宮城県図書館だより「ことばのうみ」第16号 2004年7月発行 テキスト版
おもな記事。
- 表紙の写真。
- 巻頭エッセイ「知性の旅へ」英語教師 石森広美さん。
- 特集「子どもと本をむすぶ」子ども読書活動推進への取り組み。
- 図書館 around the みやぎ 加美町小野田図書館。
- 時空をこえて 貴重書の世界 「会纂宋岳鄂武穆王精忠録 精忠録圖」存1巻。
- わたしのこの一冊『あとに残された人へ1000の風』
- 図書館からのお知らせ。
表紙の写真。
今回の写真は、図書館2階のこども図書室の風景です。
棚にはたくさんの絵本が並べられており、絵本を読み聞かせる母親と幼い女の子も写っています。
巻頭エッセイ「知性の旅へ」英語教師 石森広美さん。
私たちは特に意識せず、母語の日本語を日常的に使っていますが、世界に目を向けると、一つの国にいくつもの言語が存在することは珍しくありません。数百ものことばがある国もあります。ケニアの友人は、キクユ語とスワヒリ語と英語を、相手によって使い分けます。シンガポールの友人は、家族とは福建語を、中国系同士では華語を 話しますが、普段は英語を使います。エクアドルの友人は、家族や同民族とは母語のケチュア語を、一歩外に出ると公用語のスペイン語を話しています。彼らは場面や相手に応じて、ことばを巧みに使い分けるのです。
十年ほど前に「世界ことばの旅」というCDブックが発売され、私はすぐさま購入しました。今も大切にしています。世界には7千から1万の言語があると言われています。そのうちの八〇を紹介したこのCDブックは私を世界一周旅行へ誘います。本はいつでも私たちを知性の旅へと導いてくれます。それは、知的好奇心がある限り、続く旅なのです。
著者のご紹介
いしもり・ひろみ。英語教師。仙台市生まれ。筑波大学人文学類卒業。国際理解教育に力を注ぎ、県内各地に講師として呼ばれている。シンガポ ール国立大学で中国語を学びながら、三年間アジア各国の人に日本語を教えた経験を持つ。著書は、「ラテンアメリカをご一緒に」「旅、ちょっとセンチメンタル」(ともに東洋出版)。
趣味・特技は、南米音楽演奏、国際交流、旅行、語学など。
特集「子どもと本をむすぶ」子ども読書活動推進への取り組み。
子どもたちの心の成長に大きな役割を果たす「読書」活動を、社会全体で推進していこうという気運が高まっています。宮城県図書館では、子どもたちが 本によりいっそう親しめる環境を整えていくため、様々な事業を行っています。
今回の特集では、子ども読書活動推進に関する最近の話題と、宮城県図書館の取り組みについてご紹介します。
子ども読書活動推進とは?
子ども読書推進に関する最近の話題
平成11年に、国会はわが国初の国立児童図書館「国際子ども図書館」が開館する平成12年を「子ども読書年」とし、国を挙げて子どもの読書活動を支援することにしました。
これにより「ブックスタート」(保健センターの0歳児検診時に、乳幼児の頃から本に親しめるよう、親子に本を手渡す活動)などの積極的な取り組みが全国で行なわれました。
これらを受けて、国は「子どもの読書活動の推進に関する法律」を平成13年12月に制定し、この法律に基づき「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を平成14年8月に策定しました。この計画の中で、4月23日を「子ども読書の日」と定め、子どもが読書に親しむ機会の提供に努めるなどとしています。
この法律と計画に基づいて、宮城県は平成16年3月、「みやぎ子ども読書活動推進計画」を策定しました。
みやぎ子ども読書活動推進計画。
「みやぎ子ども読書活動推進計画」は、宮城県のおおむね18歳以下の子どもの読書活動を推進するため、平成20年度までの5年間の方策と具体的な取り組みをまとめたものです。
計画の目標は、「すべての子どもが、本を読みたいと思った時に、いつでもどこでも自主的に読書活動ができるよう環境の整備を推進し、心豊かでたくましく生きるみやぎの子どもの育成を目指す」ことにあります。
また、この計画を推進するための指標として、具体的な数値目標を設定し、取り組みを進めるために、
- 読書機会の提供と充実。読書環境の整備充実。
- 読書活動の理解の促進。
- 家庭、地域、学校と公立図書館・行政との連携の強化。
の4つの基本的方策を設けています。
