平成14年度 第1回宮城県図書館協議会 会議録
日時及び場所
- 平成14年6月6日(木)午後1時から午後3時30分まで
- 宮城県図書館 2階研修室
出席者
- 出席者 奥山恵美子委員、小野寺健委員、梶功夫委員、齋藤雅英委員、二瓶瑠璃子委員
- 欠席者 太田四郎委員、小田忠雄委員、関口玲子委員、永野為和委員、紅邑晶子委員
事務局出席者の職氏名
- 館長 伊達宗弘 副館長 浅野袖記 企画管理部長 板橋正春
- 資料奉仕部長 遠藤幸生 庁副参事兼次長 櫻田重敏 次長兼班長 早坂信子
- 次長兼班長 高木治夫 主幹兼班長 菅原泰博 主事 椙本哲弥
開会
- 司会者、櫻田重敏副参事が本日の協議会は定数を満たしたので、有効に成立した旨を告げ開会を宣言した。
挨拶(伊達館長)
- お忙しい中、協議会委員のみなさまにはご出席いただき感謝しております。 宮城県図書館は、平成13年度約57万人の県民にご利用いただいています。県の文化施設の中でも利用度が高い方であり、開館当初に多数見受けられた苦情なども最近は沈静化する傾向にあります。現在、社会の急激な変化によりまして宮城県図書館は、様々な課題を抱えています。一例を挙げますと、地域図書館間のネットワークの問題、さらには、今年度からスタートいたしました学校週5日制に関する対応などであります。ぜひ本日の協議会におきまして、そういった事に関する活発な議論を頂き、貴重なご意見を賜りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
会長及び副会長選出
- 事務局に一任され、会長に齋藤雅英委員、副会長に永野為和委員を選出した。
就任挨拶(齋藤会長)
- 配布された委員のリストを見ますと、再任は私を含めて3名ということです。新任の方にいきなり会長というのも大変だろうということで事務局の配慮で私に、役目が回ってきたのでしょう。よろしくお願いします。図書館法によれば、図書館協議会とは館長の諮問に応じて図書館のあり方を協議していく場であるということであります。県民を代表した形で協議会があるということで責任を感じるところであります。 宮城県内の図書館の状況ですがまだまだ未設置のところも多いと聞いております。協議会の議論の中でも是非、市町村立図書館の設置へ向けての環境作りについてお話が出ればと思います。 また、この会長というのは宮城県公共図書館連合会の会長をも兼任することになるそうですので、そちらの方も皆様のご協力をいただきたいと思います。
会議録署名委員の指名
- ○齋藤会長
- 会議録署名委員として二瓶委員を指名します。
会議録記載方法の決定
- ○齋藤会長
- ご承知のとおり、会議録を県のホームページに掲載することになりました。会議録の記録方法ですが、発言を一言も漏らさずに記録する方法と、要点のみを記録するという方法があります。いかがいたしましょうか。(要点のみ掲載の発言)
- ○齋藤会長
- 要点のみ掲載という発言がありますが、いかがしましょうか。 それでご了解いただきましたので、次に議題に移らせていただきます。
議題
- ○齋藤会長
- 平成14年度主要事業及び平成13年度利用状況について事務局から報告願います。
- 事務局(板橋企画管理部長)が報告
- ○齋藤会長
- 質問等ありましたらよろしくお願いします。
- ○齋藤会長
- では、私からおたずねします。図書館情報ネットワーク運営協議会というものについて仕組みを教えてください。
- ○板橋部長
- 図書館情報ネットワークには県下の公共図書館7館が参加しています。
- ○齋藤会長
- 確かネットワークに仙台市が参加していないと聞いていましたが。
- ○板橋部長
- 県図書館の蔵書検索というものと今年3月からスタートした横断検索と2種類の検索があります。県図書館のホームページですと両方を使えるようになっていますので、今は仙台市もネットワークに参加しております。
- ○奥山委員
