのではないかと思ったのですが、今説明していただいたことを聞いて保存および提供というのをセットとしてとらえた表現になっていると考えると、すんなり理解できるという思いがします。例えば5ページの(1)の1「文化財の指定」と2「資料の修復と複製」はどちらかというと保存中心に書かれている。ところが3「デジタルアーカイブ化」あたりになってくると公開システムの開発ということで提供の部分になってきているわけです。だからセットで考えればあまり無理なく、と考えたわけですね。さらに申しあげると役割の中で知の継承などがございますが共有化の姿勢であるとか広報活動とか啓蒙的な分野、そういったものが役割として提供の部分にくみしてくる新たな具体案が出てくると思うわけです。結論はこのままでも使えるのではないかということです。
○議長
関口委員が最初におっしゃった提供についての文言の問題でしょうか。
○太田委員
そうです。初めは私も早とちりしたのですが、読み返してみたらすっと意味が通ったんですね。そのことを申し上げたかったんです。
○関口委員
しかし私もそう思った、太田先生もそう思ったとなると他の方はもっと読み違えるのではないでしょうか。文言の使い方の問題でしょうが。今お読みいただくとああそうか、と思いますけれど、活字で見たときにちょっと違和感があったんです。このたった8人の内の2人がそう感じたのですから、他の人はもっとそうだと思うんです。国語学的な問題だとは思うのですが。要するに保存の在り方だけを言っているのではなくて保存および提供の在り方なんですね。ただそれをこのように感じた私がいて太田先生がいてということで、二人とも早とちりだったのでしょうが。
○議長
太田先生も早とちりだったとおっしゃいましたが。
○関口委員
じゃあ、私も早とちりでしたということで終わりにした方がいいんでしょうかね。
○議長
いやいやありがとうございました。他になにかありますでしょうか。
○小田委員
5ページの下の部分にサーバの話がのっておりますが、今宮城県図書館でお持ちのサーバはどの程度の機能があるんでしょうか。相当容量がないとデジタルアーカイブはできないです。
○早坂次長
容量のことは資料をみないとここで申しあげられません。今使っているサーバは図書館業務用サーバ、利用者用の館内OPACと宮城県内のネットワークサーバを兼ねている物が1つありましてその他にインターネットOPACサーバの3つで構成されています。それぞれ設置のときから5年リースですので5年間の使用に見合ったぎりぎりの容量で計算していれております。デジタルアーカイブに必要な容量は満たしていないので新たに設置するということになります。
○副館長
今のままのものでは間に合わないだろうということで6ページに専用のものを別置きしたいとあります。
○小田委員
この建物ができて直後くらいに委員になったのですが、この建物の概要を説明してもらったときにそのころは大変インターネットの回線が遅いということだったんですが、それは改善されているのでしょうか。
○伊達館長
改善されています。
○小田委員
これからブロードバンドが世界的に我が国にも普及してこういうデジタルな資料にアクセスするのには、よほど容量がないと回線のスピードがないという思いがあります。
○議長
あと他に何かございませんか。
○太田委員
先ほどの確認ですが4番目の(2)の最後の方の「郷土の子供たちが先人の知恵や勇気や力を学ぶことのできる素晴らしい資料」ということで先ほど出ました本県の貴重な資料についてのPR活動や広報活動でしょうか。そういった視野の中に学校教育へのPRや啓蒙の視点をいれていただくと大変ありがたいと思います。
○議長
つまり学校教育のなかに入れたいということですか。
○伊達館長
個人的な考えですが、副読本を図書館のなかにいれるというのもあるかと思います。時間がなくてなかなか取り組めないのですが。副読本にもいろいろありますのでそれを使って1つの郷土資料を作れるのではという感じは持っています。そうしますともっと宮城県について自信や誇りを持ち、または図書館に対する理解をしていただけるのかなと思います。そして又、ふるさとを見直す動機付けになるのではないかと。それに応えるのに十分な資料はあると思うのですけれども。
○議長
そうするといかがしましょうか。特に学校図書館と配慮した文言をいれた方が、ということではないのですか。
○太田委員
そういう意味ではないです。しかし学校教育の場への啓蒙の視点をいれていただければもっと理解が深まるのではないかと思います。
○議長
その辺のところを配慮して、ということですね。
○小田委員
総合学習ということがいわれています。子供たちに自分たちで調べさせるということで郷土資料を視野にいれてもらうこともありますね。
○二瓶委員
こういう部分にテーマを載せていただければ図書館も総合学習で結構利用されていますし、もっと広がりがでるかもしれません。
○関口委員
このような図書館のお宝は広報に載っているのでしょうか。PR活動の1つとして県の広報に載せられるよう毎月ある一面をもらってどんどん流していき、そして総合学習はいらっしゃい、というふうにしていく。もちろんこちらも子供たちがきたときに学年に応じて対応するなどの措置が必要です。
○伊達館長
そうですね。わかりました。
○紅邑委員
ここで施設のボランティアとして活動している人達はどんな形で参加しているのか、もしくはいないのか教えていただきたいです。
○板橋部長
全体で98人おります。このなかで書架と環境整備、音訳サービス、展示案内の3つで活動していただいています。
○紅邑委員
