メニューにジャンプコンテンツにジャンプ

トップページ > 図書館の情報 > 図書館の刊行物 > 図書館だより「ことばのうみ」 > 宮城県図書館だより「ことばのうみ」第51号 2015年6月発行 テキスト版

宮城県図書館だより「ことばのうみ」第51号 2015年6月発行 テキスト版

おもな記事。

  1. みやぎ本の杜『化石を拾ふ』
  2. 〈特集〉「映像を後世に伝える―16ミリ映画フィルムの保存と活用」
  3. 図書館 around the みやぎ
  4. 図書館員から読書のすすめ
  5. 図書館からのお知らせ

みやぎ本の杜

  • 宮城ゆかりの作家を、作品の一節とともに紹介します。

化石を拾ふ

光の澱む切り通しのなかに、童子が化石を捜してゐた。

黄赭の地層のあちらこちらに、白いうづくまる貝を掘り、

遠い古世代の景色を夢み、母の母なる匂ひを嗅いでゐた。

―もう日は翳るよ、空に鴉は散らばるよ。

だのに、なほも探してゐる、探してゐる、

外界のこころを、生の始めを。母を、母を。

(『亜寒帯』原尚進堂 昭和11年 108ページより)

著者紹介

石川善助(いしかわ・ぜんすけ、1901~1932)

詩人。仙台市国分町で化粧品等を扱う老舗「菅喜」の家に生まれる。大正3年、仙台商業学校に入学し、詩作を始める。大正11年、同人誌『感触』を創刊。宮沢賢治に興味を持ち、詩人仲間を通じて花巻まで訪ね、親交を持つ。昭和3年に上京すると、サトウハチロー、高村光太郎らと交際する。昭和7年6月27日、足の悪かった善助は、大森駅で側溝に転落し、溺死する。享年31歳。死後、友人たちによって詩集『亜寒帯』が発刊された。昭和32年、代表作「化石を拾ふ」の詩碑が、仙台・愛宕神社境内に建てられた。

<特集>「映像を後世に伝える-16ミリ映画フィルムの保存と活用」

宮城県図書館には、およそ2000本の16ミリ映画フィルムが保存されています。

21世紀に入り、映像メディアの主流がDVD、BD等のデジタル媒体へ移行し、「よりきれいに」「より簡単に」映像に触れることができる時代となりました。その反面、16ミリ映画と接する機会は激減し、16ミリ映画フィルムが消滅の危機に瀕しています。若い世代を中心に16ミリ映画そのものを知らない方々も多くなってきています。

16ミリ映画フィルムの中には、フィルムの中だけに生き続けている制作当時の貴重な映像がたくさん詰まっています。人の生き方、考え方、自然、町並み、音楽、時代背景……。それらの映像は、当時の世相を知る貴重な手がかりとなります。

今回は、宮城県図書館における16ミリ映画フィルム保存・活用事業の一端をご紹介します。

16ミリフィルムってどんなもの?

16ミリ映画フィルムは、現在メディアの主流であるDVDやビデオテープが普及する以前に、数多く製作されました。映画フィルムも映写機も高価だったため、一般家庭で視聴する機会はほとんどなく、主に公民館や学校等の上映会でご覧になった記憶のある方も多いのではないかと思います。

DVDは映像を光信号に置き換えて、ビデオテープは磁気信号に置き換えて映像を記録しています。16ミリ映画は、その名のとおり幅16ミリのテープに、写真のネガフィルム(これもご存じの方は少なくなってきました)のようにたくさんの静止画が焼き付けられています。それを1秒間に24コマのスピードで送ることにより、あたかも映像が動いているようにスクリーンに映写されます。ちょうどパラパラまんがのようなしくみです。そのために、膨大な長さのテープが必要で、直径30センチメートル程度のリール1本で15分程度の映画しか見ることができません。

上映には、専用の映写機が必要です。フィルム自体がオープンリール形式であるため、映写機にセットするのにも一定の知識・技術と経験が必要で、セットの仕方によってはテープが切れたり、映像や音声が乱れて映写されたりします。

また、フィルム自体の劣化が進みやすく、保存に適した環境が必要です。保存状態が悪いと、再生ができなくなってしまいます。フィルムの特性から、高温多湿を避けて保存する必要があります。

16ミリ映画フィルムを点検する

宮城県図書館では、平成24年度から16ミリ映画フィルムの点検作業を行っています。

図書館ボランティアの方々の協力を得ながら、1本1本フィルムの状態を確認し、編集機にかけて映像の内容、再生状態等を点検し、フィルムのクリーニングまで行っています。平成27年5月末までに、およそ500本の点検が終了しました。日頃の点検活動をされているボランティアのみなさんの声をご紹介します。

現在、昭和30~40年代のフィルムを中心に点検をしておりますが、モノクロが主で、フィルムが何回もいろんな場所で映写された状況が、フィルムのすり減り具合やきずの状況で分かります。モノクロ・アナログの時代が懐かしく感じられ、当時は全体としてゆとりがあったようにフィルムを見ながら感じ取れます。