- かつてのmy-netのシステムは県の方にデータを送って構築する形の総合目録でした。今の県図書館の横断検索システムは、それぞれの図書館で公開している蔵書検索システムをそのまま複数を同時に検索する形になっています。これからも、蔵書検索システムを公開する図書館が出てくれば、そのまま横断検索システムに参加が可能になると思います。
- ○齋藤会長
- そうですか。それは、ずいぶん便利になりましたね。
- ○二瓶委員
- 電話での朗読についてもう少し詳しく教えてください。
- ○板橋部長
- 日曜日など時間を決めて電話で新聞のコラムなどを朗読しています。
- ○遠藤部長
- 将棋や囲碁の棋譜も読んだりしています。
- ○早坂次長
- かつては、NTTの支援で活動していた朗読ボランティア団体がありました。それが今では閉鎖されてしまっています。それで、このような朗読を行うことができる機関として県図書館の利用が増えております。準備として、申し込みを受けた後朗読するものに「かなふり」を行います。朗読そのものは、職員が担当する場合とボランティアが担当する場合があります。 コラムなど決まった記事を読む場合もあれば、不定期にいろいろなものを読むという場合もあります。
- ○齋藤会長
- 小説なども対象になりますか?
- ○早坂次長
- そういう場合もあります。時々困るのは、経済記事などでグラフや表が載っているもの、これをどのように説明するかで戸惑うことがあります。
- ○二瓶委員
- その場合の電話代などは割引があるのでしょうか?
- ○早坂次長
- 今のところないです。
- ○梶委員
- 電話代は利用者負担ですか?
- ○早坂次長
- 県図書館負担になります。
- ○梶委員
- 運営上の改善も必要な時期かもしれませんね。これだけ予算が厳しいという中で、それを利用している人だけにサービスが偏るというのもどうかな?という感じはします。
- ○齋藤会長
- そのあたり仙台市さんではどうですか?
- ○奥山委員
- 確かにコスト負担が一部の人に偏ることもあります。どのように公平な運営を保っていくかは問題意識としてもってはいるが、どうすべきだという結論はまだ出ていません。
- ○齋藤会長
- 飛び入りの利用というのはありますか?
- ○早坂次長
- あります。
- ○齋藤会長
- お断りしたことは?
- ○早坂次長
- ないです。
- ○梶委員
- 今年度33%減の資料費になってしまったということですが、このことに関して、県図書館ではこれから先、特に予算獲得をどのようにしていくようにお考えか?
- ○伊達館長
- 結果的に図書資料費が大きく減少しましたが、さまざまな創意工夫をし、県図書館と市町村図書館との連携を図りながらサービスが低下しないよう工夫していきたいと考えています。
- ○小野寺委員
- よく県図書館を利用していますが、新しい資料があまりないように思います。私は、今地方分権・住民参加について調べているところですが、そのための資料がほとんどないのです。今の資料費減という話にも関連してくると思うのですが、大体資料費減で何冊くらいの本が買えなくなったのかをまずお聞きしたい。 さらには、減ってしまった分を補う意味で積極的に寄贈を受け入れる考えがあるのかも、あわせてお聞きしたい。
- ○伊達館長
- 県の図書館は市町村の図書館と立場、役割が違うと思います。限られた予算の中で、市町村図書館との役割分担と連携の強化はこれからますます必要になってくると思います。できれば、県図書館は市町村図書館で買い揃えることができないもので、それでも県内に1冊は必要であろうというものを購入していくようにしたいと考えています。ただ、今のところ10市10町にしか図書館の設置がなされていないことが最大のネックでこのことを解決していくのもこれからは大事な観点になっていくのではないでしょうか。6,700万円という限られた予算の中では、リクエストにすべて応じていくというのは大変厳しいということになります。 宮城県図書館は、かくあるべしというしっかりとした哲学をもって、「宮城県色」を打ち出していければと考えています。
- ○小野寺委員
- 不足する資料を、例えば県内のほかの市町村図書館から取り寄せてそろえるという方法はあるのでしょうか?
