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宮城県図書館だより「ことばのうみ」第14号 2003年7月発行 テキスト版

おもな記事。

  1. 表紙の写真。
  2. 巻頭エッセイ 銀河の図書館 詩人 星乃ミミナさん。
  3. 特集 きらめく文化財の世界 パート1。
  4. 図書館 around the みやぎ 丸森町立金山図書館。
  5. わたしのこの一冊 名生忠久・陽子・智樹著 「名生家三代、米作りの技と心」。
  6. 図書館からのお知らせ。

表紙の写真。

今回の写真は、5月5日に図書館で開催した街頭紙芝居の上演会です。
図書館1階の地形ひろばで、昔ながらの街頭紙芝居が生き生きと演じられる様子をご紹介しています。

巻頭エッセイ 「銀河の図書館」 詩人・ファンタジー作家 星乃ミミナさん。

読書は未知の世界への時空を超えた旅
本の旅人は、この宇宙とこの地球の
どんな人に、どんな知識に、めぐり逢えるのか
いつだってドキドキします。
銀河の図書館の光の階段をのぼると、
異国の詩人たちが話し合っていました。
そのなかに、
あこがれのハイネさんを見つけた私は、
挨拶をしました。
「私、あなたの詩で愛することを知りました、
ふたたびあなたの詩に、出逢えて、
こんどは生きる尊さを、知りました。」
私はつぎの時空へとむかいました。
こんどは、未来への旅です。
どんな夢がどんな人が待っているのか、
ワクワクしてきます。
未来の星空にそして、
アーサー・C・クラークさんにも、
また会えるかしら、
今日もまた、杜の都にうかぶ、
美しい銀河の図書館で
時空を超えて、たくさんの人たちが
旅をたのしんでいます。
読書という旅を・・・。

著者のご紹介。

ほしの・みみな。詩人・ファンタジー作家。仙台市在住。1973年、詩集『星のおみやげ・幸せのかけら』を出版。その後、数多くの詩集を発表している。2001年には、日本発のポエムソング・CDブック~星乃ミミナ作品集~『天使のおくりもの』を発表するとともに、同年開催のみやぎ国体ではバリアフリーイメージソング『笑顔と愛を』(作曲・宇崎竜童)を作詞。日本児童文芸家協会会員・日本童謡協会会員。

特集 きらめく文化財の世界 パート1。

平成15年1月31日に、本館所蔵の貴重書9点が宮城県指定有形文化財(書籍)に指定されました。これらは、もと仙台藩主伊達家や大槻文彦氏の旧蔵書だったものを、本館が購入及び寄贈された資料で、伊達文庫・大槻文庫としてこれまで大切に保管してきました。
今回の特集では、宮城県指定有形文化財に指定されたこれらの貴重書について紹介します。

『禽譜』(きんぷ) 『観文禽譜』(かんぶんきんぷ)

堀田正敦(ほった・まさあつ 1755年~1832年)が編纂した『禽譜』は彩色の図譜で、個々の鳥を一種類ずつ一枚の紙に描き、鳥の名称及び原図の所蔵者などの情報が図の片隅に記されています。図と並んで簡単な解説も記され、単独でも図鑑として機能するように作られています。一方、『観文禽譜』は、詳細に記述された鳥類の解説書です。そこには中国や日本、地方による呼び方の違いや、鳥の外見上の特徴、生息環境のほか、見聞した情報、その情報や図に対する編者のコメントなどがまとめられ、さらに故事や和歌、本草学上の薬効などが詳述されています。
編者の堀田正敦は、仙台藩6代藩主伊達宗村(だて・むねむら)の8男で、近江堅田(現在の滋賀県大津市)の藩主や下野佐野(現在の栃木県佐野市)の藩主を務めました。また、幕府の若年寄として42年間在職し、松平定信を助けて寛政の改革を進めた有能な行政官であるとともに、大名たちの文化サロンの中心メンバーとしても知られた人物です。

『魚蟲譜』(ぎょちゅうふ)

