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宮城県図書館だより「ことばのうみ」第46号 2013年12月発行 テキスト版

おもな記事。

  1. 巻頭エッセイ「気仙沼図書館の思い出」気仙沼市本吉図書館長 千田基嗣 さん。
  2. 特集 あたらしい取組 -よりよい図書館を目指して-。
  3. 叡智の杜レポート。
  4. 図書館 around the みやぎ。
  5. 図書館員から読書のすすめ。
  6. 図書館からのお知らせ。

巻頭エッセイ「気仙沼図書館の思い出」気仙沼市本吉図書館長 千田基嗣。

今の気仙沼図書館は昭和四十四年にオープンしているので、私が小学生の間は気仙沼小学校正門の脇の木立の中にあった小さな洋風の趣の木造建築であったことに間違いはない。木立といって、風通しのよいまばらな雑木林ではなく、深い森のようになにかうっそうとした昼でも薄暗い場所だった。
中に入ると、壁面は高いところまですべて本棚で、北向きの天窓から入る光はあっても明るすぎるものではなく落ち着いた風情であり、その奥には何度か建て増した建物が続き、中2階があったり、迷路のように隠し部屋が出てきたように思う。
その図書館の主が、白髪何千丈かというようなひげも伸ばした老人で、眼光鋭く、何を言われたわけではないが、子どもには怖い存在であった。それが、気仙沼図書館の初代仙人、いや、専任館長菅野青顔であったことは言うまでもない。
震災を経て新しく再建する図書館が、昔のような薄暗く小さな建築、というわけには行かないが、明るく快適ななかに、深い本の森に迷い込んだようなどこか謎めいた魅力、一種の魔法めいた歴史、それは、気仙沼の、と限定されるものではなく、どこの図書館であってもそうなのだと思うが、そういう歴史に連なるものとなれば、なお有り難いことだ。

著者のご紹介。

千田基嗣(ちだもとつぐ)
気仙沼高校、埼玉大学卒業後、株式会社JUNに2年間勤務、原宿で販売なども経験後、気仙沼市役所へ。はじめ図書館で館外奉仕中心に4年間勤務、観光課などを経て、県市町村職員研修所長に派遣、合併後の本吉図書館長。詩誌霧笛同人(編集担当)、県詩人会会員、県芸術協会会員。平成24年度県芸術祭知事賞(詩部門)。

特集 あたらしい取組 -よりよい図書館を目指して-。

「ことばのうみ」44号紙上でご紹介しましたとおり、宮城県図書館では『宮城県図書館振興基本計画』を策定し、宮城県図書館が目指す姿を明らかにしました。その理想を実現するための取組が始められています。今号では、現在始まった様々な取組について、具体的な例を挙げてご紹介していきます。

パスファインダーの作成。

宮城県図書館にある100万冊を超える図書や雑誌、さらに膨大な情報を秘めた各種データベースやインターネット。その中から、必要な情報を素早く探し出すのは一朝一夕ではできません。図書館で効率よく目的とする情報を調べ出すためには、図書館資料に関する知識とちょっとしたコツが必要です。それを利用者の方々にわかりやすくまとめたものがパスファインダーです。パスファインダーは、特定のテーマに関する資料や情報を調べる際に図書館が提供できる関連資料の調べ方に関する手引きです。調べたいテーマ毎に「どんなキーワードで探し出していったらよいのか」「どのような図書・雑誌で調べたらよいのか」「インターネットサイトやデータベースではどのようなものがあるか」そして「資料で調べきれない場合にはどうしたらよいか」まで、具体的な資料を挙げて図書館司書が行う資料調査のコツを紹介しています。パスファインダーについては、今年度内の発行に向けて現在準備を進めています。

定期的な施設見学。

図書館には、いつも皆様に利用していただいているオープンスペースのほかに閉架書庫などの職員しか入れないスペースがあります。図書館に所蔵されている資料の多くはそれらの書庫に保存されており、素早い資料提供を行うための設備やアイデアが詰まっています。このような普段公開していない施設や資料を利用者の皆様に見学していただき、“宮城県図書館のことをもっと知ってもらおう!”ということで、平成25年7月から毎月第3土曜日に図書館見学ツアーを開催しています。毎回約1時間のコースで、50万冊を収蔵する閉架書庫、館内を縦横に走り素早い資料出納をサポートする資料搬送機などの図書館設備、新聞のマイクロフィルムや館内で一番重い本から豆本まで普段あまり見ることのできない資料を紹介いたします。開始以来50名を超える利用者の皆様に参加いただきましたが、「普段見ることのできない場所に入ったり、感動です!!」「表に出ていない本も整理されていて必要な時にすぐ出せる工夫がすごいと思いました。」などの声をいただいております。来月以降も継続して実施していきますので、ぜひご参加ください。