- ○伊達館長
- 月2回の協力車が県内の各図書館を巡回しております。これは、各図書館に県の資料を届けるという役割もありますが、その時にこちらからお願いしてあった資料を借り受けてくるという役割もあります。
- ○小野寺委員
- 県図書館のPRという面では何か考えてらっしゃいますか? 例えば今回の配布資料の中に「ことばのうみ」というのがありますが、これを媒体にしてもっと図書館活動をPRできるのではないでしょうか。
- ○高木次長
- 図書館、公民館、市民センターなどに「ことばのうみ」は配布しています。
- ○小野寺委員
- 一般の方、というか図書館にまだ行ったことのない人はこれを目にすることは少ないですよね。部数をどれくらい発行しているのか分からないままに提案しますけど、例えばこれを「県政だより」に挟むということはできないんでしょうか?
- ○遠藤部長
- ちょっと技術的にも難しいですね。
- ○齋藤会長
- ちなみに毎号どのくらい刷っているんですか?
- ○遠藤部長
- 13,000部です。
- ○高木次長
- 「ことばのうみ」に関してはホームページ上で見ることができるようになっています。県政だよりに挟むのは、今後とも難しいでしょう。
- ○齋藤会長
- 市町村と県とで資料選定に関して協議というか意見交換する場はありますか?
- ○高木次長
- 相互貸借連絡会議というのがありまして、そちらの方で意見交換という形で協議することはできると思います。
- ○遠藤部長
- 先ほどの数値に訂正があります。「ことばのうみ」の部数は,本年度から毎回10,000部です。それと資料費のお話の中で減少した3,300万というのは本の何冊分になるかということですが、約10,000冊ということになるようです。
- ○小野寺委員
- 館長にぜひ予算獲得の面で頑張ってもらいましょう。
- ○齋藤会長
- こうなってくると、県図書館で何を収集するか、というよりは何を収集しないかという観点になるのでしょうか。 話題を変えまして、市町村支援費というのが今年増額になっているようですが、これについて説明をお願いします。
- ○板橋部長
- 今年はシステム更新にかかわる経費が加わってまして、それが概ね増額分ということになっています。
- ○奥山委員
- 先ほどから資料費の話が出ています。仙台市としましても頭の痛い問題の一つとして、仙台市でも特に泉区の方々にとってはこちらが「仙台市紫山図書館」であるというような感覚の方が多いというふうに聞いております。恐らく、ベストセラーの予約という面でもかなりこちらにご迷惑がかかっているかとも思います。 ただ、そういう面だけでなく県図書館の存在で助かっていることもございます。ある評論家の執筆についてなどという場合に仙台市の図書館の蔵書では,非常に限られたものになってしまうことが,多くあります。その点、宮城県図書館の蔵書を見てみると過去からの蓄積によってほとんどすべてを所蔵している、ということがあります。やはりこういった点についてはどうしても県図書館に頼らざるを得ない、ということが現実としてあります。言い方は変ですけど,我々仙台市の図書館としては貸本屋に徹していくより他ないのかな、という感じもしております。
2)協議事項
- ○齋藤会長
- では、協議事項(に入ります。事務局から「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」及び「宮城県内の図書館振興方策」との比較表について説明してください。
- 事務局(高木企画管理部次長)が説明
- ○齋藤会長
- ありがとうございました。少し補足しますと、1950年制定の図書館法の趣旨に合致する基準がようやく国の方で制定されました。一方、宮城県の図書館振興方策については、まだ県としての政策にはなってはいません。そういった状況にあります。ではこれについて何かご質問等ございますでしょうか。
- ○齋藤会長
- では、また私からですが・・・。この図書館の設置率というのは宮城県では28%ということでしたが、全国平均ではどのくらいになっていますか?