『魚蟲譜』は、彩色の図譜であり、図に解説や名前の由来などの詳細な説明がつけられています。江戸時代の図譜としては収載魚種が豊富なこと、写生の正確さや色の鮮やかさは目をみはるほどで、博物図鑑として貴重であるばかりでなく、美術書としても高い評価を受けています。本書には、魚のほかに蛇や亀、ヤモリやトカゲなども収載されていますが、昆虫は含まれていません。また、河童や龍などの想像上の生物の図も含まれており、本書の一つの特色となっています。
なお、『魚蟲譜』は、江戸時代を代表する本草学者であり、江戸幕府最高位の医師である法印の称を与えられた栗本丹洲(くりもと・たんしゅう 1756年~1834年)の著作から多数転写したとみられます。丹洲の活動の陰には、自らも優れた博物学者であった堀田正敦の厚い信任と後援があったとされています。

『關算四傳書』(せきさんしでんしょ)

仙台藩の天文学者・戸板保佑編の『關算四傳書』は、「關算前傳」、「關算後傳」、「關算要傳」「關算完傳」の4種全511巻からなり、方程式論・行列式論などを創始した関孝和(せき・たかかず 1640年~1708年)以降に著述されたすべての関流算書を集大成したものです。保佑は単に集大成しただけではなく、自ら校訂し、評論も加えており、我が国の和算史上屈指の資料とされています。
戸板保佑は仙台藩士で、中西流算術を青木長由(あおき・ながゆき)に、天文暦術を遠藤盛俊(えんどう・もりとし)に学びました。宝暦3年(1753年)、保佑45歳のとき京に上り、土御門家(つちみかどけ)陰陽頭(おんみょうのかみ)安倍泰邦(あべの・やすくに)を助け宝暦改暦に加わりました。先に、加わっていた関流の数学者山路主住(やまじ・ぬしずみ)に師事し、『關算四傳書』の編纂を始めましたが、完成したのは安永9年(1780年)、保佑72歳の時だったといわれています。本館には伊達文庫として474冊所蔵されています。

『貞観政要』(じょうがんせいよう)

『貞観政要』は「貞観の治」として名高い唐の太宗(たいそう)の四半世紀にわたる治世(627年~649年)について、中宗(ちゅうそう)・玄宗(げんそう)時代の歴史家呉兢(ごきょう)が、太宗と群臣との治世にかかわる問答を詳述したものです。中国では理想的な政治の実践記録として歴代の帝王に尊崇され、刊行されてきました。我が国においても、帝王学の聖典として為政者や教養人の愛読書でした。殊に徳川家康は、『貞観政要』を愛好し、慶長5年2月に、足利学校の前校長、閑室元佶(かんしつ・げんきつ)に木活字(もくかつじ)数10万字を与えて出版させています。京都伏見の円光寺において刊行されたことから、伏見版『貞観政要』といわれるものです。本館所蔵の『貞観政要』は、伊達家旧蔵の伏見版であり、江戸幕府に始まる本格的な官版刊行の先駆けとなるものです。

『光悦謡本一百番』(こうえつうたいぼんいっぴゃくばん)

光悦謡本は、慶長期(1596年~1614年)に観世流の能や謡(うたい)の人気曲100番を選び、それを木活字で印刷して1曲1冊に仕立て、100冊を一揃いとしたものです。本館所蔵の『光悦謡本一百番』は、寛永の三筆の一人といわれた本阿弥光悦(ほんあみ・こうえつ 1558年~1637年)及びその門弟による美しい書体の木活字を用いて印刷されています。また、料紙は全面に胡粉(ごふん)が具引きされ、その上に雲母(きらら)模様が刷り込まれたものを使い、装丁にも工夫を凝らした特製本です。版組(はんぐみ)・料紙(りょうし)・装丁(そうてい)などの違いによって17種類に分けられる光悦謡本のなかでも、特製本は最も豪華で珍重されたものです。本書は伊達家の旧蔵書で、「源氏供養」1冊を欠くものの99冊が揃っています。

『生計纂要』(せいけいさんよう)

仙台藩の蘭学者・大槻玄沢(おおつき・げんたく 1757年~1827年)は、幕府の命によりフランス人牧師ノエル・ショメールの日用百科事典の蘭訳版を翻訳しました。その際、日用百科事典の訳書『厚生新編』の草稿を『生計纂要』と名づけ、仙台藩の藩庫に納入したのです。この『生計纂要』は伊達家に秘蔵され、仙台藩の殖産興業に役立てられました。
最先端の医学や産業技術についての知識が記述された『厚生新編』は、幕命によって流布が禁じられ、昭和12年(1937年)に静岡県立図書館の葵文庫本により公刊されるまで、世に出ることはなかったとされています。