市町村図書館等職員への支援。

宮城県内全域の皆様に図書館サービスを活用してもらうためには、1ヶ所しかない県図書館を充実させるだけでは十分ではありません。いつでも、どこでも、だれもが身近な地域で高度な図書館サービスを受けられる環境を作っていくのも県図書館の仕事であると考えています。そのために各市町村にある図書館や公民館図書室の希望により、それぞれの図書館等に訪問し、県図書館職員が講師となって図書館業務に関する知識を講義したり、作業の指導・助言を行う「出前講座」の事業を開始しました。今年度は現在までに4市町6回の支援活動を実施しています。6~7月にかけては、平成26年度に開校する色麻町立小中一貫校図書室に併設する色麻町公民館図書室資料再整理の支援を3回にわたって実施しました。公民館図書室の古くなった図書の除籍作業や、新しい図書室に併せた図書の再分類作業などを公民館図書室の職員と共に行いました。今年度後期においても、各所で「出前講座」を実施して、県内図書館等のサービス向上のための活動を行っていきます。

震災資料の収集。

震災に関する貴重な記録が失われる前に、県全域の震災関係資料を収集し、将来に備えるための資料を提供すること、これも宮城県図書館が取り組んでいく重要な使命です。宮城県図書館では『東日本大震災文庫』を設置し、震災に関する資料の収集を進めております。購入可能な資料にとどまらず、非売品や地域の配布資料も収集するべく、情報をお寄せいただいております。また、冊子として刊行されたものばかりではなく、ポスターやチラシ、コミュニティ誌、復興イベント等での挨拶原稿なども収集しております。関係団体へ資料の寄贈依頼の文書をお送りするほか、県内各地に赴き、直接資料提供に関するお願いもさせていただきました。皆様のご協力をいただき、当時の写真や、被災された方向けの生活再建・事業再建の相談会のチラシ、仮設住宅団地でのコミュニティ誌、また、団体でまとめた震災に関する記録誌などを頂戴しております。東日本大震災で全県的にどんなことが起こり、どのように対応したのかがわかるようなアーカイブを目指して収集をして参りますので、引き続きご協力をお願いいたします。

このような様々な活動を積み重ねることによって、「いつでもどこでもだれでも本や情報にアクセスできる環境の整備」という宮城県図書館の使命と果たすべき役割を実現していきますので、皆様のさらなる利用・ご支援をいただきますようお願いいたします。

叡智の杜レポート 『ビブリオバトル in 宮城県図書館』。

おすすめの本を持ち寄り、本の魅力を紹介し合う書評ゲーム「ビブリオバトル」。
宮城県図書館では初めての開催となるイベントで、読書週間期間中である11月2日(土曜日)に、本館2Fホール養賢堂で開催されました。
ビブリオバトルのルールはとても簡単です。現在、ビブリオバトル普及委員会によって公式とされているルールは次のとおりで、これに則って行いました。

【公式ルール】

  1. 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
  2. 順番に一人5分間で本を紹介する。
  3. それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
  4. 全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。

参加者25名が見守る中、バトラーと呼ばれる発表者6名が、5分間の熱いプレゼンを繰り広げました。映し出されるタイマーの残り時間とバトラーの緊張感で、独特な雰囲気に包まれる場内でしたが、それぞれの発表後に行うディスカッション(ざっくばらんな質疑応答)では、時間が足りない!と感じるほど盛り上がり、バトラーと参加者の理解が深まり、場の空気がほぐれる時間となりました。
最後の投票では、6冊すべてに票が割れる接戦となりましたが、『枕草子remix』が最多票を獲得、チャンプ本となりました。