白黒フィルムは映像もしっかり残っており、また、撮影した当時の様子を正確に記録されていて、非常に価値があるものと思います。映像文化は貴重なものであることを再確認しています。

カラー作品あり、モノクロ作品あり、また子供の頃見たような作品あり、2時間の点検作業がとても短く感じます。

何よりもフィルム・ライブラリーに関わる作業をしてみたくてボランティアを志願しました。作業用の機械が稼動可能な状態であることがまず驚きです。

16ミリ映画フィルムの中には、どんな映像が入っているのか興味があり、ボランティアを志願しました。フィルムの映像を見ると、その当時の問題点をピックアップして問題解決の方法がたくさん考えられていて「なるほど」と感心させられます。

16ミリ映画フィルムの貴重な映像を永く後世に伝えようとするボランティアのみなさんの気持ちが伝わってきます。

16ミリ映画フィルムを後世に伝える

16ミリ映画フィルムには、過去の懐かしい映像、今は見ることができなくなった貴重な映像等が収録されています。映像資料であることから、再出版されているものも少なく、フィルムの再生ができなくなると、その映像は今後一切視聴できなくなってしまう可能性があります。

フィルム、映写機を適切に管理し、今後も必要に応じて16ミリ映画を視聴することができる環境を整えていくことが、貴重な映像資料を永く後世に伝えていく大切な役割となるのです。

また、フィルムと映写機そのものが、映像文化の歴史を物語る貴重な存在となります。デジタル化されたきれいな映像をボタン1つで誰でも再生できる現代の映像文化。そこから遡ること50年。その当時の「映像に残す苦労」「映像を視聴できるありがたさ」を伝えてくれるのも16ミリ映画です。技術の進歩に感謝しつつ、先人の技術開発の努力に思いを巡らせることによって、映像資料のありがたさを再認識できるのではないでしょうか。

これからさらに50年、100年経っても、現在残されている映像の1本でも多くが、後世の人々に視聴していただけるよう受け継いでいきたいものです。

16ミリ映画フィルムを活用する

平成26年度から、「懐かしの16ミリ映画フィルム上映会」を実施しています。主に宮城県内の懐かしい映像が収録された映画を中心に上映しています。平成26年度は、昭和30年代の蔵王観光道路の建設の様子を紹介した「拓く蔵王」、旧瀬峰町を舞台に農村環境改善をテーマにした「おふくろのバス旅行」などを上映しました。今年度は6月と11月に2回実施する予定です。若い世代の方々にも多く視聴していただきたい上映会です。ぜひ足を運んでみていただければと思います。日時等の詳細は、館内の掲示、チラシ、本館ホームページ等でご確認ください。

また、将来は、多くの県民の方々に調査・研究目的で視聴していただくことができるように、活用体制の検討と整備を進めていきたいと思います。

図書館 around the みやぎ シリーズ第44回 宮城大学総合情報センター
総合情報センター長 茅原 拓朗

宮城大学図書館は、大和キャンパス図書館と太白キャンパス図書館の2館から構成され、1997年の開学以来(太白キャンパス(食産業学部)は2005年から)教学のための学術資料と閲覧・学習環境を提供するのみならず、地域に開かれた大学図書館として専門性の高い書籍や雑誌を中心に地域の皆様にもご利用いただいてきました。

一方、学生自身のより主体的な学びと生涯にわたって学び続ける力の涵養に向けて、いま大学図書館は単に本を借りたり静かに勉強したりする場所からの脱皮を求められています。宮城大学大和キャンパス図書館でも、埼玉で廃業した印刷屋さんから譲り受けた活字10万点と印刷機をデザイン教育・研究のための「使って学べる」コレクションとして2015年6月9日から運用を開始し、また、フランスの団体からの支援を受けて既存のAV閲覧室を館内のシアター・カンファレンス機能を含む「メディアテーク」として拡充して2015年7月4日から運用開始予定です。また、開学20周年に向けて図書館を中心とする主体的な学びの場=ラーニング・コモンズの整備も検討しているなど、学びの場としての図書館に向けた模索を続けており、そこでは宮城県図書館をはじめとする近隣公立図書館や地域の方々との連携がますます欠かせないものになると考えております。これからも宮城大学図書館を是非ご活用いただくと同時に、それらの新しい試みに対しても是非ご理解とご支援を賜りたく、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

宮城大学総合情報センターの概要

  • 蔵書冊数:184,116冊(2015年3月末現在・大和太白合計値)
  • 開館時間:9時~19時
  • 閉館日:土日祝、年末年始、大学休業日、館内整理日など
  • 住所:大和キャンパス 宮城県黒川郡大和町学苑1-1
    電話番号:022-377-8313/ファクス番号:022-377-8383
  • 住所:太白キャンパス 仙台市太白区旗立2-2-1
    電話番号:022-245-1046/ファクス番号:022-245-2214