この計画の策定にあたり、県は子どもの読書に関する調査を行っています。平成15年8月の1か月間に本を全く読まない児童生徒の割合は、小学生が17.7%、中学生は19.9%、高校生は24.3%です。そして1か月の児童生徒の平均読書冊数は、小学生が5.4冊、中学生は2.7冊、高校生は2.2冊となっています。
これらの現状をふまえ、計画を推進し、その状況を把握するための指標として、次の三つの数値目標を設定しています。
- 1か月間に本を全く読まない児童生徒の割合を減らします。
- 児童生徒の1か月間の平均読書冊数を増やします。
- 公立図書館における年間の図書の個人貸出数を増やします。
この計画の全文は宮城県教育庁生涯学習課ホームページに掲載されています。
宮城県図書館の取り組み。
宮城県図書館では、2階の「子ども図書室」での直接的なサービスとともに、図書館サービスに関する研修を開催したり、市町村図書館と協力するなどして、宮城県のすべての子どもたちの読書活動を推進するためのサービスに努めています。
子ども図書室。
「子ども図書室」では約2万冊の絵本や読み物などを取り揃えています。図書室に入った新しい本は毎月「子どもの森・本のいずみ」(新刊紹介)でお知らせしています。今年度から号外として購入図書リストを発行し、子ども図書室や公共図書館で配布しています。毎月第1水曜日の午後3時からは、職員による「おはなし会・紙芝居上演会」を開いています。幼稚園年少までの子どもたちが参加して、おはなしを楽しんでいます。幼児期の読書への導入につながるように、これからも子どもたちに、おはなしを届けていきます。
ブックツリーカード。
子ども図書室では、「ブックツリーカード」の配布をはじめました。
本を1冊読み終わったら、木の実を1つ好きな色で塗りましょう。木の実がたわわに実ったら、子どもたち一人一人の「世界にひとつだけの木」となります。
子どもの本展示会。
数多く出版される児童書を選ぶ際の参考にしていただけるように、前年1年間に刊行された児童書を、毎年「こどもの読書週間」にあわせて展示しています。
今年度は、昨年出版された約3千冊の中から1400冊を選び展示しました。4月23日から30日までの会期中に1153人の方が来場しました。
これらの本は、県内各地の図書館・公民館で開催する移動展示会でもご覧いただけます。会場や会期につきましては宮城県図書館または最寄りの図書館・公民館までお問い合わせください。
読書活動研究集会。
子どもの読書活動を推進するための図書館サービスなどについて学ぶ「読書活動研究集会」を、毎年12月に開催しています。
昨年度は、花屋馨氏(宮城教育大学名誉教授)を講師にお迎えして講義「科学の楽しさを知るためにー科学読物と身近な実験ー」を行いました。参加者(図書館関係者など)からは、「実験の楽しさから読書への興味につなげる方法を考える機会になった」「教わった実験を図書館で子どもたちに教えたい」などの感想が寄せられました。
図書館 around the みやぎ シリーズ第11回 加美町小野田図書館 吉岡 善太郎 館長。
加美町立小野田中学校の南東約150mのところにある小野田福祉センター、特別養護老人ホーム、小野田体育館そして小野田コミュニティーセンターといった公的施設の中でも一段と目を引く大きな白い建物があり、その高さ26m、なだらかな曲線を描いた二段の大屋根と、南面と一部西面は総ガラス張りの真新しい建物は、薬莱山と奥羽の山並みの緑に映えて遠くからでも目に入ります。
これは今年3月に完成した図書館、文化会館、公民館が備った複合施設の加美町小野田文化施設「やくらい文化センター」です。加美町とりわけ小野田地区住民の文化のよりどころとして、住民の熱い期待のもとに建設された「やくらい文化センター」の1階のほぼ西半分が図書館で、開架フロアは天井の高さ約8m、広さ約793平方メートルで、支柱がなく広々としており、5万冊収納可能な書架は木製、床はコルク材、床暖房を敷設し、優しく落ち着いた雰囲気の中に、子どものためのトイレも備えています。閉架書庫には電動書架を採用し、開架フロアと隣接しているため、その場での調べ物に対応できます。