紹介された本と順番は次のとおりです。

  1. 『神との対話』ニール・ドナルド・ウォルシュ / 著
  2. 『私はなぜ80歳でエベレストを目指すのか』三浦雄一郎 / 著
  3. 『マリアビートル』伊坂幸太郎 / 著
  4. 『枕草子 remix』酒井順子 / 著(☆チャンプ本)
  5. 『It(イット)』スティーヴン・キング / 著
  6. 『「かわいい」論』四方田犬彦 / 著

注意:紹介された本はすべて本館で所蔵しており、ご利用になれます。

参加者からは、「バトラーたちの5分間の組み立てが本当に上手で面白かった!」「発表者の人柄が感じられて、書評を見るのとは全然違う感がありました。どの本にも興味がわきました。」「発表者もさることながら、参加者も要領よく質問する力が必要だと思いました。」「会場の雰囲気もなごやかで気軽に参加できました。また聴きたいです。」など多くの声が寄せられました。
実際に参加してみると、ビブリオバトルは単に「本を知る」「本と出会う」ためだけのものではないということがわかります。前述の声にもあったように、その人柄にふれることで「人を通して本を知り、本を通して人を知る」場であるという真の魅力に気づき、まさにビブリオバトルの本質を体感できます。今後も開催していく予定ですので、多くの皆様にご参加いただき、楽しんでいただければと思います。

図書館 around the みやぎ シリーズ第39回 村田町歴史みらい館 館長 佐々木安彦。

村田町歴史みらい館は、平成6年10月9日に村田城跡一帯の整備を中心とした「城山公園整備事業」の一環として開館した施設です。当初は歴史資料館のみの単独施設としての開館を計画していましたが、「単に歴史資料をみるだけでは」との意見も多かったため、図書室を併設することにより、資料を「見て」、図書で「学び」、さらにはその成果を「発表」できる研修室等も設け、生涯学習複合施設として開館することとなりました。子どもから高齢者までを対象とし、ふるさとの歴史や文化等を気軽に、かつ自主的な姿勢で学べる施設として、幅広い年齢層の方々に利用していただいています。
「歴史みらい館」の名称にある「みらい」は、「未来」の意味とともに、宮城の方言でもある「みらいん」(= 見てください)という意味も含まれており、村田町の歴史を未来につなぐとともに、多くの方々に町の歴史を実際に見て体感してほしいという思いが込められています。
歴史資料館という一面を持ちながらも、蔵書は歴史関係のものに限らず、自然科学や芸術に関するもの、小説など、幅広いジャンルの図書を配架しており、児童書や雑誌、新聞なども取り扱っています。また、近年では児童向けのDVD資料など、視聴覚資料の充実も図っており、視聴覚コーナーを利用される方々の姿も多く見られます。
来年、当館はいよいよ開館20周年を迎えます。歴史資料館としての機能を十分に活用するとともに、今後は地域ボランティアによる読み聞かせ会等読書関連事業を積極的に取り入れるなど、さらなる読書活動の推進を目指し、より多くの方々に親しまれ、充実した生涯学習の場となるよう努めていきたいと考えています。

村田町歴史みらい館の概要。

  • 蔵書冊数:児童書 約6,000冊 一般書・その他 約23,000冊
  • 開館時間:午前9時~午後5時
  • 休館日:毎週月曜日、祝日の翌日、年末年始
  • 住所:郵便番号989-1305 村田町大字村田字迫85
  • 電話番号:0224-83-6822

図書館員からの読書のすすめ 『古寺巡礼』 和辻哲郎/著。

奈良が好きです。とにかくここ数年、足繁く奈良を訪れています。
もともと旅行は大好きで、20代の頃はヨーロッパの名立たる美術館を巡り、ギリシア彫刻をはじめ、やれミケランジェロだロダンだと気触れまくっていました。
そして現在、御開帳情報からねらいを定め、仏像に会いに奈良へ向かいます。

何故こんなにも仏像に惹かれるのだろう、と自分自身で不思議に感じていました。周囲の人からは「歳をとった証拠」と言われ、そうなのかな、とも思いましたが、何か釈然としないまま、理由はあるんだけれど文章化できないまま、時が過ぎていました。
そんなある日、まさに目から鱗の本と出会いました。私の疑問の答えが明確な文章となって表現されていました。それが『古寺巡礼』です。