図書館員から読書のすすめ『山椒魚戦争(ハヤカワ文庫)』(カレル・チャペック/著、栗栖 継/訳、早川書房)

へんてこな本が好き。でも読み応えがあって、考えさせられて、そして何より面白くないと。チェコの国民的作家カレル・チャペックの代表作『山椒魚戦争』は、そんな私のわがままな欲求を満たしてくれるパーフェクトな1冊です。

オランダ船のヴァン・トフ船長が、とある島で魔物と怖れられていた2足歩行をする山椒魚たちに出会う。船長は彼らを上手く利用して、資産家G・H・ボンディとともに山椒魚たちによる真珠販売の一大シンジケートを作りあげる。人間の庇護の下、次第に知性を身につけ爆発的に数を増やした山椒魚たちは、いつしか自身の生存のために人間たちをおびやかす存在になってゆく……。

この物語が書かれたのはヒトラー率いるナチス党が台頭し、チェコを含む隣国への圧力を日増しに強めていた1935年。争いはなぜ起きるのか、民族問題や環境問題をどう考えるか、そして人類はどこへ向かうのか。長い間読み継がれてきた作品がおしなべてそうであるように、『山椒魚戦争』も多様な読みを私たちに提供してくれます。

架空の新聞記事のコラージュや実在の人物の出演・パロディ、多用される注釈など、先鋭的な文学手法を用いつつも、決して難解になりすぎない。ナチス政権や知識人たちへのシニカルな批判を覗かせながら、どこかとぼけたユーモアを忘れない。

そんなチャペックの人柄が随所に顔をのぞかせる中、物語の最後には作者自身が登場(メタフィクション!)。

人類と山椒魚たちの末路についての最終章「作者が自問自答する」を皆様はどう読み解かれますか?

ちなみにハヤカワ文庫版は訳注や解説もかなり読み応えがあります……。

資料情報班 逐次刊行物担当 主事・浅利信太朗

図書館からのお知らせ

企画展「叡智の杜水族館-伊達文庫のお魚たち-」を開催します。

宮城県図書館では、「仙台うみの杜水族館」が開館したことを記念して、企画展「叡智の杜水族館-伊達文庫のお魚たち-」を開催します。

今回は『魚蟲譜』を複製したパネルを展示します。江戸時代を代表する本草学者であり、江戸幕府最高位の医師である法印(ほういん)に叙せられた、栗本丹洲(くりもとたんしゅう)(1756~1834)の図譜を書き写したものが、宮城県図書館所蔵の『魚蟲譜(ぎょちゅうふ)』です。

『魚蟲譜』は、宮城県指定有形文化財です。その他にも、江戸時代に描かれた魚たちの図譜を展示しますので、ぜひご覧ください。

  • 展示期間:平成27年7月4日(土曜日)から8月22日(土曜日)まで
  • 場所:宮城県図書館2階 展示室

夏休み図書館親子ツアーのお知らせ

普段は入ることのできない図書館の裏側をご案内します。親子で図書館を探検してみませんか。

  • 日時:1回目 平成27年8月1日(土曜日) 午前10時から正午まで
  • 日時:2回目 平成27年8月5日(水曜日) 午前10時から正午まで
  • 定員・対象:定員は各回親子10組です。小学1年生から小学3年生のお子さんがいる家庭が対象です。注意:応募者多数の場合は抽選になります。
  • 申込方法:館内もしくは、宮城県図書館HPで配付している案内チラシ記載の申込書にご記入の上、直接持参、郵送、ファクス、メールでお申し込みください。
  • 募集期間:7月10日(金曜日)から7月23日(木曜日)まで(必着) 注意:参加決定者には、7月下旬に通知文を発送します。

詳細は、宮城県図書館HP(http://www.library.pref.miyagi.jp/)をご覧ください。

「ことばのうみ」に広告を載せませんか?

「ことばのうみ」では、広告を募集しています。「ことばのうみ」は、宮城県図書館の各カウンターや展示室等のほか、県内の学校や県庁、県美術館、東北歴史博物館、自然の家等で計8000部配布しています。

宮城県図書館ホームページにもPDF版を掲載しており、来館者に限らず、県外を含む多くの利用者に楽しまれています。掲載の基準や広告料についての詳細は、宮城県図書館までお問い合わせください。

  • 問い合わせ先:電話番号:022-377-8444/ファクス番号:022-377-8484
  • Eメール:kikaku@library.pref.miyagi.jp
  • 宮城県庁広告募集ページ

この「ことばのうみ」テキスト版は、音声読み上げに配慮して、内容の一部を修正しています。
特に、句読点は音声読み上げのときの区切りになるため、通常は不要な文末等にも付与しています。

「ことばのうみ」は、宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第51号 2015年6月発行。