- ○早坂次長
- 今はようやく50%を越えたところです。
- ○二瓶委員
- 振興方策の中では、財政支援について明記してあります。実際のところは、難しいかと思いますが実現する可能性はあるのでしょうか?
- ○伊達館長
- 確かに二瓶委員おっしゃるとおり、現在の財政状況では難しいと思います。それと、現在設置率28%という低い数字は数十年の積み重ねの結果です。県の補助制度があるからできるできないではなく、町村がいかに図書館設置に真剣に取り組む意思があるかどうかだと思います。 そのようなことからも、私は補助金よりは、地方債をうまく使えばより一層その地域に見合った図書館というのは実現できたと思いますね。
- ○小野寺委員
- 図書館は人が集まってくる場だと思います。それに対して、迎える県としてはどう対応していくのか。言ってみれば、パートナーシップなのか、はたまた顧客というかお客様なのか。そういった来館者との接点を考えるときに、アンケート調査などは実施されていますか? 恐らく、県行政組織の中では一番県民と接している機関だと思うので、ニーズを上手につかんで、それを上手に活かすということで,アンケートについてはどうでしょうか?
- ○梶委員
- 図書館の評価(指標)というのはどういうもので計ればいいのでしょうか? それを決めた上で調査するといいんじゃないでしょうか。
- ○小野寺委員
- 恐らく、いろんなデータが出てくると思うんです。ぜひ実施してください。
- ○齋藤会長
- では、このあたりで館長に今後の宮城県図書館のあり方についてお話をお願いします。
- ○伊達館長
- 県図書館では、歴史があり、価値のあるものをたくさん保有しています。お配りしたような挿絵が載っている鳥類図鑑、魚類図鑑などもあります。これらは、時代をこえても全くその価値は下がっていません。ところが、古いということから早くデジタル化しないと貴重な資料が役に立たなくなる可能性もあります。これらをデジタル化し世界へ向けて情報発信できればと思っております。
- ○齋藤会長
- 古いものをデジタル化し後世へその財産を受け継いでいくことも県図書館の大事な役割の一つと考えます。ただ、お金はかかる事業であることは十分理解できますが、今は厳しい県の財政状況ということもありますので、資料費をその分減らすということがないようにしていただきたいと思います。
- ○奥山委員
- 先ほど利用者へのアンケートという話がありました。非常に大事なことだと思います。ただ、よくよく考えますと「来館できない方々」に対してどのようにアプローチするのかという視点も大事なことだなぁと思います。つまりは、なぜ来館できないのか。開館時間に問題があるのか、資料の中身にあまり魅力がないのか、いろいろと原因はあるのだと思います。ともかくそういう視点も失ってはいけないことだと思います。
- ○二瓶委員
- 来館者アンケートを東北大学のある研究室が中新田町図書館と、岩手県川崎村立図書館と福島県大熊町立図書館を対象に行いました。かなり厳しいご意見もいただいています。アンケートを実施されるのであればかなりの覚悟が必要かと思います。
- ○齋藤会長
- では、小野寺委員と梶委員最後に一言ずつどうぞ。
- ○小野寺委員
- いろいろとご意見を申し上げてまとまらなかった面もあるかと思いますが、お許しいただきたい。
- ○梶委員
- 大変予算も厳しい折かとは思うが、できることからコツコツとやっていただきたい。限られた資源の中で、どれを優先するか、プライオリティーというものを意識していただきたい。また、県図書館としてのポリシーを確立していただきたい。そして、県民の中にコンセンサスが得られるような図書館運営をお願いしたい。
その他
- ○齋藤会長
- それでは、これで議事を終わりますが、その他事務局からありましたらお願いします。
(事務局から次回日程について提案。9月5日の午後1時30分から午後3時30分までとすることが了承された。)
- ○齋藤会長
- ではこれで、議事のすべてを終了します。
閉会(櫻田庁副参事)
- 長時間にわたり活発な議論をいただきましてまことにありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。これで、協議会の一切を終了いたします。