『三航蝦夷日誌』(さんこうえぞにっし)

北方探検家の松浦武四郎(まつうら・たけしろう 1818年~1888年)は、蝦夷地、樺太、国後、択捉を単身で探検し、その記録を詳細な日誌としてまとめました。
『蝦夷日誌(えぞにっし)』、『再航蝦夷日誌(さいこうえぞにっし)』、『三航蝦夷日誌(さんこうえぞにっし)』の3編に分かれた全35冊の本書は、総称して『三航蝦夷日誌』とも呼ばれ、それぞれの地域についての精密な地誌ともなっています。武四郎は、嘉永3年(1850年)正月に本書の稿を起こし、12月に脱稿したとされています。また、武四郎はその原稿を浄書し、水戸藩主の徳川齊昭(とくがわ・なりあき)、幕府、仙台藩主、函館奉行に献上したと伝えられています。本館所蔵本は、全冊の巻末に「多気志郎納本之印(たけしろうのうほんのいん)」の印記が押され、版心に「不貸不鬻 多気志楼蔵(かさずひさがず たけしろうぞう)」とある原稿用紙を用いて書写されていることから、武四郎が仙台藩主に献上したものと考えられています。

『北海道風土記』(ほっかいどうふどき)

『北海道風土記』は、明治2年(1869年)に大槻文彦(おおつき・ふみひこ 1847年~1928年)によって書かれた北海道と北方領土に関する地誌です。文彦最初の著作で、出版はされませんでしたが、明治7年(1874年)に樺太経営についての建議書とともに左院に1部献上されました。祖父・盤水(ばんすい)、父・磐溪(ばんけい)の集めた豊富な蝦夷地関係書籍を引用しつつ、地理、歴史、政治、風俗、産物、地図などの構成で書かれています。『琉球新誌(りゅうきゅうしんし)』、『小笠原島新誌(おがさわらしんし)』は、共に出版されたものですが、いずれにも文彦の手になる書き入れが随所にみられます。上記三作に明治11年(1878年)の『竹島松島の記事』を加えた大槻文彦の地誌四部作は、明治初期に書かれ、近代日本の国家意識が形成されていくなかで、国境の明確化を意図した重要な著作とされています。

『言海』(げんかい)

大槻文彦の『言海』は、日本の辞書史上に不朽の足跡を残した名著の誉れ高いものです。本館が所蔵する『言海』は文彦自身による自筆稿本で、文彦が辞書編纂の基本要素とした、語の採集、仮名遣いの決定、品詞の判別、語源の探求、典拠の確定などに最後まで精魂を傾け、推敲を重ねた様子をつぶさに示す貴重な資料です。また、巻首「編纂の大意」に述べられた編集の基本方針は、近代国語辞書の編集方法を確立したものとされ、巻頭に置かれた「語法指南」は文法の解説で、現代日本語文法の原型となっています。
『言海』の編纂は国家事業として始まったものです。命を受けた文彦は10年の歳月を費やし、明治19年(1886年)3月23日、『言海』の原稿を文部省に提出しますが、出版されず留め置かれました。明治21年(1888年)10月、自費で出版することを条件に原稿が文彦に下賜(かし)されました。文彦は原稿にさらに手を入れ、翌年に第1冊を刊行、明治24年(1891年)に全4冊の刊行が終わったのでした。