小野田図書館は過疎対策による若者定住事業としての位置づけから、若者に魅力ある最新情報媒体である雑誌や視聴覚資料の充実を図り、7月6日に予定されている開館時には、図書約4万冊、視聴覚資料約4000点、雑誌200誌、新聞12誌を揃えます。なお、加美町には開館10年目の「中新田図書館」もあることから双方の図書館で互いに検索や貸出し、返却等ができるように運営します。
加美町小野田図書館のご紹介。
- 開館時間:水曜日~土曜日 午前10時から午後7時まで。日曜日・火曜日 午前9時30分から午後5時まで。
- 休館日:月曜日・祝日・毎月末日、年末年始(12月28日から1月4日まで)、特別整理期間。
- 交通案内:宮城バス古川漆沢線東小野田車庫前から徒歩7分。
- 図書館のデータ。
- 蔵書冊数:4万冊(平成16年7月6日現在)。
- 住所:郵便番号981ー4341 加美郡加美町字中原南105。
- 電話番号:0229ー67ー5252。 ファクス番号:0229ー67ー5588。
時空をこえて 貴重書の世界 「会纂宋岳鄂武穆王精忠録 精忠録圖」存1巻。
朝鮮半島で創られた写本・刊本は朝鮮本または韓書と呼ばれ、書誌学上は高麗時代、李朝時代の本を明確に分けてそれぞれ高麗本、朝鮮本と呼んでいます。本館で所蔵している朝鮮本は、46部、262冊です。伊達文庫39部、養賢堂文庫5部、他2部で、そのほとんどが伊達家旧蔵書です。
本書は南宋の武将、岳飛の英雄伝に基づいた精巧な絵本です。朝鮮万暦13年(1585)、本文は校書館癸酉字銅活字を用いて、絵図は整版で印刷されています。これは明の弘治14年(1501)刊の中国書からの翻刻といわれていますが、原本が佚亡した今、極めて良好で忠実な姿をとどめるものとして、高く評価されています。
本書は平成16年6月29日に宮城県指定有形文化財(書跡・典籍)に指定されました。
わたしのこの一冊『あとに残された人へ1000の風』南風 椎 訳 三五館 1995年。
「出会えてよかった一冊の本」
人生には出会いの数だけ別れがあります。相手が、自分にとってかけがえのない存在であればあるほど、その別れはつらく悲しく・・・。もしそれが、永遠の別れになってしまったとき、人はどのようにしてその悲しみや喪失感を乗り越えていけるのでしょうか。自分の周りの誰かがその悲しみの中にいるとき、どんな言葉をかければいいのでしょうか。
この本に出会った時、その悲しみは「さわやかな風」になりました。「わたしの墓石の前に立って涙を流さないで下さい。私はそこにはいません。私は風になり陽の光になり雨になってあなたの胸に永遠に残ります・・・」詩に綴られた言葉たちは、美しい風景写真と共に私たちの心の中に響いてきます。ー私にとってかけがえのない人が、こんなふうに私に語りかけているのだとしたら、その人がそばにいて、こんなふうに私のことを見守っていてくれるのだとしたら、淋しくても、つらいことがあっても、私は強く生きていけそうな気がする、そして私もいつか別れを告げるとき、あとに残された人にこんな言葉を残していきたいーこの詩に出会えてほんとうによかった。作者不明のまま語り継がれてきたこの詩は、時を越え、国境を越え、今、多くの人々の心を癒し、生きる力を与えてくれているのだと思います。
今回のこのコラムは矢本町の菅原弘子さんにご寄稿いただきました。
図書館からのお知らせ。
ポルファボール地球人講座(国際交流出前講座)。
県内在住の外国人(留学生等)を講師に、県内の小中学校や公民館などに出向き、国際交流を行います。期間:平成16年6月~12月。
問い合わせ 生涯学習班 電話番号:022-377-8498 ファクス番号:022-377-8484。
生涯学習推進月間。
県民の皆様の生涯学習に対する関心を高めるために、10月の1か月間様々な生涯 学習の講演、イベントを行います。詳しい内容につきましては、ポスター、チラシをご覧ください。(9月に掲示予定)。期間:平成16年10月2日(土曜日)~10月31日(日曜日)。
問い合わせ 生涯学習班 電話番号:022-377-8498 ファクス番号:022-377-8484。
この「ことばのうみ」テキスト版は、音声読み上げに配慮して、内容の一部を修正しています。
特に、句読点は音声読み上げのときの区切りになるため、通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は、宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第16号 2004年7月発行