これを聞いたのは、さっき関口さんがお宝はどんなのがあるのっておっしゃってたんですけども、今ボランティアの方達がなぜ参加しているのかというと、ここにある物に対して大変関心が高いし、またそれとつながることを欲していらっしゃるからだと思います。そういったなかで、ここでの体験を通してここの良さを発見し、外に伝えていく役割も帯びていくのではないかと思います。ここにある貴重な資料をどうしていくかに関して担当の職員だけでなく、むしろそういった方たちにも参加をしていただくということがあってもいいのではないでしょうか。ボランティアとはただ無償で仕事をしてくれるというのではなくて、そのような意識が高くて参加しているのだと思います。こういう場面で実現するという形で情報発信をしていくのもよいのではないかと思います。
○議長
PR関係の方法の1つということですね。これで一応説明は終わりまして御意見をいただいたんですが全体的には何かございませんでしょうか。館長さんから何かありますか。
○伊達館長
特にはございません。もう少し文言等整理したいと思います。
○議長
それではこれに基づきまして整理した形で資料のまとめを事務局の方にお願いいたします。残りの時間で図書館のほうで検討している「叡智の杜づくり」に関してご説明願います。
○遠藤部長
諮問に対する一次報告を受けまして宮城県図書館では「22世紀を牽引する叡智の杜づくり−みやぎ文化資源の保存・活用事業−」を展開する計画を立てております。ここでは平成15年度から始まるこのプロジェクトの概要を御説明申し上げ委員の皆様に御審議いただきましたことがどのように具体化されようとしているのかを御覧いただきたいと存じます。現在の作業状況は資料の1頁に上げました。今後の具体的な年次計画等については早坂次長が御説明申し上げます。
○早坂次長
10か年計画について資料により説明。
○議長
質問、補足等ありますか。
○伊達館長
江戸時代のなかで仙台と金沢と薩摩は外様であるからこそ独特の文化を育んできた。特に、薩摩は西南戦争でかなり貴重図書を失っています。金沢は残っています。仙台の場合は約6万点の資料が残っており県と仙台市とで分割して保存しています。明治初期その頃の文部省機関に勤めていた鍋島という人物が学問について調査したのですが、当時仙台藩だけが算数と洋書を教えていたそうです。そういった集大成が仙台の図書館にはある。天文学や算数、あるいは本草学、あるいは蝦夷日誌など。このことからも分かるとおり仙台藩はその当時から学問のレベルが高いことは知られていたんです。12月に、宮城県文化財保護審議会が開催され9件11帖10巻783冊の文化財指定についての諮問、答申が予定されています。
○議長
予算のからみではどうなのか。このまま事業を進めていいのか、予算の確保のめどはついているんでしょうか。
○伊達館長
最終的には来年の7月頃に決まります。そこできちっとお話をします。その間にいろいろ根まわしもしていきたいと思っております。それを誘導するためにも作業を進めています。
○紅邑委員
国家プロジェクトでこんなに金をかけてやっているなんて知らなかったのですが、こういった資源となるものが私たちの身近にあるということも今始めて知りました。文化というものは、日本のなかで伝え方がへたなものなんじゃないかと思います。今回も経済的なことでの危惧があるようですが、文化的な資源の大切さも非常に危機にさらされていると思います。そういったことももっとセールスしたらいいのではないでしょうか。こういった研究者の方々が私たちの知らないところで調査されているんですが、そのプロセスももっと県民にアピールしていってもよいのではないかと思います。
○関口委員
宮城県の美術館ができた時に、10年間立ち上げに協力しました。その際「子どもを考える特別活動」というワークショップを毎月行いました。宮城県も持っている宝を紹介するワークショップを連続してやっていくことがプログラムとして必要だと思います。子どもと大人が一緒のバージョン、大人だけのバージョン、教員向けのバージョンなど。また副読本をどこかに頼むのではなく教科書作りのワークショップなどもできると思います。そういうことを丁寧にやることによってサポーターというか図書館を支える人達が増えると思います。
○伊達館長
ともかく、資料がかなり痛んでいるので、差しあたって問題なのはこの10か年で補修に総額いくらかかるのかということです。かなり大きい資料もありますのでこれをどういうかたちで修理したりフィルム化するのか、そちらの方に時間がかかっている状態です。これをクリアすれば次の実用のことはどんどん考えていかなくてはならない。しかし、現在はこの事業をのせることが優先事項で、余裕がない。やろうと思えばいろいろなことができるのでしょうが。また国のほうでも宮城県のこの事業に期待しています。
○議長
ありがとうございます。それでは奥山委員なにかありますでしょうか。
○奥山委員
前回これからの展開が心配だと申し上げましたが、このようにすばらしい案がでました。頑張っていただきたいと思います。

その他

事務局から次回の日程について提案があり、平成15年6月5日(木)で了承された。

閉会

○櫻田庁副参事
今日は斎藤議長のもとに活発な御意見頂きました。また傍聴の方にも熱心にお聞き頂いたことを感謝申し上げます。今回は大変密度の濃いお話を頂きました。ありがとうございます。また来年度お会いしたいと思いますよろしくどうぞお願い申し上げます。

宮城県図書館

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