この本は、著者和辻が1918(大正7)年5月に奈良へ旅行した時に書いた、いわゆる旅日記です。奈良の仏教美術の至宝を紹介しつつその印象が綴られていますが、その感激ぶりは、ちょっとオーバーかな、と感じるほどで、とにかく熱く語られています。
なんと言っても和辻と私の共通点は、-宗教的に仏に帰依したというものではなく、仏教の精神を生かした美術の力にまいった-というところです。

-比較は少し困りますが、しかしやや境遇の似た希臘の神像を取って考えて見ると、我々はその芸術的価値を比較するよりも、まず、二つの異なった性質の芸術があることに驚かされるのです。即ち人間の姿から神を造り出した芸術と、神を人間の姿の内に現れしめた芸術とです。前者に於ては芸術家が宗教家を兼ねる。後者に於ては宗教家が芸術家を兼ねる。前者は人体の美しさの端々に神秘を見る。後者は宇宙人生の間に体得した神秘を、人間の体に具体化しようとする。-

紹介した部分はほんの一部で伝えきれないかもしれませんが、私が仏像に惹かれる理由はコレだ!と、私が表現できずにいたことを言葉にするとコレだ!と、驚喜しました。
今では、20代の時のヨーロッパ気触れも、私の人生における仏教美術への伏線だったのかも、と考えています。

この本については、この他にも特筆すべき箇所、紹介したい点はいくつもありますが、残念ながら紙面が足りず書ききれません。
出版されて以来、数多くの人々を奈良・大和路の旅へと誘ってきた『古寺巡礼』。仏教美術に関心があって未読の方、奈良への旅行を考えている方はぜひ御一読を!!それ以外の方も、和辻と私(?)の、感動と情熱を確かめてみてください。

注意:『古寺巡礼』は訳あって改訂の手を加えられた版が広く知られてきましたが、近年初版を復刻したものが出版されました。他の版では改めたという率直な感想と純粋な物言いで、さらなる情熱と人柄を感じることができます。私としてはその『初版 古寺巡礼』の方を、よりオススメします。

企画管理部 企画協力班 吉田祐子

図書館からのお知らせ。

臨時休館のお知らせ

宮城県図書館では、図書館ネットワークシステムの更新および館内作業のため、臨時休館します。これに伴い、本館ホームページでの蔵書検索や予約などにつきましては、ご利用できません。なお、返却は東側玄関脇の返却ポストをご利用ください。紙芝居や大型本、視聴覚資料は開館してから直接カウンターへお返しください。
ご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。

  • 休館期間:2月18日(火曜日)から28日(金曜日)までなお3月1日(土曜日)は、13時より開館します。
  • お問い合わせ:総務班 電話番号:022-377-8441

平成26年度図書館ボランティアを募集します。

宮城県図書館では、平成26年度ボランティアを募集します。

  • 対象・定員:週1回以上活動可能な18才以上の方(高校生を除く、80名程度、当館主催ボランティア研修受講必須)
  • 活動期間:平成26年4月~平成27年3月
  • 活動内容:書架整理、視聴覚資料整理、図書館案内、音訳、読み聞かせ
  • 応募締切:平成26年2月16日(日曜日)
  • お問い合わせ・お申し込み:企画協力班 電話番号:022-377-8444

展示室からのお知らせ

現在、本館2階展示室では、明治の初めから現在まで、県内で発行された新聞の中から、時代の流れや地域の動きを伝える紙面を中心に紹介する、特別展『ふるさと、その日―新聞にみる懐かしのみやぎ―』を開催中です。1874(明治7)年の『官許東北新聞』創刊号や、広瀬橋完成を伝える1909(明治42)年の『河北新報』など、明治期に発行された貴重な新聞の実物もご覧いただけます。ぜひ、お立ち寄りください。

  • 開催期間:平成26年2月16日(日曜日)まで
  • お問い合わせ:新聞雑誌室 電話番号:022-377-8449
  • 平成26年3月からは、平成25年9月~10月に開催したプレ展示に引き続き、SF作家小松左京と震災の関わりについてご紹介する特別展『小松左京と震災(仮)』を開催予定

この「ことばのうみ」テキスト版は、音声読み上げに配慮して、内容の一部を修正しています。
特に、句読点は音声読み上げのときの区切りになるため、通常は不要な文末等にも付与しています。

「ことばのうみ」は、宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第46号 2013年12月発行。