宮城県図書館には、今回紹介した資料のほかにも、歴史的・美術的に価値のある貴重な資料を多く所蔵しています。次号では、絵図や地図資料を紹介します。

図書館 around the みやぎ シリーズ第9回 丸森町立金山図書館 石田隆館長。

旧金山町は、伊達藩の重臣中島氏の城下町で、伝統を重んじ子弟の教育にも熱心であったといわれています。明治30年町制施行により日本一小さな町、金山町が誕生しました。以来、町民の間では「小さな町の大きな夢」を合言葉に生き続けてきました。その大きな夢を実現させたのが図書館の建設でした。
図書館建設は、昭和8年金山小学校開校60周年記念事業の一環として計画されましたが、世帯数400、人口1500人の小さな町であり、建設資金には相当苦労したようです。当時建設委員の中心であった星泰三郎氏は、記念事業の祝宴の簡素化などで財源を捻出する一方、地区民や郷土出身者でつくる「東京金山会」に働きかけ、ようやく同11年11月、二階建ての近代的な図書館が完成し金山町立金山図書館として開館しました。その後、昭和29年町村合併により丸森町立金山図書館と改称されました。
現在の図書館は、郷土出身で会社社長だった須郷武治氏からの高額の寄付を基金として昭和52年に建設されたものです。また、地元民などから寄贈された古い書籍や教科書など貴重なものも数多くあり、「小さな町の小さな図書館」として親しまれています。
図書館は、小学校や保育所と近いため午後になると授業を終えた児童・生徒たちが気軽に利用しています。
丸森町では「歴史の町・金山」の特色を生かし、図書館と資料館を兼ねた「図書資料館」のような形態にする案もでています。

丸森町立金山図書館のご紹介。

  • 開館時間。
    月曜日から金曜日 午前8時30分から午後5時まで。
  • 休館日。
    土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)。
  • 交通案内。
    阿武隈急行線・丸森駅から国道113号線を車で10分。
  • 図書館のデータ。
    蔵書冊数:2万2671冊(平成15年3月31日現在)。
    貸出冊数:1372冊(平成14年度実績)。
  • 住所:郵便番号:981-2402 宮城県伊具郡丸森町金山字下前川原17。
  • 電話番号:0224-78-1121。 ファクス番号:0224-73-7006。

わたしのこの一冊 「名生(みょう)家三代、米作りの技と心」 名生忠久・陽子・智樹著 草思社 1998年。

「土から学んだ主婦の知恵」。

『名生家三代、米作りの技と心』は、宮城県迫町の専業農家、名生家三代の米作りの歴史を同町出身で水沢市の石川純子さんが五年間にわたって名生家を訪ね、聞き書きをし、まとめた貴重な本である。
聞き書きをまとめた石川純子さんは忠久さんの妻陽子さんに焦点をあてている。
陽子さんの舅藤吾さんは、田の神様を敬い一本の草さえ無駄にしない精農、陽子さんは藤吾さんに農業に対する考え方や仕事の進め方を教えこまれた。夫忠久さんは、規模拡大と機械化によるコストダウンに取組んだ。失敗もした。そして息子智樹さんは、土にも稲にも触れず米を作る農業に疑問をもった。模索し探し当てたのが祖父藤吾さんの自然をあがめ謙虚に臨む農業であった。
陽子さんは、三代にわたる農業の変遷を冷徹な目でみつめていた。
農家の主婦として土の力を信じ田畑を耕し家を支え、地域では、若い女性たちと共に明るい地域作りをした。
陽子さんの方言での語り口は、とにかく大らかで楽しく示唆に富んでいる。
農業政策を批判し、現代の自然軽視の風潮をたしなめている。
「手隅八十八回の米作り、昔の米は人の愛情と汗で作った」という陽子さんの指摘は、米作りに限らず人間作りも含めて真理だと思った。

今回のこのコラムは岩沼あじさい読書会の佐々木佑子さんにご寄稿いただきました。

図書館からのお知らせ。

三陸南地震による臨時休館についてのお詫び。

5月26日(月曜日)に発生した地震被害による臨時休館中は、大変ご不便をお掛けしました。心からお詫び申し上げます。なお、6月17日(火曜日)から開館しておりますのでご利用ください。

生涯学習機能の充実。

宮城県の生涯学習の振興に向けた推進体制の整備と充実・強化を進めていくため、生涯学習センター的機能として宮城県図書館に生涯学習班が新設されました。職員構成は社会教育主事四名と相談員二名です。
班の目的は、次のとおりです。

  1. 生涯学習指導者・人材育成機能。
  2. 調査・研究機能。
  3. 生涯学習情報の提供・発信・相談機能。
  4. 生涯学習・交流の機会の提供機能。

今年度は、市町村等の社会教育主事の実践的能力の育成を図る「社会教育主事専門研修事業」、先導的なプログラムを開発する「プログラム開発推進事業」等を行う予定です。


この「ことばのうみ」テキスト版は、音声読み上げに配慮して、内容の一部を修正しています。
特に、句読点は音声読み上げのときの区切りになるため、通常は不要な文末等にも付与しています。

「ことばのうみ」は、宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第14号 2003年7月発行